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湯水のごとくお金を使おう

第795話

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 その日の夕食はギレンお手製の握り寿司になりました。
 ネタは全てギレン提供の高級魚、高級海老ばかり。
 アカーシャと一緒に食べたくて夕食前に必死になって握ってた。

 魔力を搾り取られるのを回避する代わりに高級寿司を提案したので、イネスが容赦なく高いネタばかりリクエストしてました。
 ギレンの財布は無事だろうか。

「ふんふんふーん」
「イネスご機嫌」
「ネヴォラが釣った海老、美味しいです」
「んふふ」

 ただしイネスにだけ海老料理が一品多い。
 こちらの海老、池の底近くに住んでるブラックタイガー異世界版、30cmサイズのどでかい海老です。

 ネヴォラの正式な初釣り、獲物はイネスが大好きな海老でした。
 大きな海老を釣ったネヴォラが大喜びする背後で、池の中からトラちゃんがヒレを振り、クラーケンが触手を振っっていたので多分手助けしてくれたのだろう。
 ありがたや、シャムスが帰ったら伝えておくからね。

「パエリアに海老乗せただけだ……っぐ」
「ネヴォラは料理も上手なんだね」
「うふふ、次はアカーシャにも作るね!」

 本当の事を口にしたギレンの脇腹にアカーシャの肘鉄がクリーンヒットした。

「あ、あかーしゃ」
「ギレンは黙ってる」
「はい」

 ラーシャ並みに尻に敷かれていますね。
 我が家一しっかり者のアカーシャは子供に優しいのです。

「シャムス達が帰ったら海老尽くしのパーティーやろうか」
「やりたい! ねぇアカーシャ、じいちゃんも誘っていーい?」
「いいよ」
「やったー!」

 アカーシャに怒られたギレンが言われた通り静かにしているため、今日はネヴォラとの諍いがなくてとても平和な食卓です。

「刀雲、お酒足りてる?」
「ああスライムが作った酒が意外と美味い」

 ……ん?

「スライムが作ったの?」
「シャムスがナーガに預けたスライムの内、数匹が米を食べて酒を造れるようになった」
「シャムスのスライム凄いね」

 防御から調理、そしてとうとう酒造まで手を出したか。
 何でもありだなあのスライム。

「あのスライム、出来ないことってあるのかな?」

 マッサージの力加減も絶妙で女神様達好評だし、エステも出来る。
 騎士様は足裏マッサージの洗礼を受けて悶えてたけどね。

 料理に使わない部分は体内で粉末にして肥料化、ドリちゃんのご飯になっているらしい。
 ちなみに普通に出汁として利用しても美味しかったです。

「わたしもスライム好き、枕にするのが一番好きかなぁ」
「あれ、気持ちいいよね」

 僕も好きです、スライム枕。
 もふもふズのシルクのような毛並みや、ルークのふわっともふい毛皮もいいけど、あのぷるるん感は癖になるんだよね。
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