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腐れ縁 1
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朝五時。燈寿家の娘である珊瑚は家である神社を掃除していた。
現在燈寿家は東京に住んでいる。しかし燈寿家の力は場所が変わっても絶大であり、それ程大きくない神社にも関わらず毎日お賽銭が入り、初詣に至っては連日千人は軽く超える人が並ぶ程である。
そんな掃除中の珊瑚にふと外から声がかかった。
「よっ珊瑚。相変わらず早起きだな」
「あったり前でしょ。てかアンタが早起きしている方が驚きよ、真斗」
夜摩真斗。私の幼馴染……いや、腐れ縁である。切ろうと思っても切れない、そんな男だ。
「いや辛辣だな。お前、学校では丁寧で完璧美少女なのに何で俺に当たり強いの?」
「アンタなら何言ってもいいと思ってるからよ」
「嬉しいな!」
「褒めてないわよ?」
そう、私は学校では完璧美少女として振舞っている。
真斗や周りが言うには、容姿端麗、丁寧な振る舞い、燈寿家としての占いの力。学業も全科目そつ無くこなす頭脳。
そのせいか入学して数日で告白されたりした事もあった。最近では同学年、先輩構わず告白される。
「いやー、そんな完璧美人さんがこんな乱暴で更にはお金に目がないなんて知ったら皆どう思うかな」
「うっさいわね!この箒ぶん投げるわよ!」
腐れ縁であることもあり、彼は色々と私の事を知っている。
おぉ、怖いと肩を竦める彼だが、家族を除けば私の本性を知るのは彼だけだ。
確かに人を助けるのは好きだけれど、先代までのようにお金に無頓着、どころかお金は大好きだし、八方美人を演じているだけで乱暴な所はある。それが腐れ縁に知られている事で何故か腹が立ってきた。
「んじゃ、また学校でな~。迎えはいるか?」
「迎えが必要なのはアンタじゃないの?二度寝しないでよね」
その言葉を聞くと笑って彼は去っていった。
何となくイライラしながらも、神社の掃除を終わらせて、巫女服から制服に着替えて髪を結う。
大体六時頃になると、母がご飯を作って待ってくれている。
「今日は真斗君起きたのね!朝から元気な声が聞こえてきたからお母さん嬉しいわぁ」
「う、うぐぅ」
大抵の場合、真斗は学校の一時間目にギリギリ間に合っているか、間に合っていないかの瀬戸際を攻めていた。幼馴染ということもあり、真斗をその前に叩き起すのは私の役割だ。
何故私が起こさないといけないのかと思いつつも、味噌汁を啜りながら母親に話かける。
「お母さん、ずっと思っていたんだけどさ」
「うん?どうしたの。改まって」
これはずっと気になっていた。いや、燈寿に生まれたからこそだろう。燈寿に生まれなければこんな悩みはなかったはずだ。
「お母さんもご先祖様もさ、お金や権力とかには無頓着だったわけじゃない。それで当代の燈寿家の娘がこんな子だって知られたら。土地神様は幻滅していなくなっちゃうのかな」
テレビではこの地域は晴れだと放送していたが、私の帰る時間にはにわか雨が降るだろう。それは燈寿の占いを持って知ったことだ。
様々な悩みに手を貸した燈寿の血筋。その娘がこんな今までとかけ離れていていいのかという不安だった。
少し頬に人差し指を当てて考えていた母は言った。
「いいんじゃないかしら?」
「えっ?」
その返答に思わず声が出る。ダメ、とか居なくなるかもしれない、と思考しながら投げた問いだったからだ。
「確かにご先祖様は権力に無頓着だったし、お母さんも正直なところお父さんの働きと神社や寄付で入るお金で生活できるからお金に困ったことは無かったわ。でも、永く永く見守ってきた土地神様だって、思うんじゃないかしら?人が持つ欲望に忠実な子供の事!」
