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第三章 世界に降りかかる受難
第545話
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本日は予定通りお城の食堂に行こうとして、阻まれました。
今、働く騎士様の腕の中にいるの。
騎士様はお弁当持参なので食堂に行かないという罠。
振り払って食堂に行きたい所だけど、いい子にしてたらアルパカに乗っていいと言われた。
迷いなくいい子にしてます。
騎士様の主なお仕事はアー君たちが宝物庫に放り込んだ財宝の鑑定、選別、書類に書き起こしなどなど。
出勤場所は宝物庫の手前に増設された鑑定ルーム、広くて大きい頑丈な机の上に金銀財宝が乱雑に置かれていて机の上が見えないです。
黙々と鑑定をする騎士様はさながら鑑定マシーンのようだ。
他にも国王様と一緒に国政に関わる書類処理、たまに刀雲のいる騎士団に行って指導もしてるみたいだけど、今日はここに缶詰めなんだって。
そんな騎士様のお仕事っぷりを腕の中で眺めるだけ、騎士様は書類を捌いたり、鑑定したりと忙しいけど、僕は暇です。
せめて騎士様がもふもふしていれば……。
「あれ? 何か頭がもぞもぞする」
「耳生えてますよ」
仕分けされ、箱に入れられた財宝を取りに来た職員さんが指摘して去っていった。
あの箱はバザーに出すか、商業ギルドに卸すかなど決める部署に運ばれるらしい。
「狼の耳ですな」
「え?」
目線を上げたら本当に騎士様にケモ耳が生えております。おおおー!
「尻尾も生えてますよ、次この箱です」
「えっ、待って何でそんなに普通なの!? 異常事態だよね?」
「仕事捌くほうが大事ですから」
「最低限終わらせないと、また宝物庫の床抜けたら困るんですよ」
「失礼します。パーティーの予算が通ったので確認お願いします、あっ、耳似合ってますよ」
仕事第一、騎士様の異変は二の次、刀国の役人さん強い。
耳はお仕事の邪魔になるから触れないけど、尻尾ならいいよね、もふもふもふもふもふ。
「犯人、樹か!?」
「もふもふです」
「戻そう!?」
「ブラッシングします、気にしないでください」
「樹ちゃーーん!!」
「騎士様うっさいですよ、早く承認印下さい」
「帰宅したけりゃ手を動かしてくださいよ、次の箱持ってきてもいいですか」
「休憩を所望する! いいよね、朝から働きっぱなし!」
「起きたまま寝言やめてください、あっこっちの書類は置いていくので目を通しておいてください」
ちょっとゴワゴワなのはお疲れだからだろうか、うーんでもこのゴワゴワ感が狼っぽくてとても良いです。
「鬼っ! 鬼しかいないのかよこの職場!!」
泣き言を叫ぶ騎士様、休憩すら許さず仕事を強要する役人、神様もびっくりなブラックな職場です。
あっ、そうか、叫んでいるから尻尾がぶわーってなっているんだね。
「じゃあお昼、早弁で!」
「片手で食べれるものを持たせてくれと、将軍を通して依頼してあるのでご安心を」
「少なくともお見合いパーティーが無事に終了するまでは、ろくに休憩取れないと思ってください」
九尾の狐っているよね。
でも異世界だし、九尾の狼もいてもいいんじゃない?
騎士様は特別な存在だし……。
「きゃーー! 尻尾が増えたぁあぁ!!」
「叫んでもいいけど手は動かしてください」
「ハイハイ、尻尾の一本や二本で騒がない」
「失礼する。樹を迎えに来た」
騎士様の尻尾をブラッシングしていたら刀雲が現れました。
「刀雲っ!」
「……似合っていると思う」
騎士様の頭を見た刀雲が目線を逸らしながらそう呟いた。肩震えてる。
「イツキ、炎虎が背中に乗せてくれるそうだ」
「乗る!!」
炎をまとった虎さん、お城の厨房から夜間警備までこなすプロフェッショナル。
一日中あちこちを回っているのでお城に来ても滅多に見れない虎さん、乗るに決まっています!
