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時間の無駄2

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メイドさん?の服を手にいれる作戦は失敗した。けど、私にはまだ打つ手はあった。

この前、お兄様と外出した時…伯爵に飛び蹴りをくらわせた日に買った服!!
堅苦しい服が嫌で買ったけど『それは家でも着れない』って言われた服。いつか着ようと思っていたけど、まさかこんなにも早く役に立つとは!

その前に、グレアム様に会いにいかなくては。イヤだけどっ!

「失礼致します」

用意された紅茶とお菓子と感じの悪いグレアム様が前に見える。

今から、
『仲良くなるためにお話ししましょう。』の時間らしい。
この時間はいらないからお菓子だけくれないかな。

「………」
「………」

別に仲良くなる必要はないんだけど…。

「…怪我は?」
「え?はい、大したことはありません。」
「鏡をわるくらい、自分の顔を見たくないのか?」
「この顔せいで私は心を蝕まれましたので。」

この際、侯爵様は言いたいけど言えなさそうな事いっちゃおう!

「体も精神的にも弱りきった…そんな時に禁書を持ってこられたのです。王族とは、無慈悲で非道ですね。」

お!なんとなく禁書の話にもっていけてる?ちょっと嫌みも込みで!

「……読めたのだろう?」
「結果論ですわ。もし予め私が禁書を読めるのだと知っていたなら、それはなぜなのか、お聞かせ頂けますか?」

とりあえず、これを知らないと。

「さぁ…」

さぁ…って何よ。

「私は禁書を開けた事で、3ヶ月近くも意識が無かったんです。真実を知る権利はあると思うのですが、違いますか?」
「仕方がないだろう、俺にもわからないからな。」

……最悪。
何の情報も得られないなんて…。読める人の条件とか、詳しく知りたかったのに。
嘘をついているという証拠もないし。

「どうした?」
「あっ、いえ…何でもないです。」

今これ以上、禁書について聞くのはよくない。あやしまれる。

では、ミッション2

婚約破棄!!

「殿下はどのような女性が好みですか?」
「プフッ!」
え?
私の質問にグレアム様の斜め後ろに控えていた騎士団長のギルバートさんが勢いよく吹き出した。

「…どうかなさいましたか?」
「いえ、大変失礼いたしました。」

なぜか笑いをこらえてる顔してるんだけど…まぁいいけどね。
とりあえず、好みの真逆をいけばそれだけでもきっと効果はあるはず!って思ったのに…。

「好みなどない。そもそも誰でもいい」

1番面倒な答えっ!!

「誰でもよいのであれば、私で無くてもよい…という事でしょうか?」

「ならば、お前でもいいという事になるだろう」

この男……いちいちムカつく!!
う~ん…どうしたもんかな。

「婚約破棄を考えているなら諦めろ」
「諦めません!」
「どうあがいても、話はすすむ」

だからそれを壊したいって言ってるのに!

「おまえ…禁書に1年間は異性と深く接してはいけない…と書いてあったんだろう?」
「はい。」
「ならそれを父上に言えば、何かかわるんじゃないか?」

そうか!その手があった!!
禁書に書かれてるってことは、重大なことだよね!

「殿下、有難うございます。これで何とかなるような気がします。」
「まぁ、そう簡単に会えはしない。」
「なぜですか?」
「当たり前だろう。相応の理由もなしに、突然会えるわけない。」
うぅ…確かに……。
「…会えるように、殿下からお伝え頂けませんか?」

この男に借りはつくりたくないけど…

「俺には反対の意思はない。どうしてもというなら、侯爵に頼んでみては?」

そこをすっ飛ばして、あなたが言ってくれるほうが早いでしょう!!

話してる間も、目もあわせないしどうしよう……。

「はぁ…」

今日はこれ以上は時間の無駄。
早く終わってくれないかな…じゃないと、禁書を探しに行く時間も減る!

「あ……」
そういえば伯爵殺人事件と城に侵入者があったって、どんな感じだったんだろ?ニコルお兄様が危険になると困るから、ちょっと探りをいれようかな。

「……数日前に、この城に侵入した人がいたと聞きましたが、問題は解決したのですか?」

「何故そんな事を聞く?」

「いえ、べつに。まだ捕まってないのなら、怖いと思っただけです。」

「おしえる必要はない。」

だったら『何故?』とか聞かなければいいのに!

「……この前の舞踏会…ユーリという娘は本当に来ていなかったのか?」

っこの人、何でこんなにユーリを気にするの!

「来ていません。前にも申しましたがユーリが来る事はありません。」
「では、どこの誰だ?」
「おしえる必要はありません」
「何故言わない?」
「…言ってもわからないからです。」

私が畑で土まみれになってたら、絶対それがユーリだってわからない。目を向けるのは所詮綺麗なものばかりでしょ。


婚約者の前で他の女性の名前なんて出しちゃ駄目ですよ!!しかも、その人にやたら執着してるし!!
ギルバートは聞こえてくる二人の会話に、心の中で突っ込んだ。  


「なぜそんなにユーリの事を気にするのですか?」 

確かに、アイリーン様に失礼すぎますよ、殿下!!

「それこそお前にいう必要はない。」
「…そうそう、ユーリから伝言がありました。『あの時は助けてくださって有り難うございました。』と。もう2度とお会いする事はないので、代わりに伝えてほしい…との事でした。」
私はニッコリ笑って言う。

「2度と…、ならば会って自分で礼を言え…そう伝えろ」

藪をつついて蛇がでたとはこの事!
あまりにもユーリについて聞いてくるから、面倒で『2度と会えませんよ』って言って諦めさせようとしたのに!
何とかしなくては……

「それは叶いません。こちらからは連絡がつきませんので」

「何故だ、お前は会っているんだろう?」
「ええ。ユーリからたまに手紙が届くのみです。それも、時々市場で野菜を売っている男性から。よって、次はいつになるのか、私もわかりません。」

これで諦めてほしい!っていうか、終わらせよう。こちらから!

「これ以上はお互い会話は続かないように思いますので、私は失礼致します。殿下もお忙しいのでしょう?では。」

別にかまわないでしょ。私は早く禁書を探さないといけないのよ!
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