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王子2 ☆
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「クレハさん、もう少しで仮教育をすることになっているでしょう」
「あぁ、はい」
仮教育というのは、教師になる者で言えば教育実習に当たる。
クレハが目指しているのは身分の高い人物への教育係なので、実習は実際に貴族の子供などに教える予定になっている。
それもまた今はノアの家にいる身なので、どうしようかとクレハもロヴ教授に相談しあぐねているところだ。
「ネタばらしをしてしまうと、クレハさんの仮教育担当が私なんです」
「ふぁっ!」
驚いたクレハがまた妙な声を出し、飛びすさった。
背後で護衛が声を殺して笑う気配があり、クレハは顔を赤くしながら少しずれた眼鏡を直す。
「さっきから思っていましたが、クレハさんは驚いた時の反応が猫のようですね」
「いっ……いえ……」
王子さまの前で恥ずかしい行動をとってしまったと、クレハはまた赤面する。
「失礼ですが……、見た目に分かる特徴がありませんが、種族は……?」
だがオーウェンの質問にクレハはドキッとし、言葉に窮してしまう。
「あの……」
視線を泳がせてチラッとオーウェンを見ると、彼は初対面の時と変わらない好意的な表情でじっとクレハの返事を待っている。
近所の人たちは気のいい人たちで、赤ん坊の時からクレハを知っていて外見のことも種族のことも何も言わない。むしろ守ってくれている。
だが貴族も通う学校に行き始め、クレハは自分が劣等種族なのだと思い知った。
中にはノアのようにクレハの中身を気に入ってくれる人もいるが、この人はどうなのだろう……? と、ついクレハは思うのだ。
けれど、将来就職して誰かの教育係になる時、嘘の履歴書を書くことはできない。
「私……、死んだ父はインキュバスで、母は遠い東の国からここへ来た人間です。私自身、魔族的な能力は自覚していないのですが……」
視線を落としたまま自信なさげに言い、最後に不鮮明に言葉を切らせてオーウェンを見る。
すると、彼は事情を理解したというようにニコッと笑ってみせた。
「お母様はよくぞ遠い地から来られましたね。色んな種族がこの王国に増えることは、喜ばしいことです」
オーウェンが紳士なスタイルを崩さないのに安心しつつも、クレハは彼の言葉に思わず口を挟む。
「そうなんですか? でも……、魔族の中に人間が入る事実を受け入れない……とか、少なくとも私は排他的な目に遭いました」
「それは……、大衆心理としては仕方がないかもしれません。全員ではありませんが、多くの人は異質なものをすぐに受け入れない傾向があります。自分の知らないものは怖い、もしくはよくないものだと考えてしまいます。不測の事態の時に備えて……でしょうか。何かがあれば、『あいつはよそ者だから』で済ませてしまえるんです」
それも一理ある、とクレハは納得する。
「でも私は、色んな種族や文化が入り混じることによって、この国がどんどんいい方向へ成長するのを願っています。単一民族は血統を尊ぶ傾向がありますが、それだけでは成長にも限界がありますし」
オーウェンの言葉を、クレハは異国の言葉を聞くような気持ちで聞いていた。
「私……、そんな風に考える人、初めてです」
「そうですか? 私の周りには割とそういう人は多いですが。クレハさんのよく知っている……、ノアとか」
「あ……っ」
教授の部屋の前まで来ていて、クレハはドアをノックする手を思わずとめた。
「ノアさまを……?」
思わぬところで思わぬ名前が出てオーウェンを見ると、彼はすべてを知っているような笑顔を返す。
「はい、彼とはいい友人関係を築けています」
「そう……なんですね」
思えば王族と貴族とで交流があるのかもしれないと思い、クレハは帰ったらノアに訊いてみようと思った。
「あの、教授……ロヴ教授のお部屋はここです。私はそろそろ急いで帰らないとならないので、この辺りで失礼致しますね」
「あぁ、はい。ご親切にありがとうございました」
ニコッと微笑むオーウェンにクレハは頭を下げ、それからもと来た道を足早に戻ってゆく。
廊下を曲がって階段に差し掛かった時にチラッと振り向くと、廊下には既にオーウェンの姿はなかった。
だがドアの両側を守っている護衛が、クレハに向かってヒラヒラと手を振っていた。
それにまたペコリと頭を下げ、クレハは階段を急いで下りる。
ウェズブルク家からの迎えはもうとっくに来ていてもおかしくなく、待たせていては失礼だとその足も速まった。
構内を早足で横切り、正門の方からは馬車のシルエットと馬の鼻息が聞こえた。
