【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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 麻央の性教育(座学のみ)が終わって、ゲームショップに来た。

 基本的にオンライン対戦のPCゲームをメインで楽しんでいるが、たまにRPGの古いタイトルが恋しくなることがある。

 ドット絵とか、今のようにCGが発達していなかった頃だからこそストーリーが美しくて感動するものも多い。

 懐かしいというより知らなかったタイトルも、口コミの評価が高いものは上から全てチェックした。
 古すぎて中古ですら手に入らないものもあるのは残念だが、発掘した時の喜びはたまらない。

 今日は何か、探し物を見つけられる気がする!
 そんな時、声をかけられた。

「高山くん」
「シロサイ、か」

 家が近いと言っていたし、同じゲーマーとしては一番近所にあるこのゲームショップで鉢合わせる可能性はあるだろう。

 この間、なかなかに楽しい時間を過ごせたにも関わらず少し時間が空いただけで、また距離感がリセットされた感じがする。
 本来コミュ障な本質が発揮されると、一瞬気付かなかったフリが通用するのではと無意識に退路を探した。

「この間はありがとう。帰ってから自分でもやってみたけど、すごく納得いくセットが出来たよ」
「お、そうか」

 だがシロサイの方は俺と違って積み上げ式の記憶媒体なのか、平然とした表情で、しかも笑顔を見せた。

 シロサイの存在を知った時からアンチ小娘として見てきて、良いイメージを持っていなかった時期があっただけだ。

 そして帰らせるたまにちょっとビビらせて……それが俺のネックかと思いきや、そのあと突撃されて仲良くなった。

 一連の流れを思い起こせば、もう警戒する必要なんかなさそうだ。シロサイも笑ってる。

「何か探してんの?」
「雑誌で高山くんが紹介してたやつ見にきたの。今日発売日だし」

 手には例の、俺が酷評した新作ゲームが。

「それくそおもんなかったよ?」
「え、雑誌で結構、いい感じのコメントが載ってたんだけど」
「……印象操作だな。マジやる価値ないレベル」
「えーそうなの? 新しいの楽しみにしてたのに」

 事務所と雑誌が勝手に評価を書き換えたらしい。
 無理やり絞り出した、「気に入った点」だけに焦点を当てて思い切り褒めちぎったかのように見せる。よくある手法だ。

 残念そうなので、俺は別のゲームを提案してやることにした。
 俺が実際にやって良かったもののみに絞る。

「これはそれなりに面白いかも。キャラを育てるのもややこしくないし、ちゃんとやり込み要素あるし」
「やったことないや」
「こっちは頭使う系だけど、戦略とか考えるのに役立ってなかなか楽しめる」
「こんなのあるの知らなかったな」

 事務所やメーカーを通すと、思っても見ない総評をしたことにさせられるので、直接本音で勧められるのは俺としても嬉しい。

「こんなとこかな」
「どれからやろうか迷う」
「てかほとんどうちにあるし、貸そうか?」
「ほんと? 嬉しい!助かるよ!」

 待て、嬉しい。
 そんな笑顔すんのかよシロサイ。

「また高山くんのお家に遊びに行っても良い?」
「いいよー。俺んちゲームしかやることないけどね」
「楽しいからいいじゃない」

 何だシロサイ超良いやつだし可愛いじゃないか。
 童貞アンチ野郎とか思っててごめん。

「あ、でも」

 ふと考えた。

「たぶん、俺、シロサイとすぐしたがるよ?」
「ん? しようよ。対戦でも協力でもいいよ?」
「いや、そうじゃなくて。うちに来たら俺、シロサイのこと抱きたがるかも」
「えっ……?」

 そりゃ黙るよな。
 脅かすだけのつもりだったにせよ、シロサイからすれば俺は前科ありなのだ。

 言ってることは底辺だなと自分でも思う反面、シロサイ側が受け入れた場合、全ての問題が解決することも期待している。
 あ、最低だな俺。自分でわかってるけど、これが俺のデフォルトで備わってる本能らしい。

「私、高山くんのことが好きって言ったよね?」

 ほんのり頬を染めて、静かに口を開いた。
 それは? どういう意図の発言だ?

「だから、イヤじゃないよ?」

 こんな反応が来ると思っていなかったから、むしろ俺の方がまごついた。
 軽くみるなとかバカにするなとか、そういう言葉でもって俺を制する場面かとばかり思っていた。
 
「私がゲーム始めたのだって、ゲームが好きだったからじゃないよ。高山くんに近づきたくて、理解したかったからだもん」

 しおらしいと言っていいのか疑問だが、頬を染めて微笑まれたらぞくぞくする。

「おいでよ」

 いつから俺、シロサイとそういうことしたいとか思ってたんだっけ?
 記憶は定かではないのに、前からそうだったような気がして無性に2人きりになりたくなった。

 気づけば俺はシロサイの腕を掴み、自分の方へと引き寄せていた。


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