6 / 7
(6)
しおりを挟む
「エヴラール……」
不安げな表情で彼を見上げる。アンジュにはこういうことの知識はないという設定だから、エヴラールに頼らなければならない。
あ、そういえばこの世界で生理のあいだってどうするんだろう? あそこに布でも突っ込んでおくのかな。いや、それは不衛生過ぎるか……。普通におしめみたいにするのかな。
「殿下、ご心配めされるな。殿下は今日、ひとつ大人になられたのでございます」
「大人に……?」
「はい」
そう言ってエヴラールは微笑んだ。わたしは、彼のこういう顔が好きで――端的に言うと弱かった。
この笑顔を見ると、愛されているなあと思える。顔だけじゃなく、全身からあたたかな空気が感じられて、それがひどく心地良い。
「おめでとうございます、殿下」
「あり、がとう?」
戸惑うアンジュが微笑ましいのか、エヴラールは妙ににこにこしている気がする。
「そのままではお辛いでしょう。どうぞベッドに体を横たえて……」
エヴラールに促されて、ようやくわたしはベッドで横になることが出来た。
ああー、やっとだよ。これでちょっとは痛みが楽になればいいなあ。
それからエヴラールは布をわたしに手渡し、足の間に当てておくように言う。今日、エヴラールが来る前に干し台から取り込まれた布だから、まあ衛生的には大丈夫……か?
もぞもぞと掛け布団の下でやることをやり終えると、エヴラールの言葉の続きを促した。
「エヴラール……大人になったって……?」
「はい。突然に血が出ておどろいたでしょうが、これは殿下の御体が大人になりつつあることの証なのでございます。ですからそう怯えなされますな」
「うん……」
とは言っても血が出るわ痛いわってこりゃなんの罰ゲームだよって感じだ。
そう言えばアンジュの生理は軽いのかな、重いのかな。出来れば軽いほうでお願いしたい。
そんなことをぐるぐる考えていると「失礼」と言う声が上から降って来た。
わたしが少しだけ上半身を起こそうとすると、エヴラールの大きな手がそれを制止する。
そうして次に腰へと温かいものが当たった。エヴラールのごつごつとした手が、アンジュの腰にそっと当てられている。
「エヴラール?」
「こうすると楽になることがあるそうですが……いかがですか?」
「うん……。あったかくて、気持ちいいよ」
「それはようございました」
しばらくの無言。けれども、いつかのように居心地の悪さはない。
エヴラールはゆっくりと腰を撫で続けてくれた。そういう風にされたことなんてなかったから、果たして痛みがましになるのか、効果のほどはわからない。けれどもプラシーボ効果にせよなんにせよ、アンジュの形容しがたい痛みは少しだけなりを潜めた。
それに、エヴラールの体温が心地良くて、気を抜いたら寝落ちしてしまいそうだ。
ずっと、こうしていて欲しいと思ってしまうくらいには、エヴラールの手は具合が良かった。
「殿下、この前の予知ですが」
「うん」
「殿下のお陰で無事に首謀者を捕らえることが出来ました」
「そう……良かった」
わたしがその夢を見たのはもう二週間以上前になる。
黒髪のいかにも戦巧者といった老年の男と、赤髪の聡明そうな年若い男が共謀して白昼堂々王を暗殺する。
いつもと同じような夢だ。
そう、いつもと変わらない夢だった。
「陛下は大変感謝されておりましたよ」
「そっか」
「つきましては外出の許可を与えても良いと……そうおっしゃられておりました」
「――え?」
エヴラールの言葉に、わたしは目を見開いた。エヴラールはそんなわたしを優しい目で見つめている。
「外に……出られるの?」
「ええ、そうでございます」
わたしの腰をゆっくりと撫でさすっていたエヴラールの手が止まった。
「嬉しゅうございますか?」
わたしはエヴラールを見た。
エヴラールもわたしを見ていた。
「今……」
「はい」
「今すぐ、出てもいい?」
「今すぐ、でございますか?」
「うん」
今度はエヴラールがちょっと意外そうな顔をして、わずかに瞠目した。
「ちょっとだけでいいから」
「……では、僭越ながら私が殿下を抱き上げて出ましょう。まだお立ちになるのはお辛いでしょう?」
「いいの? 重くない?」
「殿下は羽根のようにお軽うございますから」
「それは……言いすぎだと思う」
