10億円の思い出の人

momen0212

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6とおまけ

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「一応10億円置いてきてはいるけど、さっきも言ったとおり戻ってくるよ?」
「じゅ...っ!?...そんな金どっから」
「それは俺が動かせるお金を用意しただけ。...どこからって話になると、そうだなぁ。俺の親が大きな会社をいくつも束ねている家でね。所謂お坊ちゃんだからできた事としか...」
「......」
「瀬見川くんと偶然会ったあの日はね。そんな家が嫌で仕方なくなってしまって逃げ出した日だったんだよ」

  その言葉を聞いて明音は目を見開いた。
  あの日、どうして大人達が血相を変えて幸音を迎えに来たのか漸く理解ができたからだ。文字通り引き剥がされた後の、静まり返った公園を鮮明に思い返せる。あの時の寂しさも容易に思い出せた。

「だけどあの時君に会って勇気を貰えたから、色々頑張れるようになったんだ。今ここで君を助ける事が出来ているのは他でもない、瀬見川くんのおかげだ」
「お、お前は...さ。さっきから俺に助けられたって言ってくれるけど、お前もあの日勇気、くれたんだぞ」
「え?」
「俺は見た目のせいで嫌われる事が多くてさ。それなのにお前は普通に接してくれたし。それがどんだけ嬉しかったか...。だから俺からしたら今日のことも含めて助けて貰ってばっかりで...」

  だんだん気恥ずかしくなってきて、励ますつもりで交わしていた視線を外して言葉を紡ぐと、そっと頬を撫でられ視線を戻される。優しい目で見つめられた。
  今日だけで何度も注がれた熱い、愛のこもった視線。

「じゃあ、お互い様ってことだね」

  優しい声でそう呟くと幸音は明音の額に短くキスをして、すぐに離れてくしゃりと笑った。

「そう、だな。お互い様...だ」

  お互い様。その言葉になんだか嬉しくなった。幸音に釣られて明音も自然と笑みをこぼした。
  独りじゃないとわかる言葉。自分の存在が誰かの支えになっているとわかる言葉を貰った事が何よりも嬉しい。

「ははは。笑顔も相変わらず可愛いね。面影あるなー」
「...か、わいくねー!俺よりお前の方がずっと可愛い...だろっ。はじめ見た時女と思ったし」
「あー!やっぱ女の子だと思ってたんだ!俺の一人称聞いて驚いてたでしょ」
「~っ、うるせー!わりーかよ!」
「だってよそよそしくて!可愛いかったんだもん」
「すぐ気付いてたからセーフだろ!忘れろッ」

  車内に響く笑い声。
  目の前にいる人が堪らなく愛しい。この時間がずっと続けばいいのに。
  この先の未来でも必ず二人で過ごせる道を考えて行かなくては。もう手放してなるものか──。
  不器用に笑う明音を見て、幸音は心の中で強く決心した。


「今日は一緒に帰ろうね」


  またね、を何度でも言い合いたい。
  もう言葉のないお別れは絶対にしない──。







 - - - - - - - - -






おまけ

あれから1時間も経たないうちに、血まみれの番堂が車に戻ってきた。
殆どが返り血みたいなもんだから気にするなとか言いながら、手配するつもりだったのに、番堂本人が車を出して病院にまで連れていかれてしまった。

 幸音が用意したお金は鑑識が入った後に返却されると道中説明がありつつ、番堂の興味は明音に注がれまくった。
 坊ちゃんとはどういう関係?とかサウナは好きか?とか。初対面なのに、ズカズカ話しかけてくる番堂に明音は驚きながら何とか会話をして、あっという間に病院に着いた。

土曜日という事と、明音の様子が急を要する物では無いと判断され、正式な検査は明後日の早朝からと指示が下った。

 番堂は部下を病院の外に手配して、帰ってしまった。
 嵐のように過ぎ去って行ったと、明音は心の中で思ったのは言うまでもない。

時間が許す限り過ごすつもりで幸音は明音の入院する病棟の個室に着いてきていた。
ただ、着いてきて他愛のない話をするつもりだけだったのだが......。

- - - - - - - - - - - - - - - - 

「ン...、手止まってるね?」
「っ、ぁっ、ぁっ、ゆき、ゃ、ぁ!俺がする、から手...動かす、な...ぁっ!」
「...っ、だって...君の声、...聞きたい」

ベットの上で劣情にまみれていた。
我慢の限界が来た幸音と、まだ副作用の残った明音がこんな事になるのは必然。
声こそ控えめであるが、行っていることは全く控えめではない。
嫌がる明音に幸音は口角を上げて反応を楽しんでいる。

「あっ、ぁっ、ぁっ、ゃ」
「はー。本当に可愛い。顔見てるだけでダメかも」
「っ~~、ゃ、言う、な、ぁっ」
「ん、ねえ名前呼んでもいい?」
「っひ、ぁ、...名前?」
「あかねくんって」
「っ~!!!!!」
「(可愛いなぁ...)」

幸音の内に秘められたサディスティックな部分が変革を見せつつあることを、まだこの時の明音は知らなかった。






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