【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

文字の大きさ
50 / 78

Lv.17 ヒロインの回想には勇者が必須

しおりを挟む
 次回ライガンの大会が公式発表され、事務所からの推薦で俺も出場することが決まった。

「あーごめんムジンくん。今回薙刀なぎなた剣士けんしさんたちから声かけてもらって、もうチーム組むって言っちゃったんだよね」

 今回はどうしようと迷っている間に、前回チームメンバーとして優秀で心強かった青赤コンビが別メンバーとチームを組んでしまったらしい。

 4人以上のチーム戦出場か、2人のペア戦出場枠があるのだが……。
 シロサイとペアを組んだらまた違う方向で盛り上がってしまいそうだ。

「え、ムジンくん、シロサイちゃんと組めばいいじゃない。2人の連携プレイをまた見たいって配信コメントでもよく言われるんでしょ?」

 これは事務所の人である。
 もはやシロサイとの関係を匂わせることを、話題作りにちょうどいいとさえ思っているのがありあり読める。

 俺としても出場するからには優勝できる仲間が良い。赤青コンビ以上に信頼できる相手なんて思いつかない。

 ならば事務所の思惑に乗ってやろうじゃないか。
 シロサイに声をかけると、二つ返事でペアが成立した。


 そして最近よくオンラインを繋いでペア練習を繰り返して居るのだが、珍しく今日は家まで来た。
 手作りのご飯を作ってきてくれたらしい。

 俺が配信含めリモートを繋いで居る時にチョコレートばかり食べているのに気づき、ご飯は食べてるのかと聞かれたのがきっかけだ。

「大したものじゃないけど、野菜食べれるように」
「久しぶりに手作りのもの食べる」
「ほんと心配だよ」
「お茶くらいは淹れられるから待って」

 キッチンで沸かしたお湯でお茶を淹れようとして、手が滑る。軽く漏れ出たお湯が手にかかり思わず声が出た。

「あっちっ」
「えっ大丈夫!?」

 焦って飛んできたシロサイは俺の手を掴んで、流水につけさせた。

「ここだよね? 痛い?」
「大丈夫、てかそんな大袈裟じゃないかも」
「ダメ。火傷は腫れてからじゃ遅いんだから」

 掴まれたまま、流れる水につけてしばらく。
 無言ながらに心配されているのをものすごく感じる。

 俺よりも背の低いシロサイの顔を俯瞰で見ていると、妙な気分になってくる。

「シロサイ」
「ん? やっぱり痛い?」

 俺を見上げた目に、ふっと笑ってしまった。

「何で笑ってるのよ」
「ムラムラしてきた」
「……こらっ!」

 掴まれていた手をしばかれた。

「シロサイさぁ」
「……なぁに」
「もしかして俺のこと好きでしょ」
「好きって何度も言ってるじゃん」

 言わせたくて聞いたのだが、あっさり言われて照れた顔も見られないのは寂しい。

「何で俺がいいの?」

 今まで恋愛についての話題は避けたがっていた俺にしては非常に思いがけない質問だった。
 聞いた俺も何でそんなこと聞いてるんだろうと頭の隅で思ったが、純粋にその理由は気になる。

「高山くんは覚えてないかも」
「そんな昔のこと?」
「高校時代のことだからね」
「え、委員長時代に俺のこと既に好きだったの?」
「ううん。でもきっかけではある」
「うん?」
「私、今、一人暮らししてるんだけど」

 ここから、シロサイの昔話が始まった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

意地悪な姉は 「お花畑のお姫様」

岬 空弥
恋愛
ある日、シオンの前に現れた、優しそうな継母と意地悪そうな姉。 しかし、その第一印象が崩れるのに時間はかからなかった。その日より始まった新しい生活は、優しそうな継母に虐げられる弟のシオンを、意地悪そうな姉のフローレンスが護る日々の始まりだったから。 血の繋がらない姉弟が、お互いを思いやりながら、子供なりに知恵を絞って頑張って生きて行くお話。 子供だった二人が立派に成長を遂げる頃、弟の強い愛情に戸惑う姉を描いています。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

憧れの彼は一途で優しくて時々イジワル

RIKA
恋愛
営業課長・永瀬綋司は、その容姿や優秀ぶりから多くの女性社員にとって憧れの的。 久遠香澄もその一人だが、過去の恋愛で負ったトラウマから自分に自信がもてず恋愛を封印して過ごしていた。 ある日、香澄は会社帰りに偶然永瀬と駅で遭遇する。 永瀬に誘われて二人で食事に行くことになり緊張する香澄だが、話しているうちに少しずつ緊張もほぐれてゆく。 話題が恋愛の話になったとき、彼は香澄に向かって突然驚くべき言葉を口にした。 「好き。――俺の彼女になってくれない?」

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...