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Lv.9 突然の襲撃にも取り乱さない
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俺のステルス機能は非常に有能であった。
麻央とアニキの邪魔をしなかったし、耳を澄ませて2人の情事をこっそり楽しんでも居ない。
数時間の配信を終えてヘッドホンを外した時にはもう、ベッドの軋む音も何かが擦れる音すらも聞こえなかった。
朝になってキッチンに立つ麻央は「寝坊しちゃった」と焦っていたが、いつも手を抜かないのだから日曜日くらいは休んでいいと思う。
あくびをしながら洗面所から出てきた圭人さんの満足そうな寝起き顔に俺は、お約束の言葉を投げかけた。
「ゆうべはお楽しみでしたね」
圭人さんはその言葉を知っていたようで、最初は照れて見せた。
そしてそのあと思い直したのか、「ごめんうるさかったかな?」と心配していた。
「弟に気を遣う必要なんてないですぜ、アニキ。
でもまた、どこかのチョコを手に入れたらこっちに回してくれると助かる!」
にっこり笑顔を見せると、圭人さんは笑って頷き返してくれた。
それから何度か圭人さんがお泊まりに来ることがあったけれど、一度も麻央の部屋の様子を窺い知るきっかけはなかった。
多分麻央も圭人さんも俺の存在に気を遣ってるんだと思う。
逆に俺が気を遣って家を空けるべきか?
そんな2人がデートしてくると出かけて行った日。
俺は案の定、家でゲームをしていた。
配信ではなく、オンライン対戦で自分の戦略が通用するか試す目論みだ。
オンラインゲームは定期的にアップデートが入り、その度に新規ステージや新機能が追加される。
日々チェックしておかなければ、気づけば置いていかれるなんてことも当たり前にある。
仕様の確認、実体験、理解して、チューニング。
その繰り返しである。
新しく実装されたアイテムやステージを実際に体験してみて、いくつかのキィポイントを見つけたので一息つこうとリビングに降りた時。
ピンポーン
む。こんな前兆なくこの家を訪ねてくるとは。
宅配か? それとも和葉か?
今日はゲームに集中したいから前者希望で!
インターホンのモニターを覗くと、そのどちらでもなかった。
映っていたのはシロサイである。
「は?」
腕を組み、黙って、考えて、落ち着いた。
これは出ない方がいい。
誰もいない高山家だ。息を潜めておこう。
ピンポーン
応答がない、誰もいない、仕方ない、帰る。
あり得る選択肢はこれ一択だろうと、余裕をぶっこいて優雅に冷蔵庫からエナジードリンクを取り出す。
玄関からはリビング内が見えない構造である。
カーテンの隙間から見えるかも知れないが……大丈夫だ。わざわざ回り込んで中を確認するなんて変態くらいだ。
ピンポーン
ひつこいな。放っておこう。
折れた方が負けだ。俺は今日、居留守を使うことを決めたのだ。
しかしシロサイは変態よりも大変だった。
ドンドンドンドン!!
「高山くん! 居るのは分かってるのよ!
こんにちはー!! 開けてーーー!!」
両親が頑張って建てた立派な家の重厚な扉を力いっぱい叩きつけながら、大声で叫び出した。
「おいマジかよ」
「高山くーん! 居るんでしょー!!
開けてー! 中に入れてー!!」
ご近所迷惑になるのも困るので、俺が折れた。
扉を開くとシロサイが言った。
「やっと出てきたわね。遊びに来たわ」
「中に入れてなんて熱烈な言葉、こんなに色気なく懇願されたのは初めてだよ」
「ん? だってオンラインになってたんだもん。居るの分かってるのに出てこないから」
俺の下ネタが通じん奴だ。
麻央とアニキの邪魔をしなかったし、耳を澄ませて2人の情事をこっそり楽しんでも居ない。
数時間の配信を終えてヘッドホンを外した時にはもう、ベッドの軋む音も何かが擦れる音すらも聞こえなかった。
朝になってキッチンに立つ麻央は「寝坊しちゃった」と焦っていたが、いつも手を抜かないのだから日曜日くらいは休んでいいと思う。
あくびをしながら洗面所から出てきた圭人さんの満足そうな寝起き顔に俺は、お約束の言葉を投げかけた。
「ゆうべはお楽しみでしたね」
圭人さんはその言葉を知っていたようで、最初は照れて見せた。
そしてそのあと思い直したのか、「ごめんうるさかったかな?」と心配していた。
「弟に気を遣う必要なんてないですぜ、アニキ。
でもまた、どこかのチョコを手に入れたらこっちに回してくれると助かる!」
にっこり笑顔を見せると、圭人さんは笑って頷き返してくれた。
それから何度か圭人さんがお泊まりに来ることがあったけれど、一度も麻央の部屋の様子を窺い知るきっかけはなかった。
多分麻央も圭人さんも俺の存在に気を遣ってるんだと思う。
逆に俺が気を遣って家を空けるべきか?
そんな2人がデートしてくると出かけて行った日。
俺は案の定、家でゲームをしていた。
配信ではなく、オンライン対戦で自分の戦略が通用するか試す目論みだ。
オンラインゲームは定期的にアップデートが入り、その度に新規ステージや新機能が追加される。
日々チェックしておかなければ、気づけば置いていかれるなんてことも当たり前にある。
仕様の確認、実体験、理解して、チューニング。
その繰り返しである。
新しく実装されたアイテムやステージを実際に体験してみて、いくつかのキィポイントを見つけたので一息つこうとリビングに降りた時。
ピンポーン
む。こんな前兆なくこの家を訪ねてくるとは。
宅配か? それとも和葉か?
今日はゲームに集中したいから前者希望で!
インターホンのモニターを覗くと、そのどちらでもなかった。
映っていたのはシロサイである。
「は?」
腕を組み、黙って、考えて、落ち着いた。
これは出ない方がいい。
誰もいない高山家だ。息を潜めておこう。
ピンポーン
応答がない、誰もいない、仕方ない、帰る。
あり得る選択肢はこれ一択だろうと、余裕をぶっこいて優雅に冷蔵庫からエナジードリンクを取り出す。
玄関からはリビング内が見えない構造である。
カーテンの隙間から見えるかも知れないが……大丈夫だ。わざわざ回り込んで中を確認するなんて変態くらいだ。
ピンポーン
ひつこいな。放っておこう。
折れた方が負けだ。俺は今日、居留守を使うことを決めたのだ。
しかしシロサイは変態よりも大変だった。
ドンドンドンドン!!
「高山くん! 居るのは分かってるのよ!
こんにちはー!! 開けてーーー!!」
両親が頑張って建てた立派な家の重厚な扉を力いっぱい叩きつけながら、大声で叫び出した。
「おいマジかよ」
「高山くーん! 居るんでしょー!!
開けてー! 中に入れてー!!」
ご近所迷惑になるのも困るので、俺が折れた。
扉を開くとシロサイが言った。
「やっと出てきたわね。遊びに来たわ」
「中に入れてなんて熱烈な言葉、こんなに色気なく懇願されたのは初めてだよ」
「ん? だってオンラインになってたんだもん。居るの分かってるのに出てこないから」
俺の下ネタが通じん奴だ。
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