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4.休憩中の盛り
家電量販店の男女-1
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平日は土日祝に比べて遥かに客足が少ない。
東京23区内であっても、山手線から少し外れてしまえばそこはもう地方さながら。
家電量販店に来る客層は基本的に高齢者メインとなる。
その休憩中に、似た雰囲気を持つ男女は店舗の屋上で煙草を吸っていた。
「あーダリィ」
「武川、今日いくら売ったの」
「まだ8千円くらい」
「逆に何それ」
「卓上クリーナーと…何だっけ」
既に夕暮れ時を迎えているのにこの日の売上がこれだけとは…と考えていたのは初期の頃だけで、今はもう売れる時には売れる、売れない時には売れない、というのを理解していた。
売上が上がれば評価も上がり、ボーナスに響くというのに気合は入らない。
二人は煙草を吸いながら、流れる雲を見上げていた。
「日が暮れていくなぁ」
「んー、だねぇ」
「あ、あの雲、おっぱいみたいな形してら」
武川は自他共に認めるおっぱい星人で、何かにつけておっぱいという単語を発したがる。
それを聞く柳井はいつものことだと華麗にスルー。
「はぁー。やりてぇな」
「欲求不満か」
武川は煙草の煙を吐き出すと、空を見上げたまま柳井にお伺いを立てた。
「なー、柳井」
「なに?」
「おっぱい触らして?」
「ん」
「んー、どれ」
やる気のない顔で空を見上げる柳井の胸へその手を伸ばすと、はだけたブラウスの隙間から中へと侵入させた。
「直かよ」
武川の手がブラウスの中のキャミの中の、さらにブラジャーの中にまで入ってくるとは思っていなかった。
けれど柳井は微動だにしない。
おっぱいの形を確かめるようにブラジャーの中に手のひらが添えられ、人指し指が先端を捉える。
柳井は若干ピクッと反応するが、それ以上は何も言わないし抵抗もしなかった。
「乳首ちっちゃいんだな」
「感想とか求めてねぇから」
他愛もない話をしているような雰囲気の二人だが、その指はくにゅくにゅと確かに柳井の蕾を刺激し続けていた。
「したくなる」
「俺も」
屋上の扉が開く音がすると、武川はその手をひっこめた。
「お疲れっすぅ」
「お疲れぇ」
「おつっす」
休憩時間でなくとも暇さえあれば喫煙所に人が集まりやすい、喫煙率の高い職場だった。
気兼ねなく居られるこの場で、武川と柳井も仲良くなった。
煙草の火を消し店内に戻れば、たまに呼ばれて接客しながらも、やはり平日ならではの暇さに欠伸が出る。
平日は早番に限る。残業もなしに帰れるからだ。
荷物を取った二人は更衣室前で偶然会った。
「乗ってく?」
「うん」
車に乗り込むと、二人して煙草に火をつけた。
「白物リーダー長がさ、俺に冷蔵庫運べとか言ってきてさ」
「武川いつから白物担当になったの」
「いつからだろうね?今日も黒物、接客してたと思うんだけど?」
大まかに言えば家電量販店では冷蔵庫や洗濯機などは白物家電、テレビやレコーダーなどは黒物家電、PC関係はPC家電と総称される。黒物担当の武川はつまり、自分の管轄外を命じられたらしい。
「プラプラ油売ってねぇで搬入くらい手伝え。みたいな」
「油すら売れてないけどね」
「8千円だかんね」
っぷはぁ。と二人して煙を窓の外に吐き出した。
煙草の火を消すと、武川が柳井の方へと顔を近づけた。
「ん」
柳井は嫌がる素振りもなく、武川のキスを受け入れる。
唇でお互いのそれを吸い合って、挟んで、舌も絡んでくる。
「ここでいい?」
「は?」
職場の駐車場に停車したままの車で交わしたキスにスリルはある。
けれど柳井は細めた目で明らかに不満な顔を見せた。
武川の運転する車が走り出した。向かう方面は――。
「安いとこね」
ラブホ街の中でもリーズナブルな外観を選んだ。
「もっと洒落たとこ連れてけねーのかよ」
「給料日前なんで」
ホテルに入ると荷物を置く。
「シャワー浴びたいタイプ?」
「別にどっちでも」
「靴下だけ脱いどいていい?」
「あたしも。ストッキング破られたくないし」
各々が気にかける部分さえ取っ払ってしまえば、後は本能と性欲に任せられた。
武川と柳井は初めて一緒にホテルに来た。
付き合っているわけではない。
屋上での出来事さえ、今日初めて交わされた単なるじゃれあいに過ぎなかった。
突然スイッチが入ったかのように武川は柳井の肩を抱き寄せて、少し開いた口で唇をカプッと塞いだ。
柳井はそれを受け入れて、目を細めた。
ちゅっ…ちゅうっ…
「んっ…」
夕方からずっと耐えてきた性欲の炎はすでに囂々と燃え上がっていた。
したくてしたくてたまらない。熱を上げた性欲は快楽を求めてお互いを貪りあう。
「ベッド」
「ん」
武川の一声で二人の体はベッドへと移動された。押し倒されるようにベッドに横になった柳井の体から、どんどん服が剥ぎ取られていく。
「前から思ってたけどさ」
「ん」
キスは続けながらも身ぐるみを剥がす手を止めない武川からは、緊張ひとつ感じられない。慣れているようにも思える。
「柳井の体ってエロいよな」