再びエヴラールに抱き上げられた。体を動かしたことで内臓の位置が変わったのかなんなのか、また治まって来ていた痛みがぶり返して、思わず目を細める。
「大丈夫ですか?」
目ざとくその表情を認めたエヴラールに心配されるが、アンジュの意思は変わらない。
風はいつだって顔にだけ吹きつける。鉄格子のはまった小さな窓からは、それが限界だった。
「わあ……!」
けれども今、穏やかな風はアンジュの全身を撫でて行った。塔から一歩出ただけで、久しく感じていなかった感覚に、目が覚める思いだ。
外はこんなにまぶしかっただろうか。風はこんなにも気持ち良かっただろうか。
杏樹のときの記憶を引っぱり出そうとするけれど、それはあまりにも古すぎて、よくはわからなかった。
「すごい。空って、こんなにも広いんだね」
「はい」
「ずっと、ずっと向こうまで続いてる」
空はこんなにも胸のすくような色をしていただろうか。山はこんなにも雄大な稜線をしていただろうか。
杏樹の経験を、感覚を思い出そうとするけれど、それはほとんど錆びついていて、よくはわからなかった。
「殿下」
「うん?」
「外は、お好きですか?」
「……ううん」
わたしは静かに首を振った。
「わたしには広すぎて……なんだか怖いわ」
わたしはこんなにもクズだっただろうか。
「殿下はずっとあの塔にいらっしゃいましたからな。そう思うのは仕方のないことでございましょう」
「そうかな?」
「はい。……そろそろ帰りましょう殿下。風がお体に障ります」
エヴラールはこんなにも――怖かっただろうか。
わたしがその夢を見たのはもう二週間以上前になる。
黒髪のいかにも戦巧者といった北の辺境伯と、赤髪の聡明そうなエヴラールの親友が共謀して、白昼堂々父王を暗殺する。
いつもと同じような夢。
そう、いつもと変わらない夢だった。
いつもと違ったのは、エヴラールがそれを王には告げなかったこと。その計画にエヴラールも加担していたから、彼は予知を握りつぶした。
わたしの父はひどい人なんだろう。わたしよりもずっとずっと、クズなんだろう。
生々しい夢の中で、彼が他人を殺すところをたくさん見た。粗相をしたメイド、彼を諌めた重臣、虫の居所が悪かっただけで餌食になった若い騎士。
わたしの父は、わたしよりもずっとずっとひどい人だったんだろう。
だから、殺された。
それを悲しく思わないわたしはクズなんだろう。
エヴラールがわたしの助命を進言してくれたことにほっとする、クズなんだろう。
血を流さずにはいられない世界を置いて、この閉じられた世界の中でエヴラールに独占されることを喜ぶ、どうしようもないやつ。
でもそうしたのはあなただよ、エヴラール。
「うん、早く帰ろう。エヴラール」
エヴラールが望むから、だからわたしはクズのまま。
それはきっとエヴラールがわたしに飽きるか、死ぬか、あるいはわたしが死ぬまでそうに違いない。
山からの風が強く吹きつけて、子宮が痛みを訴える。
「早く帰りたい」
「はい」
「……そうしたらまた腰を撫でてくれる?」
「殿下がお望みでしたら、いくらでも」
わたしを抱いたまま、エヴラールはそう言って微笑んだ。
不安げな表情で彼を見上げる。アンジュにはこういうことの知識はないという設定だから、エヴラールに頼らなければならない。
あ、そういえばこの世界で生理のあいだってどうするんだろう? あそこに布でも突っ込んでおくのかな。いや、それは不衛生過ぎるか……。普通におしめみたいにするのかな。
「殿下、ご心配めされるな。殿下は今日、ひとつ大人になられたのでございます」
「大人に……?」
「はい」
そう言ってエヴラールは微笑んだ。わたしは、彼のこういう顔が好きで――端的に言うと弱かった。
この笑顔を見ると、愛されているなあと思える。顔だけじゃなく、全身からあたたかな空気が感じられて、それがひどく心地良い。
「おめでとうございます、殿下」
「あり、がとう?」
戸惑うアンジュが微笑ましいのか、エヴラールは妙ににこにこしている気がする。
「そのままではお辛いでしょう。どうぞベッドに体を横たえて……」
エヴラールに促されて、ようやくわたしはベッドで横になることが出来た。
ああー、やっとだよ。これでちょっとは痛みが楽になればいいなあ。
それからエヴラールは布をわたしに手渡し、足の間に当てておくように言う。今日、エヴラールが来る前に干し台から取り込まれた布だから、まあ衛生的には大丈夫……か?