そうかもしれない。土地神様から見ればこの千年以上燈寿を見守ってきた、要は愛しい子供なのだろう。そんな子供が従順な子ばかりだと飽きてしまうのかもしれない。偶には、私みたいに暴れん坊がいてもいいのか、そう思った。
「それよりも時間大丈夫?多分珊瑚の帰る頃は雨降るけれど、この快晴だと真斗君寝ちゃってないかしら?」
「あっ!?」
しまった、もうそんな時間だった。急いでご飯をかき込むと真斗のスマートフォンに電話をかける。
数回プルル……と鳴った後、不在モードに切り替わったのを確認して叫ぶ。
「なんでこの短時間で二度寝が出来るのよあのバカー!!」
急いで鞄を手に持つと、真斗の住む家へと向かった。
思えば真斗の家も不思議なものだ。
この数年、どころではない。私が生まれた時から真斗の……夜摩家のご両親に会ったことがない。「ご両親は?」と聞くといつも帰ってくるのは「ずっと海外~」という呑気な答えだけだった。
(……寂しくないのかな)
ふと、そう思ってしまった。
私には母がいて、父がいて。いつも囲まれて過ごしているが真斗はいつも一人だ。
だからこうして腐れ縁でも起こしにいってしまうのかもしれない。
真斗の一軒家に着くと、合鍵で勝手に中に入る。案の定、一階のソファでグースカと寝ている真斗を発見して大声を出した。
「起きなさい真斗!!もう学校の時間よ!!」
「ん~……」
ごろん。ソファの上でよくもまあ器用に寝がえりを打つものだ。ムカっとなって頬を思いっきり摘まむ。
「いでででで!?」
「じ、か、ん!!アンタ今朝は早く起きてランニングしていると思ったらもう寝ているんだから!!早くして頂戴!」
「わ、わかった!わかったから頬がいだだだだ……」
手を離すと、むくりと起き上がってそばにある鞄を手に取る。その後欠伸をしながら玄関に向かう彼を見てため息が出る。
毎回こうだ。なぜ懲りないのか。よくわからないと思いながら学校へと向かった。
現在燈寿家は東京に住んでいる。しかし燈寿家の力は場所が変わっても絶大であり、それ程大きくない神社にも関わらず毎日お賽銭が入り、初詣に至っては連日千人は軽く超える人が並ぶ程である。
そんな掃除中の珊瑚にふと外から声がかかった。
「よっ珊瑚。相変わらず早起きだな」
「あったり前でしょ。てかアンタが早起きしている方が驚きよ、真斗」
夜摩真斗。私の幼馴染……いや、腐れ縁である。切ろうと思っても切れない、そんな男だ。
「いや辛辣だな。お前、学校では丁寧で完璧美少女なのに何で俺に当たり強いの?」
「アンタなら何言ってもいいと思ってるからよ」
「嬉しいな!」
「褒めてないわよ?」
そう、私は学校では完璧美少女として振舞っている。
真斗や周りが言うには、容姿端麗、丁寧な振る舞い、燈寿家としての占いの力。学業も全科目そつ無くこなす頭脳。
そのせいか入学して数日で告白されたりした事もあった。最近では同学年、先輩構わず告白される。
「いやー、そんな完璧美人さんがこんな乱暴で更にはお金に目がないなんて知ったら皆どう思うかな」
「うっさいわね!この箒ぶん投げるわよ!」
腐れ縁であることもあり、彼は色々と私の事を知っている。
おぉ、怖いと肩を竦める彼だが、家族を除けば私の本性を知るのは彼だけだ。
確かに人を助けるのは好きだけれど、先代までのようにお金に無頓着、どころかお金は大好きだし、八方美人を演じているだけで乱暴な所はある。それが腐れ縁に知られている事で何故か腹が立ってきた。
「んじゃ、また学校でな~。迎えはいるか?」
「迎えが必要なのはアンタじゃないの?二度寝しないでよね」
その言葉を聞くと笑って彼は去っていった。
