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悪役令息編
偽りの悪役令息は竜に溺愛されている〜婚約破棄に潜む竜の罠〜【4】
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夕暮れの庭は金色の光に包まれ、風に揺れる花々が柔らかく香った。
商談帰りのセオドールがふと庭園で足を止めていると、背後に感じる視線に気付き、顔を上げる。
そこに立っていたのは飄々とした笑みを浮かべるエドワード、――社交界では『セオドールを陥れた真の悪役令息』と噂されている男だ。
だが、セオドールにとっては大切な恋人であり、心の支えだった。
「少し話がある」
エドワードの声は普段通りの余裕を帯びているが、その瞳には真剣さが宿っていた。
「…また悪巧みでも考えてるんじゃないだろうな」
セオドールの口調は冷たいが、その表情は悪戯っ子そのもの。
エドワードに心を許している証拠でもあった。
エドワードは深く息をつき、懐から小さな箱を取り出す。
膝をついて箱を開きながら、夕陽に照らされたセオドールの瞳を見つめた。
その箱の中で婚約指輪がキラリと輝く。
プラチナの指輪に小さなダイヤが凛と鎮まり、光を受けて微かに虹色を映している。
「俺と結婚してほしい、セオドール」
セオドールは言葉を失った。
冷静な美貌の奥に戸惑いの色が滲んでいる。
「…冗談だろ?王家に婚約破棄された俺と結婚なんて…」
セオドールの呟きにエドワードは微笑みながら、静かに首を振る。
「冗談じゃない、俺は本気だ。セオドールを幸せにしたい」
か
セオドールの指は震え、心臓が早鐘のように打つ。
「簡単に言うな!俺のせいでお前は悪役令息だと言われるようになったんだぞ!王家に捨てられた俺なんかと結婚して、これ以上悪名を重ねるのはよせ!」
「簡単?まぁ、確かにそうだな。だって俺はセオドールと一緒にいられるなら、周りからの悪評なんてどうだっていい」
エドワードはセオドールへ手を差し出す。
おずおずとセオドールはその手を取った。
指にそっと触れる温もりにセオドールの胸が熱くなる。
「…やっぱり大した策略家だな、お前は」
セオドールは照れくさそうに笑う。
少し俯きながらも指輪を受け入れるように指を伸ばした。
「愛している」
エドワードの声は低く、甘く響く。
セオドールの薬指には指輪がはめられ、エドワードの唇が手の甲に触れる。
セオドールは小さく笑うと、エドワードに抱きついた。2人の瞳には確かな愛情が浮かんでいる。
エドワードは満足そうに微笑み、セオドールの頬にそっと触れると額を寄せた。
夕陽に染まる庭で2人は幸せに包まれていた。
商談帰りのセオドールがふと庭園で足を止めていると、背後に感じる視線に気付き、顔を上げる。
そこに立っていたのは飄々とした笑みを浮かべるエドワード、――社交界では『セオドールを陥れた真の悪役令息』と噂されている男だ。
だが、セオドールにとっては大切な恋人であり、心の支えだった。
「少し話がある」
エドワードの声は普段通りの余裕を帯びているが、その瞳には真剣さが宿っていた。
「…また悪巧みでも考えてるんじゃないだろうな」
セオドールの口調は冷たいが、その表情は悪戯っ子そのもの。
エドワードに心を許している証拠でもあった。
エドワードは深く息をつき、懐から小さな箱を取り出す。
膝をついて箱を開きながら、夕陽に照らされたセオドールの瞳を見つめた。
その箱の中で婚約指輪がキラリと輝く。
プラチナの指輪に小さなダイヤが凛と鎮まり、光を受けて微かに虹色を映している。
「俺と結婚してほしい、セオドール」
セオドールは言葉を失った。
冷静な美貌の奥に戸惑いの色が滲んでいる。
「…冗談だろ?王家に婚約破棄された俺と結婚なんて…」
セオドールの呟きにエドワードは微笑みながら、静かに首を振る。
「冗談じゃない、俺は本気だ。セオドールを幸せにしたい」
か
セオドールの指は震え、心臓が早鐘のように打つ。
「簡単に言うな!俺のせいでお前は悪役令息だと言われるようになったんだぞ!王家に捨てられた俺なんかと結婚して、これ以上悪名を重ねるのはよせ!」
「簡単?まぁ、確かにそうだな。だって俺はセオドールと一緒にいられるなら、周りからの悪評なんてどうだっていい」
エドワードはセオドールへ手を差し出す。
おずおずとセオドールはその手を取った。
指にそっと触れる温もりにセオドールの胸が熱くなる。
「…やっぱり大した策略家だな、お前は」
セオドールは照れくさそうに笑う。
少し俯きながらも指輪を受け入れるように指を伸ばした。
「愛している」
エドワードの声は低く、甘く響く。
セオドールの薬指には指輪がはめられ、エドワードの唇が手の甲に触れる。
セオドールは小さく笑うと、エドワードに抱きついた。2人の瞳には確かな愛情が浮かんでいる。
エドワードは満足そうに微笑み、セオドールの頬にそっと触れると額を寄せた。
夕陽に染まる庭で2人は幸せに包まれていた。
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