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お留守番 編
母の登場
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そのあと北原さんが料理やお菓子を平行して作っている様子を眺めて過ごしていると、チャイムが鳴った。
涼さんの家なのに勝手に出ていいものかとうろたえていると、北原さんが「私が応対しますね」とスタスタとインターフォンに向かう。頼もしい。
どうやら引っ越し業者さんらしく、北原さんは「上がってもらいますね」と私たちに確認を入れ、返答をする。
少し経ったあと、もう一度チャイムが鳴り、私たちは三人で玄関に向かってドアを開けた。
「こんにちは! 『すぐやるハツラツ引っ越し』です。こちら、三日月涼さんのお宅で間違いないですか?」
「はい」
北原さんが対応したあと、引っ越し業者さんの後ろから聞き覚えのある声がする。
「恵? いるの?」
「おっ、……お母さん……」
恵がうろたえていると、業者さんの後ろから背の高い美魔女が現れる。
身長は私より高い百七十一センチメートル。胸元までのロングヘアに、パステルブルーのニットとベージュのテーパードパンツ、その上に白いスプリングコートを羽織り、今日もビシッと決まっている。
「どうしてこんなセレブマンションにいるの~! どこで御曹司を釣り上げたの~!」
佳苗さんは悲鳴混じりの声で言い、娘を抱き締める。
と、さらにその後ろからスラッと背の高い、三十代後半の男性が現れた。
「初めまして。わたくし、上条雄貴と申します。三日月の第二秘書をしております」
そう言って上条さんは私と恵に名刺を渡し、ブルーシートなどの準備をしている引っ越し業者さんに「お願いします」と挨拶をする。
「とりあえず、中に上がってはどうですか?」
北原さんに促され、私たちは広々としたリビングダイニングに向かった。
「何なのこれー……。いやー! 凄い!」
佳苗さんは東京タワーが見える眺望のいいリビングで悲鳴を上げ、輸入物の高級ソファやハイブランドのロゴが入ったクッションなどを見て、眩暈を起こす寸前だ。
「わたくし、三日月さんの家政婦をしております北原と申します。お茶の準備をしますので、お座りになられてください」
「家政婦ゥ……」
佳苗さんはパワーが尽きたように言い、ヨロヨロとソファに腰かける。
「佳苗さん、しっかり。傷は浅い」
「浅くないわよぉ……。重症よぉ……。落ち武者みたいに全身に矢が刺さってるわ……」
私の励ましに、佳苗さんは力なくぼやく。
しばらくして北原さんが手作りのアップルパイと紅茶を出してくれ、その間にも引っ越し業者さんが段ボールを搬入している。
荷物については恵が上条さんと話して、とりあえずリビングダイニングに置いてくれたら、あとは自分でやるという事に落ち着いたようだ。
業者さんが働いているなか、私たちはお茶を飲む。
なお、北原さんはキッチンに戻って料理の続きに取りかかっていた。
「……色々聞きたい事はあるんだけど、強盗に押し入られたって本当? 田村くんだったの? 朱里ちゃんも大丈夫だった?」
佳苗さんはまず、母親として娘の身を案じる。
そのあと、私たちは交互に昨晩あった事を話し、とくに大きな怪我はなく、昭人たちも警察に捕まった事を報告した。
「はぁ……」
佳苗さんは溜め息をつき、私は頭を下げて謝罪する。
「私のせいで恵を危険な目に遭わせてすみません」
「何言ってるの! 朱里ちゃんだって被害者でしょう? 悪いのはストーカーになった田村くんなんだから、二人とも負い目を感じなくていいの!」
佳苗さんはピシッと言ってから、「あぁ~、美味しい~」と溜め息混じりに言い、カスタードクリームの入ったアップルパイを食べる。
そのあと彼女は溜め息をつき、また家の中を見回してから遠い目でもう一度溜め息をついた。
「恵の家で引っ越しの現場監督をやっていたら、三日月涼さんがやってきたわけよ。ダイヤモンドが歩いてきたかと思ったわ。掃き溜めに鶴よ」
「人の家に向かって失礼な」
恵がボソッと突っ込む。
「ご丁寧な挨拶をいただいて、名刺をいただいて……。お母さん、目玉が飛び出て荒川を超えたかと思ったわ」
「そこまで行くなら竹ノ塚まで目玉飛ばしなよ……」
恵はお茶を飲み、また突っ込む。
涼さんの家なのに勝手に出ていいものかとうろたえていると、北原さんが「私が応対しますね」とスタスタとインターフォンに向かう。頼もしい。
どうやら引っ越し業者さんらしく、北原さんは「上がってもらいますね」と私たちに確認を入れ、返答をする。
少し経ったあと、もう一度チャイムが鳴り、私たちは三人で玄関に向かってドアを開けた。
「こんにちは! 『すぐやるハツラツ引っ越し』です。こちら、三日月涼さんのお宅で間違いないですか?」
「はい」
北原さんが対応したあと、引っ越し業者さんの後ろから聞き覚えのある声がする。
「恵? いるの?」
「おっ、……お母さん……」
恵がうろたえていると、業者さんの後ろから背の高い美魔女が現れる。
身長は私より高い百七十一センチメートル。胸元までのロングヘアに、パステルブルーのニットとベージュのテーパードパンツ、その上に白いスプリングコートを羽織り、今日もビシッと決まっている。
「どうしてこんなセレブマンションにいるの~! どこで御曹司を釣り上げたの~!」
佳苗さんは悲鳴混じりの声で言い、娘を抱き締める。
と、さらにその後ろからスラッと背の高い、三十代後半の男性が現れた。
「初めまして。わたくし、上条雄貴と申します。三日月の第二秘書をしております」
そう言って上条さんは私と恵に名刺を渡し、ブルーシートなどの準備をしている引っ越し業者さんに「お願いします」と挨拶をする。
「とりあえず、中に上がってはどうですか?」
北原さんに促され、私たちは広々としたリビングダイニングに向かった。
「何なのこれー……。いやー! 凄い!」
佳苗さんは東京タワーが見える眺望のいいリビングで悲鳴を上げ、輸入物の高級ソファやハイブランドのロゴが入ったクッションなどを見て、眩暈を起こす寸前だ。
「わたくし、三日月さんの家政婦をしております北原と申します。お茶の準備をしますので、お座りになられてください」
「家政婦ゥ……」
佳苗さんはパワーが尽きたように言い、ヨロヨロとソファに腰かける。
「佳苗さん、しっかり。傷は浅い」
「浅くないわよぉ……。重症よぉ……。落ち武者みたいに全身に矢が刺さってるわ……」
私の励ましに、佳苗さんは力なくぼやく。
しばらくして北原さんが手作りのアップルパイと紅茶を出してくれ、その間にも引っ越し業者さんが段ボールを搬入している。
荷物については恵が上条さんと話して、とりあえずリビングダイニングに置いてくれたら、あとは自分でやるという事に落ち着いたようだ。
業者さんが働いているなか、私たちはお茶を飲む。
なお、北原さんはキッチンに戻って料理の続きに取りかかっていた。
「……色々聞きたい事はあるんだけど、強盗に押し入られたって本当? 田村くんだったの? 朱里ちゃんも大丈夫だった?」
佳苗さんはまず、母親として娘の身を案じる。
そのあと、私たちは交互に昨晩あった事を話し、とくに大きな怪我はなく、昭人たちも警察に捕まった事を報告した。
「はぁ……」
佳苗さんは溜め息をつき、私は頭を下げて謝罪する。
「私のせいで恵を危険な目に遭わせてすみません」
「何言ってるの! 朱里ちゃんだって被害者でしょう? 悪いのはストーカーになった田村くんなんだから、二人とも負い目を感じなくていいの!」
佳苗さんはピシッと言ってから、「あぁ~、美味しい~」と溜め息混じりに言い、カスタードクリームの入ったアップルパイを食べる。
そのあと彼女は溜め息をつき、また家の中を見回してから遠い目でもう一度溜め息をついた。
「恵の家で引っ越しの現場監督をやっていたら、三日月涼さんがやってきたわけよ。ダイヤモンドが歩いてきたかと思ったわ。掃き溜めに鶴よ」
「人の家に向かって失礼な」
恵がボソッと突っ込む。
「ご丁寧な挨拶をいただいて、名刺をいただいて……。お母さん、目玉が飛び出て荒川を超えたかと思ったわ」
「そこまで行くなら竹ノ塚まで目玉飛ばしなよ……」
恵はお茶を飲み、また突っ込む。
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