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ブラッド領北部と仲よくしよう!
戦争終結
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「終わったな」
クラウンさんの死体の前で腰を抜かしていると、イーストさんに頭を撫でられる。
「貴族たちは?」
「捕縛した。兵士たちも武器を捨てた。戦争は終わった」
「そうですか」
ホッと胸を撫でおろす。再度大粒の涙が溢れる。
「あーあ。クラウン死んじゃったか」
屋上から声が聞こえたので見上げる!
倒したはずのレビィさんが無傷で立って居た!
「レビィ!」
イーストさんが武器を構える。
「止めて。私はもう戦う気なし。降参します」
レビィさんは屋上から飛び降りると、黙ってクラウンさんの傍に来る。
「羨ましい」
ポツリと呟いてクラウンさんの顔を撫でる。
そして僕に目を向ける。
「あなた、モンスターテイマーじゃないわね?」
目を細める。
「ただ単に、喋れるだけです。そして答えたから質問しますが、どうして無傷なんですか?」
「不老不死だから。それに傷を負っても勝手に治っちゃう体質なの」
レビィさんはあっけらかんと答える。
「あんたの一撃、すっごく痛かった。一回死んだもの」
「そうですか」
疲れ切って立てない。
「安心しなさい。もうあなたたちと戦わない。負けを認めるわ」
レビィさんはイーストさんの前に立つ。
「捕虜は縛られるのが常識。遠慮せず縛ってね」
「狂人が!」
イーストさんは荒縄でレビィさんをグルグルに縛る。
「ゼロは本当に優しいのね」
イーストさんに連行されるとき、レビィさんは言う。
「狂人にも涙を流してくれる。クラウンも幸せだった。ありがとう」
そして王都へ貴族とともに連行された。
「良くやった」
ジャックさんに声をかけられる。
「ええ。ただ、最後の作戦はふざけるなとだけ言っておきます。皆を共食いさせながら砦へ進むなんて冗談じゃない」
「その作戦のおかげで君は考え、成長した。ありがたく思うがいい」
ジャックさんは悪びれず手を叩く。
「戦争は終わった!」
歓声が巻き起こった。
それから起こったことを端的に述べる。
まず、レビィさんは西部戦線総大将から辞任させられた。犯罪者となった彼女は大人しく王都の牢獄に居る。
次に、イーストさんは100万貴族に戻った。
エリカ領もブラッド領に戻った。
北部の離反はクラウンさん、レビィさん、そして西部の貴族が独断で行った侵略行為と見なされた。結果、イーストさんに非は無いと認められた。
「私はあいつと戦争したかっただけ。そのために色々手を回したわ」
レビィさんは裁判ですべての罪を認めた。それが後押しとなった。
最も捕らえられた貴族は醜く言い訳をした。
「私たちはレビィとクラウン、エリカに騙されていただけだ! 誓って虐殺などしていない! すべてエリカたちがやったことだ!」
そこにジャックさんは証言する。
「お前たちに殴られた傷を見せてやろうか?」
結果、貴族たちは処刑された。最後まで謝罪しない、嫌な奴らだった。
最後に、なぜか僕は万年都、万年樹の森、オオカミの森を収める100万貴族になった。
「何でですか?」
凄まじく困惑したが、王妃様が僕の前に跪いて言う。
「森の秘薬、どうか私たちに分けてください」
今回の戦争で、王妃様や貴族たちは万年都と戦争しても勝てないと判断したようだ。そのため、話し合いで森の秘薬を手に入れるつもりになったようだ。
「お前はレビィとクラウンを打ち倒した。もはやアトランタ国でお前に喧嘩を売りたいと思う奴など居ない」
イーストさんは笑う。
「でも、本当に僕が貴族になって良いんでしょうか?」
混乱が収まらないので、イーストさんとジャックさんに相談する。
