【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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Lv.9-2

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 しかしそうか、オンラインゲームのウィークポイントはそれだな。
 リアルタイムにオンラインかどうかが分かる。

「で? 何しに来たの? 何で靴脱ぐの?」

 玄関部のみで立ち回ろうとしてみたが、框に入ってきて靴を脱ぎ始めたのを阻止仕切れず自然と家に入れる流れになってしまった。
 和葉ほどうるさくないのがせめてもの救いである。

「アップデートされたし、ムジンフリーリィの見解を聞こうと思って」
「まだ今、攻略途中なんだけど」
「もう攻略始めたの? 早い!」
「俺は早くはない方なんだけど」
「えー! プロの世界ってすごいんだね」

 俺の下ネタが通じん奴だ。

「一応、エナジードリンク持ってきたんだけど」
「いい奴だな。まあ上がれよ」

 そしてなかなか気が利く奴だ。


 部屋に再度上がり込んだシロサイは、本当にゲームについて熱心だった。
 俺の洞察力に興味深そうなシロサイと、シロサイの新しい視点での考え方に俺も納得させられたりした。

 俺のゲーマー魂が刺激されて、お互いの認識を深めて行った。

「ナイフと切り替えた方がいいのかな」
「距離を取る方が有利っぽいけどね」
「でもリロード結構長いんじゃない?」
「そのために機敏性をとったんだけど」

 俺のキャラがシロサイによって操作されると、普段と違う動きが見られてまた面白い。
 人の考え方によって行動パターンが変わるからこそ、FPSは奥深いのだ。
 
 ここまで真剣に語れるとなれば、俺もちゃっかりお茶とお茶菓子なんて用意してやってしまう。

 どうぞゆっくりしていけ、の姿勢だ。

「そういや何でムジンフリーリィって名前なの?」
「最初は自由人を意味したフリーマンって名前だったんだけど、事務所に入る頃、荒らしプレイしてた同じ名前の人が居て。
 縦横無尽って言葉を使いたがった事務所がムジンにしようって。でもカッコよくないし元々の自由人の雰囲気残したいって言ったら」

 別にムジンフリーリィがカッコいいとも思っていないけど、もう何年もこれで来てると勝手に愛着も沸いた。

「シロサイは自分の名前だろ?」
「そう。名前の付け方分かんなくて適当に」
「シラサイじゃないのがこだわりを感じる」
「実際中学の頃とか、シロサイって呼ばれてた」

 中学は別の学校だったはずなので、名前に覚えがないのは不可抗力である。セーフだ。
 そして体勢を変えた瞬間に、短いスカートが揺れて白いパンツが見えたのも不可抗力である。

 ピンポーン

「お客さん?」
「……嫌な予感がする」

 選択肢はいつの時も、配達員か和葉。
 そして今とても和葉である気がする。
 立ち上がることもなく気配を消してみた。

「いいの?」
「……いいの」

 なんとなくの雰囲気で玄関の向こうに立っているのが和葉であると確信した瞬間、居留守の技を使おうと心に決めた。

 しかしシロサイが来た時に締め忘れた鍵。
 鍵さえ開いていれば迷わず我が家のように上がり込むのが和葉という暴君である。

 遠くの方で扉の開く音がして、やはりだ。

 勝手に入ってきた和葉がドタバタと足音を響かせ、俺の部屋まで直行してきた。

「麻央ちゃんのじゃない靴があったんだけど!」

 部屋のドアを開け放った和葉が、シロサイの存在に気づいて押し黙った。

「…………え?」

 俺専用のゲーミングチェアである、コックピットに座ったシロサイ。
 そしてその横に立って、同じ画面を覗き込んで居ただろう俺。

 俺とシロサイは突然襲来した和葉に同時に振り返り、2人を見比べるように視線を忙しく動かした和葉は再度「え?」と呟いた。



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