もぞもぞと掛け布団の下でやることをやり終えると、エヴラールの言葉の続きを促した。
「エヴラール……大人になったって……?」
「はい。突然に血が出ておどろいたでしょうが、これは殿下の御体が大人になりつつあることの証なのでございます。ですからそう怯えなされますな」
「うん……」
とは言っても血が出るわ痛いわってこりゃなんの罰ゲームだよって感じだ。
そう言えばアンジュの生理は軽いのかな、重いのかな。出来れば軽いほうでお願いしたい。
そんなことをぐるぐる考えていると「失礼」と言う声が上から降って来た。
わたしが少しだけ上半身を起こそうとすると、エヴラールの大きな手がそれを制止する。
そうして次に腰へと温かいものが当たった。エヴラールのごつごつとした手が、アンジュの腰にそっと当てられている。
「エヴラール?」
「こうすると楽になることがあるそうですが……いかがですか?」
「うん……。あったかくて、気持ちいいよ」
「それはようございました」
しばらくの無言。けれども、いつかのように居心地の悪さはない。
エヴラールはゆっくりと腰を撫で続けてくれた。そういう風にされたことなんてなかったから、果たして痛みがましになるのか、効果のほどはわからない。けれどもプラシーボ効果にせよなんにせよ、アンジュの形容しがたい痛みは少しだけなりを潜めた。
それに、エヴラールの体温が心地良くて、気を抜いたら寝落ちしてしまいそうだ。
ずっと、こうしていて欲しいと思ってしまうくらいには、エヴラールの手は具合が良かった。
「殿下、この前の予知ですが」
「うん」
「殿下のお陰で無事に首謀者を捕らえることが出来ました」
「そう……良かった」
わたしがその夢を見たのはもう二週間以上前になる。
黒髪のいかにも戦巧者といった老年の男と、赤髪の聡明そうな年若い男が共謀して白昼堂々王を暗殺する。
いつもと同じような夢だ。
そう、いつもと変わらない夢だった。
「陛下は大変感謝されておりましたよ」
「そっか」
「つきましては外出の許可を与えても良いと……そうおっしゃられておりました」
「――え?」
エヴラールの言葉に、わたしは目を見開いた。エヴラールはそんなわたしを優しい目で見つめている。
「外に……出られるの?」
「ええ、そうでございます」
わたしの腰をゆっくりと撫でさすっていたエヴラールの手が止まった。
「嬉しゅうございますか?」
わたしはエヴラールを見た。
エヴラールもわたしを見ていた。
「今……」
「はい」
「今すぐ、出てもいい?」
「今すぐ、でございますか?」
「うん」
今度はエヴラールがちょっと意外そうな顔をして、わずかに瞠目した。
「ちょっとだけでいいから」
「……では、僭越ながら私が殿下を抱き上げて出ましょう。まだお立ちになるのはお辛いでしょう?」
「いいの? 重くない?」
「殿下は羽根のようにお軽うございますから」
「それは……言いすぎだと思う」
再びエヴラールに抱き上げられた。体を動かしたことで内臓の位置が変わったのかなんなのか、また治まって来ていた痛みがぶり返して、思わず目を細める。
「大丈夫ですか?」
目ざとくその表情を認めたエヴラールに心配されるが、アンジュの意思は変わらない。
風はいつだって顔にだけ吹きつける。鉄格子のはまった小さな窓からは、それが限界だった。
「わあ……!」
けれども今、穏やかな風はアンジュの全身を撫でて行った。塔から一歩出ただけで、久しく感じていなかった感覚に、目が覚める思いだ。
外はこんなにまぶしかっただろうか。風はこんなにも気持ち良かっただろうか。
杏樹のときの記憶を引っぱり出そうとするけれど、それはあまりにも古すぎて、よくはわからなかった。
「すごい。空って、こんなにも広いんだね」
「はい」
「ずっと、ずっと向こうまで続いてる」
空はこんなにも胸のすくような色をしていただろうか。山はこんなにも雄大な稜線をしていただろうか。
杏樹の経験を、感覚を思い出そうとするけれど、それはほとんど錆びついていて、よくはわからなかった。
「殿下」
「うん?」
「外は、お好きですか?」
「……ううん」
わたしは静かに首を振った。
「わたしには広すぎて……なんだか怖いわ」
わたしはこんなにもクズだっただろうか。
「殿下はずっとあの塔にいらっしゃいましたからな。そう思うのは仕方のないことでございましょう」
「そうかな?」
「はい。……そろそろ帰りましょう殿下。風がお体に障ります」
エヴラールはこんなにも――怖かっただろうか。
