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第二章 聖杯にまつわるお話

第252話

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 ライスバーガーの屋台が開店した。
 場所は何と神薙神社。

「まさかの敷地内」
「本当は屋台街に出したかったけど、場所取れなかった」
「競争厳しいです」

 学生から冒険者まで老若男女問わず利用する屋台街、売り上げが良い分、場所取りの競争が厳しいらしく、権力があっても意味がないらしいですよ。
 その分、神薙神社の境内なら、神薙さんの許可さえあれば屋台出せるからね。
 しかも神薙神社は拡張縮小どちらも自由自在、場所が足りないなら拡大すればいいの精神。

 食事処が増えればそれだけ選ぶ楽しみが増えるからね、屋台が増えることは神薙さんのご機嫌取りに大変有効だと邪教の一族の人が声高に主張してました。

「訪問者が多いから売り上げは見込めるし、まぁ大丈夫だろ」
『学園に行く前や帰宅する時にアー君が寄れます』
「おみやげ」
「みゃー」

 店長に就任したチャラいお兄さんは頭にタオルを巻き、チャラさをどこかへ置いて一流の職人の如く働いているそうです。
 パンツの人は強面な冒険者を相手に涙目になりながら働いているらしい、いや、君も冒険者だよね?
 冒険者向いてないんじゃない?

「ライスバーガーに使うバンズの量産も目途が立ったしな!」
「ネヴォラの発想のおかげですね~」
『涼ちゃん無双よ』
「エッヘンエッヘン」

 ライスバーガーのバンズの量産に冒険者を雇うとか、ダンジョンで魔物を大量雇用など様々な意見が上がっていたけれど、それを解決したのはネヴォラの「呪文を唱えるのは?」の一言で解決した。

 少し前に子供達がはまっていた呪文ごっこ。
 ブドウの女王「マスカット・オブ・アレキサンドリア」、涼玉が呼んだら近くにいたトレントに女王がたわわに実りまくったんだよね。
 あれを覚えていたみたい。

 物は試しだとアー君の領地に行き、地平線の彼方まで稲が実る場所を選んで、期待に目を輝かせ尻尾をブンブン振り回す涼玉を解き放った。
 あれは本当に壮観でした。

 涼玉が「ライスバーガーー、バンズ!!」と叫ぶや否や、周囲にあった稲が全てバンズに変わったんだ。
 異世界って凄いですね。

 いやもう本当、何でもあり。
 チートを通り越して意味が分からない。

 稲が踊って俵を放り出すのも驚いたけど、バンズを実らせて重さで折れない稲穂にも驚いた。
 僕の謎能力が全体的にふわふわして謎が多いのは分かっている。でも涼玉の能力も同レベルで意味がわからない気がします。

「俺、自分の才能が怖い」
『次はもち米でやってみましょ』
「面白そうだな、その気になれば餅の状態で収穫余裕だろ」

 物によっては片栗粉と混ぜたりなど、他の何かが必要になる場合もある。
 そういった必要なはずの食材の存在を丸っと飛び越してしまう涼玉の力、これ異世界どうのじゃなくて女神様が常々言っている「ご都合主義」が仕事してるのかもしれない。

 ちなみに、開店当日の一時間ほど、宣伝も兼ねてイネスがお手伝いに入っていました。
 何をしてきたかと言えば、おててに炎を宿してライスバーガーに肉球スタンプを片っ端から押すお仕事。

 一生懸命ぺたぺたするイネス、本当に可愛かった。
 最終的に一個一個やるのに飽きて、鉄板に乗り上げてライスバーガーの上を疾走してたけど。

 イネスガチ勢のスケルトンも当然のように並んでいて、イネスのスタンプが入ったライスバーガーを悲鳴を上げながら食べていたのはドン引きした。
 どうやら神聖属性が付与されていたようで、普通のスケルトンなら消滅レベルだったらしい。
 
 僕はどこにツッコミを入れればいいのでしょうか。
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