「なったほうが良い。100万貴族の権力は膨大だ。もはやその領地の王と言っていい。そうなれば様々な法律や条約を制定できる。王にも意見できる」
「オオカミの森や万年樹の森、万年都を豊かにするなら、受け入れるべきだ」
グングンやる気が満ちる。
「しかし、100万貴族になれば、国に従属することとなる。その結果面倒なしがらみも沢山出てくる。武力行使で脅すなどできないと思ったほうが良い」
「王妃も他の貴族も武力で制せないなら、外交や話し合い、その他手練手管で絡めとったほうが良いと判断しての推薦だろう。枕を高くして眠れると思わないほうが良い」
見る見るやる気が無くなる。
「だがそれでも受けるべきだ。それだけ100万貴族の権力は魅力的だ。そして何より、お前が受けないと万年都周辺は権力者不在の空白地帯となる。そうなると、再び戦争が起こる。今度はこちらにモンスターが攻めて来るのではないかという恐怖で」
「視点を変えれば、武力ではなく知力で戦えるということだ。非常に難しいが、やりがいはあると思うぞ」
二人に相談して腹をくくる。
「ここで逃げちゃダメですね」
面倒、怖いと目を背けてはダメだ。
何かやりたいなら、リスクを恐れてはダメだ。
次の日、僕は正式に100万貴族になった。
「プ!」
「クク!」
正装をして参加したけど、体の小さい僕にはまだまだ似合わない。王妃様や他の貴族はもちろん、イーストさんやジャックさんまで笑った!
「ふん! いつか見返してやる!」
こうして戦争は終結した。
まだまだやるべきことは沢山あるけど、ひとまずは安心だ。
授与式が終わると僕は真っすぐ万年都へ帰った。そして冒険者の服に着替えると、初めて赤子さんとスラ子と出会ったダンジョンへ行く。
「ここからすべてが始まった」
しばらく来ていなかったので寝床に埃が積もっている。パッパと掃除すると、二人と一緒に横になる。
「赤子さん、スラ子、本当にありがとう」
「私は何もしていない。すべてはゼロの頑張りだ」
「ゼロ、偉い!」
二人に挟まれて目を瞑る。
その日はとてもよく眠れた。
クラウンさんの死体の前で腰を抜かしていると、イーストさんに頭を撫でられる。
「貴族たちは?」
「捕縛した。兵士たちも武器を捨てた。戦争は終わった」
「そうですか」
ホッと胸を撫でおろす。再度大粒の涙が溢れる。
「あーあ。クラウン死んじゃったか」
屋上から声が聞こえたので見上げる!
倒したはずのレビィさんが無傷で立って居た!
「レビィ!」
イーストさんが武器を構える。
「止めて。私はもう戦う気なし。降参します」
レビィさんは屋上から飛び降りると、黙ってクラウンさんの傍に来る。
「羨ましい」
ポツリと呟いてクラウンさんの顔を撫でる。
そして僕に目を向ける。
「あなた、モンスターテイマーじゃないわね?」
目を細める。
「ただ単に、喋れるだけです。そして答えたから質問しますが、どうして無傷なんですか?」
「不老不死だから。それに傷を負っても勝手に治っちゃう体質なの」
レビィさんはあっけらかんと答える。
「あんたの一撃、すっごく痛かった。一回死んだもの」
「そうですか」
疲れ切って立てない。
「安心しなさい。もうあなたたちと戦わない。負けを認めるわ」
レビィさんはイーストさんの前に立つ。
「捕虜は縛られるのが常識。遠慮せず縛ってね」
「狂人が!」
イーストさんは荒縄でレビィさんをグルグルに縛る。
「ゼロは本当に優しいのね」
イーストさんに連行されるとき、レビィさんは言う。
「狂人にも涙を流してくれる。クラウンも幸せだった。ありがとう」
そして王都へ貴族とともに連行された。
「良くやった」
ジャックさんに声をかけられる。
「ええ。ただ、最後の作戦はふざけるなとだけ言っておきます。皆を共食いさせながら砦へ進むなんて冗談じゃない」
「その作戦のおかげで君は考え、成長した。ありがたく思うがいい」
ジャックさんは悪びれず手を叩く。