わたしがその夢を見たのはもう二週間以上前になる。
黒髪のいかにも戦巧者といった北の辺境伯と、赤髪の聡明そうなエヴラールの親友が共謀して、白昼堂々父王を暗殺する。
いつもと同じような夢。
そう、いつもと変わらない夢だった。
いつもと違ったのは、エヴラールがそれを王には告げなかったこと。その計画にエヴラールも加担していたから、彼は予知を握りつぶした。
わたしの父はひどい人なんだろう。わたしよりもずっとずっと、クズなんだろう。
生々しい夢の中で、彼が他人を殺すところをたくさん見た。粗相をしたメイド、彼を諌めた重臣、虫の居所が悪かっただけで餌食になった若い騎士。
わたしの父は、わたしよりもずっとずっとひどい人だったんだろう。
だから、殺された。
それを悲しく思わないわたしはクズなんだろう。
エヴラールがわたしの助命を進言してくれたことにほっとする、クズなんだろう。
血を流さずにはいられない世界を置いて、この閉じられた世界の中でエヴラールに独占されることを喜ぶ、どうしようもないやつ。
でもそうしたのはあなただよ、エヴラール。
「うん、早く帰ろう。エヴラール」
エヴラールが望むから、だからわたしはクズのまま。
それはきっとエヴラールがわたしに飽きるか、死ぬか、あるいはわたしが死ぬまでそうに違いない。
山からの風が強く吹きつけて、子宮が痛みを訴える。
「早く帰りたい」
「はい」
「……そうしたらまた腰を撫でてくれる?」
「殿下がお望みでしたら、いくらでも」
わたしを抱いたまま、エヴラールはそう言って微笑んだ。
0
あなたにおすすめの小説
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り
楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。
たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。
婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。
しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。
なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。
せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。
「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」
「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」
かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。
執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?!
見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。
*全16話+番外編の予定です
*あまあです(ざまあはありません)
*2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
あの素晴らしい愛をもう一度
仏白目
恋愛
伯爵夫人セレス・クリスティアーノは
33歳、愛する夫ジャレッド・クリスティアーノ伯爵との間には、可愛い子供が2人いる。
家同士のつながりで婚約した2人だが
婚約期間にはお互いに惹かれあい
好きだ!
私も大好き〜!
僕はもっと大好きだ!
私だって〜!
と人前でいちゃつく姿は有名であった
そんな情熱をもち結婚した2人は子宝にもめぐまれ爵位も継承し順風満帆であった
はず・・・
このお話は、作者の自分勝手な世界観でのフィクションです。
あしからず!
私ってわがまま傲慢令嬢なんですか?
山科ひさき
恋愛
政略的に結ばれた婚約とはいえ、婚約者のアランとはそれなりにうまくやれていると思っていた。けれどある日、メアリはアランが自分のことを「わがままで傲慢」だと友人に話している場面に居合わせてしまう。話を聞いていると、なぜかアランはこの婚約がメアリのわがままで結ばれたものだと誤解しているようで……。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる