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森のモンスターと仲良くなった!
食べ物を求めて外へ
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「人を殺してはダメ。盗みもダメ」
赤子さんとスラ子がふむふむと頷く。
「どうして、ダメ?」
スラ子が首を捻る。
「僕が悲しいから」
「ゼロ、悲しい」
スラ子が手元にすり寄る。
スラ子は数日で会話が成立するほど言葉を学んだ。凄まじい学習能力だ。まだたどたどしいけど、これなら人と会話できる。
「盗みとはどういう意味だ?」
「例えば僕に黙って、僕の血を抜き取ることです」
「それはいけないな。理解できた」
赤子さんも凄まじい学習能力だ。町へ行っても人間と疑われないと思う。
「〇×ゲームやりませんか?」
「どんな遊びだ?」
「〇×?」
二人は興味津々な様子でのぞき込む。
「こうして、三×三のマスを用意します。交互に〇、×を書いて行きます。縦横斜めに〇か×を並べた人が勝者です」
「説明されただけでは分からんな。まずはやってみよう」
「ゲーム!」
手本のためにまずは一人で行う。次に赤子さんとやる。
「この〇という印はどんな意味がある?」
ゲーム中でも赤子さんは疑問をバンバン質問してくる。
「〇には良しとか、分かったとかいう意味があります」
「なるほど。ならば×はダメとか分からないか」
赤子さんはゲーム中にも様々なことを学ぶ。
「僕の勝ちです!」
「これは縦に〇が揃ったからか?」
「そうです」
「なるほど、少しずつ勝手が分かってきた」
さらにゲームを続ける。
10ゲームもやると普通に負けるようになった。
「斜めに×が揃った。×を書いたのは私だから、私の勝ちだ」
「参りました」
「当然だ! 私は赤子だぞ!」
エッヘンと胸を張る赤子さんは可愛かった。
「次はスラ子だ!」
「スラ子、〇」
膝の上に乗るスラ子が地面に指で〇を書く。
先ほどの勝負で色々学んだようだ。
最初の2ゲームは教えながらやったけど、すぐに必要なくなった。
10ゲームで勝てなくなった。
「僕の負け……」
「スラ子、勝ち!」
すり寄ってきたので頭を撫でる。
「偉い偉い」
「スラ子、偉い!」
苦笑いしてしまう。もう僕が教えることは無い。
「偉い偉い」
突然赤子さんが僕を抱きしめて頭を撫でる! 柔らかい胸がすぐ傍でドキドキする!
「あ、赤子さん? どうしたんです?」
「そいつに構いすぎだ」
子供っぽく口を尖らせる。
「次は私と勝負だ」
赤子さんはスラ子の前に座って中心に〇を描く。
「スラ子、戦う?」
スラ子が僕を見たので頷く。
「スラ子、×」
スラ子は隅に×を描く。
最初は赤子さんが勝った。
「どうだ!」
「もう、一度」
スラ子は不機嫌そうに中心に〇を描く。
「身の程を知らない奴だ」
意気揚々と赤子さんは隅に×を描く。
次はスラ子が勝った。
「勝った!」
ピースサインを作って喜ぶ。赤子さんの目尻が引くつく。
「もう一度だ」
赤子さんが中心に〇を描く。
「勝つ!」
スラ子は受けて立つ。
勝負は引き分けだった。
「引き分けですね」
「引き分けだと? 私がこのペットと同じ?」
「引き分け?」
二人は納得いかない感じだったので再戦する。
結果、20ゲームやっても引き分けが続いた。
「私が下等生物に勝てない?」
「うぎゅ。勝てない」
スラ子がヌルリと液状になって膝の上に来る。
「よく頑張った。偉い偉い」
「悔しい」
褒めても悶えるようにうねる。微笑ましい。
「そいつばかり構うな」
赤子さんの膝の上に乗せられる。
「お前は私のものだ」
ギュッと後ろから抱きしめられると甘い臭いがする。
「お腹空きません?」
照れくささを隠すために軽食とナイフを取り出す。
「そうだな。そろそろ血を飲ませてもらおう」
プツリと手のひらにナイフを滑らせる。赤子さんは両手で手のひらを包むと静かに舐める。
「僕たちも食べようか」
空いた手で軽食を取り出し、スラ子に手渡す。
「あーん」
スラ子が口元までビスケットを届けてくれたのでパクリと食べる。
「ありがとう」
お返しにスラ子の口元へビスケットを届ける。
「ありがとう」
食べると見とれるほどにっこり笑ってくれた。
「肌色になったら人間と変わらないね」
「肌色?」
「僕と同じ色」
「ゼロと同じ……」
スラ子はうねうねと膝の上で考え込む。
「ごちそう様。美味しかったぞ」
ペロリと赤子さんが手のひらに舌を這わす。ぞくりとする感触とともに痛みが引く。
「お粗末様でした」
和やかに食事をする。
「しかし、そろそろ外に出ないと」
僕の食料は残り僅か。それにスラ子にもたくさん食べさせたい。
「スラ子? お腹いっぱい?」
「スラ子、我慢」
気を使ってくれているけど、心なしか元気がない。
「赤子さん、外に出る道は一つだけですか?」
「隠し通路を通れば複数ある」
「案内してください。スラ子も付いてきて」
「分かった」
立ち上がると二人ともスッと立ち上がる。
「ご飯か……色々と考えることが多いな」
取るといってもどうやって? 何を? 冒険者たちに会う可能性は?