「戦争は終わった!」
歓声が巻き起こった。
それから起こったことを端的に述べる。
まず、レビィさんは西部戦線総大将から辞任させられた。犯罪者となった彼女は大人しく王都の牢獄に居る。
次に、イーストさんは100万貴族に戻った。
エリカ領もブラッド領に戻った。
北部の離反はクラウンさん、レビィさん、そして西部の貴族が独断で行った侵略行為と見なされた。結果、イーストさんに非は無いと認められた。
「私はあいつと戦争したかっただけ。そのために色々手を回したわ」
レビィさんは裁判ですべての罪を認めた。それが後押しとなった。
最も捕らえられた貴族は醜く言い訳をした。
「私たちはレビィとクラウン、エリカに騙されていただけだ! 誓って虐殺などしていない! すべてエリカたちがやったことだ!」
そこにジャックさんは証言する。
「お前たちに殴られた傷を見せてやろうか?」
結果、貴族たちは処刑された。最後まで謝罪しない、嫌な奴らだった。
最後に、なぜか僕は万年都、万年樹の森、オオカミの森を収める100万貴族になった。
「何でですか?」
凄まじく困惑したが、王妃様が僕の前に跪いて言う。
「森の秘薬、どうか私たちに分けてください」
今回の戦争で、王妃様や貴族たちは万年都と戦争しても勝てないと判断したようだ。そのため、話し合いで森の秘薬を手に入れるつもりになったようだ。
「お前はレビィとクラウンを打ち倒した。もはやアトランタ国でお前に喧嘩を売りたいと思う奴など居ない」
イーストさんは笑う。
「でも、本当に僕が貴族になって良いんでしょうか?」
混乱が収まらないので、イーストさんとジャックさんに相談する。
「なったほうが良い。100万貴族の権力は膨大だ。もはやその領地の王と言っていい。そうなれば様々な法律や条約を制定できる。王にも意見できる」
「オオカミの森や万年樹の森、万年都を豊かにするなら、受け入れるべきだ」
グングンやる気が満ちる。
「しかし、100万貴族になれば、国に従属することとなる。その結果面倒なしがらみも沢山出てくる。武力行使で脅すなどできないと思ったほうが良い」
「王妃も他の貴族も武力で制せないなら、外交や話し合い、その他手練手管で絡めとったほうが良いと判断しての推薦だろう。枕を高くして眠れると思わないほうが良い」
見る見るやる気が無くなる。
「だがそれでも受けるべきだ。それだけ100万貴族の権力は魅力的だ。そして何より、お前が受けないと万年都周辺は権力者不在の空白地帯となる。そうなると、再び戦争が起こる。今度はこちらにモンスターが攻めて来るのではないかという恐怖で」
「視点を変えれば、武力ではなく知力で戦えるということだ。非常に難しいが、やりがいはあると思うぞ」
二人に相談して腹をくくる。
「ここで逃げちゃダメですね」
面倒、怖いと目を背けてはダメだ。
何かやりたいなら、リスクを恐れてはダメだ。
次の日、僕は正式に100万貴族になった。
「プ!」
「クク!」
正装をして参加したけど、体の小さい僕にはまだまだ似合わない。王妃様や他の貴族はもちろん、イーストさんやジャックさんまで笑った!
「ふん! いつか見返してやる!」
こうして戦争は終結した。
まだまだやるべきことは沢山あるけど、ひとまずは安心だ。
授与式が終わると僕は真っすぐ万年都へ帰った。そして冒険者の服に着替えると、初めて赤子さんとスラ子と出会ったダンジョンへ行く。
「ここからすべてが始まった」
しばらく来ていなかったので寝床に埃が積もっている。パッパと掃除すると、二人と一緒に横になる。
「赤子さん、スラ子、本当にありがとう」
「私は何もしていない。すべてはゼロの頑張りだ」
「ゼロ、偉い!」
二人に挟まれて目を瞑る。
その日はとてもよく眠れた。
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