何となくイライラしながらも、神社の掃除を終わらせて、巫女服から制服に着替えて髪を結う。
大体六時頃になると、母がご飯を作って待ってくれている。
「今日は真斗君起きたのね!朝から元気な声が聞こえてきたからお母さん嬉しいわぁ」
「う、うぐぅ」
大抵の場合、真斗は学校の一時間目にギリギリ間に合っているか、間に合っていないかの瀬戸際を攻めていた。幼馴染ということもあり、真斗をその前に叩き起すのは私の役割だ。
何故私が起こさないといけないのかと思いつつも、味噌汁を啜りながら母親に話かける。
「お母さん、ずっと思っていたんだけどさ」
「うん?どうしたの。改まって」
これはずっと気になっていた。いや、燈寿に生まれたからこそだろう。燈寿に生まれなければこんな悩みはなかったはずだ。
「お母さんもご先祖様もさ、お金や権力とかには無頓着だったわけじゃない。それで当代の燈寿家の娘がこんな子だって知られたら。土地神様は幻滅していなくなっちゃうのかな」
テレビではこの地域は晴れだと放送していたが、私の帰る時間にはにわか雨が降るだろう。それは燈寿の占いを持って知ったことだ。
様々な悩みに手を貸した燈寿の血筋。その娘がこんな今までとかけ離れていていいのかという不安だった。
少し頬に人差し指を当てて考えていた母は言った。
「いいんじゃないかしら?」
「えっ?」
その返答に思わず声が出る。ダメ、とか居なくなるかもしれない、と思考しながら投げた問いだったからだ。
「確かにご先祖様は権力に無頓着だったし、お母さんも正直なところお父さんの働きと神社や寄付で入るお金で生活できるからお金に困ったことは無かったわ。でも、永く永く見守ってきた土地神様だって、思うんじゃないかしら?人が持つ欲望に忠実な子供の事!」
そうかもしれない。土地神様から見ればこの千年以上燈寿を見守ってきた、要は愛しい子供なのだろう。そんな子供が従順な子ばかりだと飽きてしまうのかもしれない。偶には、私みたいに暴れん坊がいてもいいのか、そう思った。
「それよりも時間大丈夫?多分珊瑚の帰る頃は雨降るけれど、この快晴だと真斗君寝ちゃってないかしら?」
「あっ!?」
しまった、もうそんな時間だった。急いでご飯をかき込むと真斗のスマートフォンに電話をかける。
数回プルル……と鳴った後、不在モードに切り替わったのを確認して叫ぶ。
「なんでこの短時間で二度寝が出来るのよあのバカー!!」
急いで鞄を手に持つと、真斗の住む家へと向かった。
思えば真斗の家も不思議なものだ。
この数年、どころではない。私が生まれた時から真斗の……夜摩家のご両親に会ったことがない。「ご両親は?」と聞くといつも帰ってくるのは「ずっと海外~」という呑気な答えだけだった。
(……寂しくないのかな)
ふと、そう思ってしまった。
私には母がいて、父がいて。いつも囲まれて過ごしているが真斗はいつも一人だ。
だからこうして腐れ縁でも起こしにいってしまうのかもしれない。
真斗の一軒家に着くと、合鍵で勝手に中に入る。案の定、一階のソファでグースカと寝ている真斗を発見して大声を出した。
「起きなさい真斗!!もう学校の時間よ!!」
「ん~……」
ごろん。ソファの上でよくもまあ器用に寝がえりを打つものだ。ムカっとなって頬を思いっきり摘まむ。
「いでででで!?」
「じ、か、ん!!アンタ今朝は早く起きてランニングしていると思ったらもう寝ているんだから!!早くして頂戴!」
「わ、わかった!わかったから頬がいだだだだ……」
手を離すと、むくりと起き上がってそばにある鞄を手に取る。その後欠伸をしながら玄関に向かう彼を見てため息が出る。
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