思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第4章 勇者候補に 女神の裁きを与えることにしました

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 深夜になりました。さすがにふざけている場合ではないと思ったのか、 ミルフィーユはおとなしくしています。

「 ルナマリアさん、抱き枕にちょうどいいわ」

 ミルフィーユは寝言を言いました。 どうせ戦いになったら役に立たないので、 寝ていてもらっても結構なのですけど、 私は聖女として戦闘に 参加するつもりですから、 身動きが取れないようにするのは止めてもらえませんか。
 私は何とかミルフィーユの拘束を 振りほどきました。
 しかし、 犯人が警戒しないように寝たふりはし続けなければいけないのですよね。

「むにゃむにゃ。もう 食べられないですぅ」

 ・・・・・・ユメリアは、 冒険者とは思えないほど 深い眠りに入っているようです。 いざという時にすぐ動けるように備えておくのが冒険者ではないのでしょうか。
 犯人が近づいてきたら 、私の【神の眼】で すぐに察知することができるから、他の皆さんは このまま寝かせておいてあげましょう。私だけが半分だけ意識を覚醒させた 状態です。
 懐かしい感覚ですね。ガルヴァスと 仲間になってからは安心してぐっすりと休めるのですけど、 アシュトンのパーティーにいた頃は 私が周囲警戒を 休む暇なく行なっていましたからね。
 ベテラン冒険者となれば半分だけ意識を保ちつつ眠ることができるそうですから、 私の場合はそれが人よりも速くできるようになっただけのことです。
 ユメリアは そういう技術を身に付けることなく、 これからもずっと爆睡し 続けるのでしょうね。 何を言われてもめげないので、 ある意味とても幸せな子です。

「あの・・・・・・ ルナマリアさん、大丈夫ですか?」

 メリッサが心配そうに私のことを見つめてきました。 彼女は私たちがついていても 眠れないようです。 なんとか安心させてあげたいのですが、 甘い言葉が見つかりません。

「 勇者パーティーの旅に比べたら、 大したことはありませんよ」
「 魔王討伐の旅とはそれほど過酷なものなのですね」
「ええ、まあ・・・・・・」

 私は誤魔化すように 笑いました。
 普通の冒険者パーティーもそうですけど、 冒険している間は四六時中パーティーのみんなと一緒にいなければいけませんからね。 人間関係がうまくいっていないと悲惨なものですよ。
 エイミアとは 仲良くなれたかどうかは分かりませんけど、 パーティーのメンバーなった頃より今の方が 普通に喋れる気がします。
 アシュトンとは今は気まずい気がします。 弟のような存在だから、いずれは 神殿にいた頃のように 仲良く喋れるようになることでしょう。 きっと時間が解決してくれるはずです。
 シルフィーユはあまり 印象に残っていないのですが・・・・・・ ミルフィーユの妹なのですよね。シャルドネ子爵家は 好きなものに対して尋常ではない情熱を注ぐようです。 アシュトンはシルフィーユに迫られてよく平然としていられたものですね。
 鈍感でいられれば、どれだけ幸せのことでしょうか。

 おっと、 すっかり話が脱線してしまいましたね。 今は犯人を警戒している途中です。 油断してはいけません。

「 ホットミルクでも作りましょうか?」

 メリッサがそう提案してくれました。 自分自身が不安で仕方がないはずなのに、 他人を気遣えるのは素晴らしいことですよね。
 せっかくの好意です。 断る方が失礼というものですよね。

「 私も手伝います。 二人でいただきましょう」
「はい、 二人で 楽しんじゃいましょう」
「・・・・・・ メリッサさん、まさか ミルフィーユさんと同類ではありませんよね?」
「? ガールズトークに何か問題がありましたか?」
「いえ、 何でもありません」


 台所で火を起こすのは生活魔法で行います。 鍋に牛乳を注いで ゆっくりと温めていきます。 メリッサは庶民には貴重な砂糖まで入れてくれました。
 甘いものに目がない私には ありがたいことです。

「 私は嬉しいのですが、 砂糖はとても高いでしょう?」
「 本来は報酬を支払わなければいけない立場なのですから、 このくらいのお礼はさせてください」
「 では遠慮なく 、いただきますね」

 穏やかな時間が流れていきます。
 このまま何もなければいいのですけどね、 確実に犯人は行ってきます。【神の眼】に ミリッサの家に近づいてくる男の姿が映りました。

「・・・・・・・来たようですね」

 私の一言に、 メリッサは 体を震わせました。 今まで被害に遭い続けていたのだから仕方がないことかもしれません。
 メリッサが安心して過ごせるように頑張りますよ。
 私は冒険者カードを取り出して、ガルヴァスに連絡することにしました。

「ガルヴァスさん、 裏口の方に・・・・・・」
「 分かった。すぐに向かう」

 さすがベテランの冒険者です。ガルヴァスは 短いやり取りですぐに行動に移ってくれました。 クロードとロニも 同様に動いてくれることでしょう。

「ユメリア、 起きてください!」
「 もう朝ご飯ですぅ?」
「 寝ぼけている場合ではありませんよ。ガルヴァスさんが 駆けつけてくれるまで、 犯人の足止めをお願いします」
「 私は後衛の弓使いなのに、 いつもいつも役割がおかしいですぅ!?」

 ユメリアは 文句を言っているけど、 彼女は一番素早いから敵を翻弄するのに向いています。 当たらない弓矢よりも、 敵の周りを駆け回ってもらっていた方がよほど役に立つというものです。

 さあ、戦闘開始です!



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