【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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Lv.3 立ちはだかる敵はアンチ民

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 姉が外泊して帰って来たのも半年ぶり。
 帰宅は次の日の夜だった。

「おかえり。彼氏とできた?」
「ただいまたっちゃん。一応、最後までできたよ」

 どうやら彼氏との苦い思い出を、新たに書き換えることに成功したらしい。
 俺も安心したよ、お姉ちゃん。

「この際何日か泊まってくれば良かったのに」
「圭人も私も、明日から仕事だからね」

 ああそういえば明日が月曜か。
 和葉が居たら呆れ顔でなんか言われたところだ。

「そうだ。圭人がたっちゃんにもお土産くれたよ」
「チョコじゃん。さすがアニキ」

 麻央が紙袋から取り出したのは、ちょっと高級そうなチョコレートだった。
 糖分が欲しくなった時に最適な、俺にとっての必須アイテムである。

 たかがゲーム、されどゲーム。

 俺の職業はただ楽しんでいるだけに思われやすいが、脳みそをフルに活用するためか甘いものが欲しくなるもの。

 会ったことはないけれど麻央の彼氏はプロゲーマーを職業として認めてくれるタイプだそうだし、気が利く男で俺は気に入った。

 イスタンブールを首都とするトルコはチョコが名物でもあるらしいから、そこまで考えたとは思えないが。

「圭人がね、今度挨拶しに来るって」
「え? ここに? 父ちゃんたち居ないのに?」

 結婚の挨拶か?
 半年ぶり会って一気に熱したか?

「たっちゃんに会いに来るんだよー」
「なんで?」
「……なんでだろう?」

 いや聞いてないんか。
 いきなり弟に会いたいなんて言われたら普通、何で急に? なんて考えるものだと思うが。

「でもたっちゃんに会ってみたいって言ってた。ゲーム好きな人だし、話してみたいのかな?」
「彼氏さんそんなゲーム好きなの?」
「携帯のパズルゲーム上手だよ」
「ああ……」

 一般的に言う程度のゲーム好きか。
 俺の職業に興味でも湧いたんだろうか。
 この界隈以外から見ると、何やってるか全く理解されにくいものではあるし。

 ん……?
 ……まさか、な?

「麻央、俺としてたこととか、彼氏に言ったりしてないよな?」
「えっ? 言うわけないよ。さすがに言えない」
「だよな。焦った」

 天然なところがあるし、麻央の場合うっかり口走らないとも限らない。

 さすがに自分の彼氏に、あなたとのナイトフィーバーのために弟に気持ちよさを教えてもらったの。なんてアホすぎる発言はいくら麻央でもしないよな。

 挨拶と言いながらただの殴り込みだったら、俺泣いちゃう。自慢じゃないが現実世界では虫1匹殺せないのだ。大人の男に勝てる気がしない。



 自室に戻ればつけっぱなしのパソコンをスリープモードから目覚めさせる。
 本体、キーボードとマウスはもちろん、カメラとマイクとヘッドホンも自動的に起動。ここまでものの数秒。

「そうだマイク」

 新調したばかりのマイクを古いものと入れ替えた。
 と言っても今まで使っていたのと同じメーカーの上位互換。ただ接続穴にブッ刺せば済む。

 ここ最近の配信は専ら3D シューティングゲームで、発売してさほど時間は経ってなくとも人気の高い作品。

 FPSと呼ばれるジャンルで一人称視点なので、実際にその世界に自分が居るかのように錯覚しやすく、没入感を得やすい。

───【FPSライジング・ガン】 通称ライガン。

 リアルで綺麗な映像と迫力ある効果音やキャラ音声。キャラは任意メイキングが出来、オリジナル性の高さも魅力。
 そしてオンライン特有のバグの少なさは高評価。

「さて数日ぶりにログインしましてっと」

 ログインした後、ライブ配信を開始した。



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