「あ…んっ…そういう目で見てるからじゃん」
「ん。マジで」
上半身が下着だけになった柳井が今度は、武川の上着のボタンに手を掛けた。
東京23区内であっても、山手線から少し外れてしまえばそこはもう地方さながら。
家電量販店に来る客層は基本的に高齢者メインとなる。
その休憩中に、似た雰囲気を持つ男女は店舗の屋上で煙草を吸っていた。
「あーダリィ」
「武川、今日いくら売ったの」
「まだ8千円くらい」
「逆に何それ」
「卓上クリーナーと…何だっけ」
既に夕暮れ時を迎えているのにこの日の売上がこれだけとは…と考えていたのは初期の頃だけで、今はもう売れる時には売れる、売れない時には売れない、というのを理解していた。
売上が上がれば評価も上がり、ボーナスに響くというのに気合は入らない。
二人は煙草を吸いながら、流れる雲を見上げていた。
「日が暮れていくなぁ」
「んー、だねぇ」
「あ、あの雲、おっぱいみたいな形してら」
武川は自他共に認めるおっぱい星人で、何かにつけておっぱいという単語を発したがる。
それを聞く柳井はいつものことだと華麗にスルー。
「はぁー。やりてぇな」
「欲求不満か」
武川は煙草の煙を吐き出すと、空を見上げたまま柳井にお伺いを立てた。
「なー、柳井」
「なに?」
「おっぱい触らして?」
「ん」
「んー、どれ」
やる気のない顔で空を見上げる柳井の胸へその手を伸ばすと、はだけたブラウスの隙間から中へと侵入させた。
「直かよ」
武川の手がブラウスの中のキャミの中の、さらにブラジャーの中にまで入ってくるとは思っていなかった。
けれど柳井は微動だにしない。
おっぱいの形を確かめるようにブラジャーの中に手のひらが添えられ、人指し指が先端を捉える。
柳井は若干ピクッと反応するが、それ以上は何も言わないし抵抗もしなかった。
「乳首ちっちゃいんだな」
「感想とか求めてねぇから」
他愛もない話をしているような雰囲気の二人だが、その指はくにゅくにゅと確かに柳井の蕾を刺激し続けていた。
「したくなる」
「俺も」
屋上の扉が開く音がすると、武川はその手をひっこめた。
「お疲れっすぅ」
「お疲れぇ」
「おつっす」
休憩時間でなくとも暇さえあれば喫煙所に人が集まりやすい、喫煙率の高い職場だった。
気兼ねなく居られるこの場で、武川と柳井も仲良くなった。
煙草の火を消し店内に戻れば、たまに呼ばれて接客しながらも、やはり平日ならではの暇さに欠伸が出る。
平日は早番に限る。残業もなしに帰れるからだ。
荷物を取った二人は更衣室前で偶然会った。
「乗ってく?」
「うん」
車に乗り込むと、二人して煙草に火をつけた。
「白物リーダー長がさ、俺に冷蔵庫運べとか言ってきてさ」
「武川いつから白物担当になったの」
「いつからだろうね?今日も黒物、接客してたと思うんだけど?」
大まかに言えば家電量販店では冷蔵庫や洗濯機などは白物家電、テレビやレコーダーなどは黒物家電、PC関係はPC家電と総称される。黒物担当の武川はつまり、自分の管轄外を命じられたらしい。
「プラプラ油売ってねぇで搬入くらい手伝え。みたいな」
「油すら売れてないけどね」
「8千円だかんね」
っぷはぁ。と二人して煙を窓の外に吐き出した。
煙草の火を消すと、武川が柳井の方へと顔を近づけた。
「ん」
柳井は嫌がる素振りもなく、武川のキスを受け入れる。
唇でお互いのそれを吸い合って、挟んで、舌も絡んでくる。
「ここでいい?」
「は?」
職場の駐車場に停車したままの車で交わしたキスにスリルはある。
けれど柳井は細めた目で明らかに不満な顔を見せた。
武川の運転する車が走り出した。向かう方面は――。
「安いとこね」
ラブホ街の中でもリーズナブルな外観を選んだ。
「もっと洒落たとこ連れてけねーのかよ」
「給料日前なんで」
ホテルに入ると荷物を置く。
「シャワー浴びたいタイプ?」
「別にどっちでも」
「靴下だけ脱いどいていい?」
「あたしも。ストッキング破られたくないし」
各々が気にかける部分さえ取っ払ってしまえば、後は本能と性欲に任せられた。
武川と柳井は初めて一緒にホテルに来た。
付き合っているわけではない。
屋上での出来事さえ、今日初めて交わされた単なるじゃれあいに過ぎなかった。
突然スイッチが入ったかのように武川は柳井の肩を抱き寄せて、少し開いた口で唇をカプッと塞いだ。
柳井はそれを受け入れて、目を細めた。
ちゅっ…ちゅうっ…
「んっ…」
夕方からずっと耐えてきた性欲の炎はすでに囂々と燃え上がっていた。
したくてしたくてたまらない。熱を上げた性欲は快楽を求めてお互いを貪りあう。
「ベッド」
「ん」
武川の一声で二人の体はベッドへと移動された。押し倒されるようにベッドに横になった柳井の体から、どんどん服が剥ぎ取られていく。
「前から思ってたけどさ」
「ん」
キスは続けながらも身ぐるみを剥がす手を止めない武川からは、緊張ひとつ感じられない。慣れているようにも思える。
「柳井の体ってエロいよな」
「あ…んっ…そういう目で見てるからじゃん」
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