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女神の呪い

第841話

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 騎士様にお姫様抱っこされて無事帰宅しました。

 いつもと変わらない座敷の風景にホッとする。
 ただいま我が家、王道召喚に巻き込まれたばかりにひどい目に合いました。

「樹、このまま――」
「チーーーズ!」

 流れるように寝室に連れ込まれるかと思いきや、顔を近づけてきた騎士様の顔面にアー君の足の裏がヒットして綺麗な肉球跡が騎士様の尊顔についた。
 笑っちゃダメだろうか。

「アー君、おはよう」
「起きた! んーーっちゅ!」

 何ということでしょう、アー君が僕の頬にキスをしてくれたよ!
 あまりの可愛らしい行動にきゅんとしちゃう。

「俺のチーズ祭りが先! その次にシャムスと兄弟のべったり、刀雲のお仕置き、パパは最後の最後!」
「そんなぁ」
「主様」

 ふわりとした光とともに現れたのはカタログ数冊を両手に抱えた女神様だった。
 恭しく騎士様の前に跪いたけど、持っている本の表紙が不穏。

 フリルのエプロンが見える。
 ちょっと待って、まさかそれ……。

「こちらを」
「!!」
「選ぶ時間は多い方がよろしいかと」
「そうだね! うん! 鈴ったら気が利くね!」

 騎士様の背後に満開の花が見えた。
 僕を床に下ろしてから女神様からカタログを受け取ったんだけど、口元のニヤニヤが隠せてない。

 騎士様、騎士様、神々の上司様、鼻の下が盛大に伸びてますよ。

「お勧めの品が載っているページには付箋を貼ってありますが、一言添えるならば、やはり王道は白!」
「うん、一枚用意しておいて」
「ははっ!!」

 この主従って実は似た者同士なのだろうか、そうか、白か、新婚さんのイメージが強いですね。

「イツキ」
「刀雲!!」

 髪を乱して座敷に飛び込んできたのは刀雲、駆け寄ってきて僕をアー君ごと抱きしめた。
 逞しい腕の中、ホッとする。

「刀雲、ただいま」
「おかえりイツキ」
「樹、俺にも!」
「騎士様、アー君、ドリちゃん、ドリアン――みんな、ただいま」
「個別で――」
「「わふわふわふわふ!!」」
「きゃううううう!!」

 騎士様が何か言いかけたけどうちの子やもふもふズの鳴き声にかき消された。
 って、うおおお、もふもふの雪崩に流されるーー!!

「あははは」

 一緒にもふもふに埋もれたアー君が楽しそうに声を上げて笑っている。

「ママ、おかえり!」
「ただいま」
「シャムスと涼玉呼んでおやつにしよ!」
「うん」

 一口香を皆に食べさせて反応みたいんだね、了解。

「刀雲、一緒にこれ選ばない?」
「エプロン特集? へぇエロいな」
「樹が裸エプロンしてくれるって、どれがいいかな」
「この薄ピンクのフリル多めがエロい、脇から手が入れやすいのがすごくいい」
「でもフリルが多すぎてお尻が隠れちゃってるよ」
「主様、チラリズムです!」
「な、なるほど」

 座敷の隅で騎士様が刀雲と女神様と一緒にカタログを見ているんだけど、おやつはいいのかな、もふもふズも食べるみたいだからなくなっちゃうよー。

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