「騎士様バイバイ」
「そんなぁぁ」
虎さんの背中から騎士様に手を振ったら、立ち上がろうとして職員さんに押さえつけられてました。
相手が雲の上の存在だろうとも容赦ないのです。
今、働く騎士様の腕の中にいるの。
騎士様はお弁当持参なので食堂に行かないという罠。
振り払って食堂に行きたい所だけど、いい子にしてたらアルパカに乗っていいと言われた。
迷いなくいい子にしてます。
騎士様の主なお仕事はアー君たちが宝物庫に放り込んだ財宝の鑑定、選別、書類に書き起こしなどなど。
出勤場所は宝物庫の手前に増設された鑑定ルーム、広くて大きい頑丈な机の上に金銀財宝が乱雑に置かれていて机の上が見えないです。
黙々と鑑定をする騎士様はさながら鑑定マシーンのようだ。
他にも国王様と一緒に国政に関わる書類処理、たまに刀雲のいる騎士団に行って指導もしてるみたいだけど、今日はここに缶詰めなんだって。
そんな騎士様のお仕事っぷりを腕の中で眺めるだけ、騎士様は書類を捌いたり、鑑定したりと忙しいけど、僕は暇です。
せめて騎士様がもふもふしていれば……。
「あれ? 何か頭がもぞもぞする」
「耳生えてますよ」
仕分けされ、箱に入れられた財宝を取りに来た職員さんが指摘して去っていった。
あの箱はバザーに出すか、商業ギルドに卸すかなど決める部署に運ばれるらしい。
「狼の耳ですな」
「え?」
目線を上げたら本当に騎士様にケモ耳が生えております。おおおー!
「尻尾も生えてますよ、次この箱です」
「えっ、待って何でそんなに普通なの!? 異常事態だよね?」
「仕事捌くほうが大事ですから」
「最低限終わらせないと、また宝物庫の床抜けたら困るんですよ」
「失礼します。パーティーの予算が通ったので確認お願いします、あっ、耳似合ってますよ」
仕事第一、騎士様の異変は二の次、刀国の役人さん強い。
耳はお仕事の邪魔になるから触れないけど、尻尾ならいいよね、もふもふもふもふもふ。
「犯人、樹か!?」
「もふもふです」
「戻そう!?」
「ブラッシングします、気にしないでください」
「樹ちゃーーん!!」
「騎士様うっさいですよ、早く承認印下さい」
「帰宅したけりゃ手を動かしてくださいよ、次の箱持ってきてもいいですか」
「休憩を所望する! いいよね、朝から働きっぱなし!」
「起きたまま寝言やめてください、あっこっちの書類は置いていくので目を通しておいてください」
ちょっとゴワゴワなのはお疲れだからだろうか、うーんでもこのゴワゴワ感が狼っぽくてとても良いです。
「鬼っ! 鬼しかいないのかよこの職場!!」
泣き言を叫ぶ騎士様、休憩すら許さず仕事を強要する役人、神様もびっくりなブラックな職場です。
あっ、そうか、叫んでいるから尻尾がぶわーってなっているんだね。
「じゃあお昼、早弁で!」
「片手で食べれるものを持たせてくれと、将軍を通して依頼してあるのでご安心を」
「少なくともお見合いパーティーが無事に終了するまでは、ろくに休憩取れないと思ってください」
九尾の狐っているよね。
でも異世界だし、九尾の狼もいてもいいんじゃない?
騎士様は特別な存在だし……。
「きゃーー! 尻尾が増えたぁあぁ!!」
「叫んでもいいけど手は動かしてください」
「ハイハイ、尻尾の一本や二本で騒がない」
「失礼する。樹を迎えに来た」
騎士様の尻尾をブラッシングしていたら刀雲が現れました。
「刀雲っ!」
「……似合っていると思う」
騎士様の頭を見た刀雲が目線を逸らしながらそう呟いた。肩震えてる。
「イツキ、炎虎が背中に乗せてくれるそうだ」
「乗る!!」
炎をまとった虎さん、お城の厨房から夜間警備までこなすプロフェッショナル。
一日中あちこちを回っているのでお城に来ても滅多に見れない虎さん、乗るに決まっています!
「騎士様バイバイ」
「そんなぁぁ」
虎さんの背中から騎士様に手を振ったら、立ち上がろうとして職員さんに押さえつけられてました。
相手が雲の上の存在だろうとも容赦ないのです。
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