不安要素は沢山ある。
「でも、仕方がない!」
勇気をもって外へ行こう!
赤子さんとスラ子がふむふむと頷く。
「どうして、ダメ?」
スラ子が首を捻る。
「僕が悲しいから」
「ゼロ、悲しい」
スラ子が手元にすり寄る。
スラ子は数日で会話が成立するほど言葉を学んだ。凄まじい学習能力だ。まだたどたどしいけど、これなら人と会話できる。
「盗みとはどういう意味だ?」
「例えば僕に黙って、僕の血を抜き取ることです」
「それはいけないな。理解できた」
赤子さんも凄まじい学習能力だ。町へ行っても人間と疑われないと思う。
「〇×ゲームやりませんか?」
「どんな遊びだ?」
「〇×?」
二人は興味津々な様子でのぞき込む。
「こうして、三×三のマスを用意します。交互に〇、×を書いて行きます。縦横斜めに〇か×を並べた人が勝者です」
「説明されただけでは分からんな。まずはやってみよう」
「ゲーム!」
手本のためにまずは一人で行う。次に赤子さんとやる。
「この〇という印はどんな意味がある?」
ゲーム中でも赤子さんは疑問をバンバン質問してくる。
「〇には良しとか、分かったとかいう意味があります」
「なるほど。ならば×はダメとか分からないか」
赤子さんはゲーム中にも様々なことを学ぶ。
「僕の勝ちです!」
「これは縦に〇が揃ったからか?」
「そうです」
「なるほど、少しずつ勝手が分かってきた」
さらにゲームを続ける。
10ゲームもやると普通に負けるようになった。
「斜めに×が揃った。×を書いたのは私だから、私の勝ちだ」
「参りました」
「当然だ! 私は赤子だぞ!」
エッヘンと胸を張る赤子さんは可愛かった。
「次はスラ子だ!」
「スラ子、〇」
膝の上に乗るスラ子が地面に指で〇を書く。
先ほどの勝負で色々学んだようだ。
最初の2ゲームは教えながらやったけど、すぐに必要なくなった。
10ゲームで勝てなくなった。
「僕の負け……」
「スラ子、勝ち!」
すり寄ってきたので頭を撫でる。
「偉い偉い」
「スラ子、偉い!」
苦笑いしてしまう。もう僕が教えることは無い。
「偉い偉い」
突然赤子さんが僕を抱きしめて頭を撫でる! 柔らかい胸がすぐ傍でドキドキする!
「あ、赤子さん? どうしたんです?」
「そいつに構いすぎだ」
子供っぽく口を尖らせる。
「次は私と勝負だ」
赤子さんはスラ子の前に座って中心に〇を描く。
「スラ子、戦う?」
スラ子が僕を見たので頷く。
「スラ子、×」
スラ子は隅に×を描く。
最初は赤子さんが勝った。
「どうだ!」
「もう、一度」
スラ子は不機嫌そうに中心に〇を描く。
「身の程を知らない奴だ」
意気揚々と赤子さんは隅に×を描く。
次はスラ子が勝った。
「勝った!」
ピースサインを作って喜ぶ。赤子さんの目尻が引くつく。
「もう一度だ」
赤子さんが中心に〇を描く。
「勝つ!」
スラ子は受けて立つ。
勝負は引き分けだった。
「引き分けですね」
「引き分けだと? 私がこのペットと同じ?」
「引き分け?」
二人は納得いかない感じだったので再戦する。
結果、20ゲームやっても引き分けが続いた。
「私が下等生物に勝てない?」
「うぎゅ。勝てない」
スラ子がヌルリと液状になって膝の上に来る。
「よく頑張った。偉い偉い」
「悔しい」
褒めても悶えるようにうねる。微笑ましい。
「そいつばかり構うな」
赤子さんの膝の上に乗せられる。
「お前は私のものだ」
ギュッと後ろから抱きしめられると甘い臭いがする。
「お腹空きません?」
照れくささを隠すために軽食とナイフを取り出す。
「そうだな。そろそろ血を飲ませてもらおう」
プツリと手のひらにナイフを滑らせる。赤子さんは両手で手のひらを包むと静かに舐める。
「僕たちも食べようか」
空いた手で軽食を取り出し、スラ子に手渡す。
「あーん」
スラ子が口元までビスケットを届けてくれたのでパクリと食べる。
「ありがとう」
お返しにスラ子の口元へビスケットを届ける。
「ありがとう」
食べると見とれるほどにっこり笑ってくれた。
「肌色になったら人間と変わらないね」
「肌色?」
「僕と同じ色」
「ゼロと同じ……」
スラ子はうねうねと膝の上で考え込む。
「ごちそう様。美味しかったぞ」
ペロリと赤子さんが手のひらに舌を這わす。ぞくりとする感触とともに痛みが引く。
「お粗末様でした」
和やかに食事をする。
「しかし、そろそろ外に出ないと」
僕の食料は残り僅か。それにスラ子にもたくさん食べさせたい。
「スラ子? お腹いっぱい?」
「スラ子、我慢」
気を使ってくれているけど、心なしか元気がない。
「赤子さん、外に出る道は一つだけですか?」
「隠し通路を通れば複数ある」
「案内してください。スラ子も付いてきて」
「分かった」
立ち上がると二人ともスッと立ち上がる。
「ご飯か……色々と考えることが多いな」
取るといってもどうやって? 何を? 冒険者たちに会う可能性は?
不安要素は沢山ある。
「でも、仕方がない!」
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