(もう迎えに来てくださっているわ。御者さんに謝らないと)
あと少しで御者の顔が見えるというところで、クレハは馬車の前に人影があるのに気付く。
御者が御者台から下りて待っているのと思いきや、近付けはその人影はノアだ。
「あ……、ノアさま……」
まさかノアが待っているとは思わず、クレハは呆然として歩みを止めてしまう。
「……おかえり、クレハ」
ノアはいつも通りに微笑んでいる。
だが口元が申し訳程度に笑んでいるだけで、その目はなに一つ笑っていない。
おまけにいつもなら琥珀色の目は、やや金色に光りつつあった。
「ノ……ノア……さま?」
さすがにその異様さを感じたクレハは、思わず一歩下がりたくなる足を堪える。
ここでそんな態度を取れば、この優しい主人は傷付いていしまうだろうことを知っているからだ。
「遅かったんだね」
静かすぎて平坦な声が言い、クレハは思わず頭を下げる。
「ご心配をおかけして申し訳ございません」
「なにか、用事があったのかい?」
「ノアさまのご友人だと仰る、オーウェン王子がいらしていて、ロヴ教授のところまでご案内していました」
素直に説明すると、ノアはクレハをじっと見つめたまま黙ってしまう。
「……? あの……?」
沈黙に耐えきれずクレハがノアを覗き込むと、彼はやるせないというように息をついてからグッとクレハの手首を掴んだ。
「おいで。まずは帰るんだ」
「は、はい」
馬車に乗せられノアがカーテンを閉めてしまうと、馬車はゆっくりと走り出した。
カポカポと蹄の音がし、石畳の道の凸凹に合わせて馬車が少し揺れる。
「あの……」
何か言おうとしたクレハの唇を、ノアの指先がふにゅりと潰した。
「クレハ。これから僕は君に甘える。いいね」
「え……? は、はい……」
きょとんとして承諾すると、ノアは彼女のワンピースのボタンを外しだした。
「えっ」
驚いているクレハの前でパンパンになっていた胸元はすぐに解放され、絹のキャミソール越しにノアが谷間に顔を埋めた。
「ノア……さま」
甘えると言ったのはこういうことか、と思うとなんだか愛しくなり、クレハは彼の赤毛をそっと撫でる。
「クレハ……。君は僕だけのものだ」
柔らかな母性の象徴に顔を埋め、ノアは更にキャミソールのボタンも外してクレハの胸を露わにしてしまった。
両手でタプタプと柔らかな肉を弄び、ノアは柔らかな先端を口に含む。
「あ……」
舌先でチロチロと先端をくすぐられ、クレハはかすれた声を出す。
「あぁ、はい」
仮教育というのは、教師になる者で言えば教育実習に当たる。
クレハが目指しているのは身分の高い人物への教育係なので、実習は実際に貴族の子供などに教える予定になっている。
それもまた今はノアの家にいる身なので、どうしようかとクレハもロヴ教授に相談しあぐねているところだ。
「ネタばらしをしてしまうと、クレハさんの仮教育担当が私なんです」
「ふぁっ!」
驚いたクレハがまた妙な声を出し、飛びすさった。
背後で護衛が声を殺して笑う気配があり、クレハは顔を赤くしながら少しずれた眼鏡を直す。
「さっきから思っていましたが、クレハさんは驚いた時の反応が猫のようですね」
「いっ……いえ……」
王子さまの前で恥ずかしい行動をとってしまったと、クレハはまた赤面する。
「失礼ですが……、見た目に分かる特徴がありませんが、種族は……?」
だがオーウェンの質問にクレハはドキッとし、言葉に窮してしまう。
「あの……」
視線を泳がせてチラッとオーウェンを見ると、彼は初対面の時と変わらない好意的な表情でじっとクレハの返事を待っている。
近所の人たちは気のいい人たちで、赤ん坊の時からクレハを知っていて外見のことも種族のことも何も言わない。むしろ守ってくれている。
だが貴族も通う学校に行き始め、クレハは自分が劣等種族なのだと思い知った。
中にはノアのようにクレハの中身を気に入ってくれる人もいるが、この人はどうなのだろう……? と、ついクレハは思うのだ。
けれど、将来就職して誰かの教育係になる時、嘘の履歴書を書くことはできない。
「私……、死んだ父はインキュバスで、母は遠い東の国からここへ来た人間です。私自身、魔族的な能力は自覚していないのですが……」
視線を落としたまま自信なさげに言い、最後に不鮮明に言葉を切らせてオーウェンを見る。
すると、彼は事情を理解したというようにニコッと笑ってみせた。
「お母様はよくぞ遠い地から来られましたね。色んな種族がこの王国に増えることは、喜ばしいことです」
オーウェンが紳士なスタイルを崩さないのに安心しつつも、クレハは彼の言葉に思わず口を挟む。
「そうなんですか? でも……、魔族の中に人間が入る事実を受け入れない……とか、少なくとも私は排他的な目に遭いました」
「それは……、大衆心理としては仕方がないかもしれません。全員ではありませんが、多くの人は異質なものをすぐに受け入れない傾向があります。自分の知らないものは怖い、もしくはよくないものだと考えてしまいます。不測の事態の時に備えて……でしょうか。何かがあれば、『あいつはよそ者だから』で済ませてしまえるんです」
それも一理ある、とクレハは納得する。
「でも私は、色んな種族や文化が入り混じることによって、この国がどんどんいい方向へ成長するのを願っています。単一民族は血統を尊ぶ傾向がありますが、それだけでは成長にも限界がありますし」
オーウェンの言葉を、クレハは異国の言葉を聞くような気持ちで聞いていた。
「私……、そんな風に考える人、初めてです」
「そうですか? 私の周りには割とそういう人は多いですが。クレハさんのよく知っている……、ノアとか」
「あ……っ」
教授の部屋の前まで来ていて、クレハはドアをノックする手を思わずとめた。
「ノアさまを……?」
思わぬところで思わぬ名前が出てオーウェンを見ると、彼はすべてを知っているような笑顔を返す。
「はい、彼とはいい友人関係を築けています」
「そう……なんですね」
思えば王族と貴族とで交流があるのかもしれないと思い、クレハは帰ったらノアに訊いてみようと思った。
「あの、教授……ロヴ教授のお部屋はここです。私はそろそろ急いで帰らないとならないので、この辺りで失礼致しますね」
「あぁ、はい。ご親切にありがとうございました」
ニコッと微笑むオーウェンにクレハは頭を下げ、それからもと来た道を足早に戻ってゆく。
廊下を曲がって階段に差し掛かった時にチラッと振り向くと、廊下には既にオーウェンの姿はなかった。
だがドアの両側を守っている護衛が、クレハに向かってヒラヒラと手を振っていた。
それにまたペコリと頭を下げ、クレハは階段を急いで下りる。
ウェズブルク家からの迎えはもうとっくに来ていてもおかしくなく、待たせていては失礼だとその足も速まった。
構内を早足で横切り、正門の方からは馬車のシルエットと馬の鼻息が聞こえた。
(もう迎えに来てくださっているわ。御者さんに謝らないと)
あと少しで御者の顔が見えるというところで、クレハは馬車の前に人影があるのに気付く。
御者が御者台から下りて待っているのと思いきや、近付けはその人影はノアだ。
「あ……、ノアさま……」
まさかノアが待っているとは思わず、クレハは呆然として歩みを止めてしまう。
「……おかえり、クレハ」
ノアはいつも通りに微笑んでいる。
だが口元が申し訳程度に笑んでいるだけで、その目はなに一つ笑っていない。
おまけにいつもなら琥珀色の目は、やや金色に光りつつあった。
「ノ……ノア……さま?」
さすがにその異様さを感じたクレハは、思わず一歩下がりたくなる足を堪える。
ここでそんな態度を取れば、この優しい主人は傷付いていしまうだろうことを知っているからだ。
「遅かったんだね」
静かすぎて平坦な声が言い、クレハは思わず頭を下げる。
「ご心配をおかけして申し訳ございません」
「なにか、用事があったのかい?」
「ノアさまのご友人だと仰る、オーウェン王子がいらしていて、ロヴ教授のところまでご案内していました」
素直に説明すると、ノアはクレハをじっと見つめたまま黙ってしまう。
「……? あの……?」
沈黙に耐えきれずクレハがノアを覗き込むと、彼はやるせないというように息をついてからグッとクレハの手首を掴んだ。
「おいで。まずは帰るんだ」
「は、はい」
馬車に乗せられノアがカーテンを閉めてしまうと、馬車はゆっくりと走り出した。
カポカポと蹄の音がし、石畳の道の凸凹に合わせて馬車が少し揺れる。
「あの……」
何か言おうとしたクレハの唇を、ノアの指先がふにゅりと潰した。
「クレハ。これから僕は君に甘える。いいね」
「え……? は、はい……」
きょとんとして承諾すると、ノアは彼女のワンピースのボタンを外しだした。
「えっ」
驚いているクレハの前でパンパンになっていた胸元はすぐに解放され、絹のキャミソール越しにノアが谷間に顔を埋めた。
「ノア……さま」
甘えると言ったのはこういうことか、と思うとなんだか愛しくなり、クレハは彼の赤毛をそっと撫でる。
「クレハ……。君は僕だけのものだ」
柔らかな母性の象徴に顔を埋め、ノアは更にキャミソールのボタンも外してクレハの胸を露わにしてしまった。
両手でタプタプと柔らかな肉を弄び、ノアは柔らかな先端を口に含む。
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