クラス転移したら追い出されたので神の声でモンスターと仲良くします

ねこねこ大好き

文字の大きさ
59 / 73
ブラッド領北部と仲よくしよう!

戦争終結

しおりを挟む
「終わったな」
 クラウンさんの死体の前で腰を抜かしていると、イーストさんに頭を撫でられる。

「貴族たちは?」
「捕縛した。兵士たちも武器を捨てた。戦争は終わった」

「そうですか」
 ホッと胸を撫でおろす。再度大粒の涙が溢れる。

「あーあ。クラウン死んじゃったか」
 屋上から声が聞こえたので見上げる!

 倒したはずのレビィさんが無傷で立って居た!

「レビィ!」
 イーストさんが武器を構える。

「止めて。私はもう戦う気なし。降参します」
 レビィさんは屋上から飛び降りると、黙ってクラウンさんの傍に来る。

「羨ましい」
 ポツリと呟いてクラウンさんの顔を撫でる。

 そして僕に目を向ける。

「あなた、モンスターテイマーじゃないわね?」
 目を細める。

「ただ単に、喋れるだけです。そして答えたから質問しますが、どうして無傷なんですか?」
「不老不死だから。それに傷を負っても勝手に治っちゃう体質なの」
 レビィさんはあっけらかんと答える。

「あんたの一撃、すっごく痛かった。一回死んだもの」
「そうですか」
 疲れ切って立てない。

「安心しなさい。もうあなたたちと戦わない。負けを認めるわ」
 レビィさんはイーストさんの前に立つ。

「捕虜は縛られるのが常識。遠慮せず縛ってね」
「狂人が!」
 イーストさんは荒縄でレビィさんをグルグルに縛る。

「ゼロは本当に優しいのね」
 イーストさんに連行されるとき、レビィさんは言う。

「狂人にも涙を流してくれる。クラウンも幸せだった。ありがとう」
 そして王都へ貴族とともに連行された。

「良くやった」
 ジャックさんに声をかけられる。

「ええ。ただ、最後の作戦はふざけるなとだけ言っておきます。皆を共食いさせながら砦へ進むなんて冗談じゃない」
「その作戦のおかげで君は考え、成長した。ありがたく思うがいい」
 ジャックさんは悪びれず手を叩く。

「戦争は終わった!」
 歓声が巻き起こった。



 それから起こったことを端的に述べる。

 まず、レビィさんは西部戦線総大将から辞任させられた。犯罪者となった彼女は大人しく王都の牢獄に居る。

 次に、イーストさんは100万貴族ミリオンロードに戻った。
 エリカ領もブラッド領に戻った。

 北部の離反はクラウンさん、レビィさん、そして西部の貴族が独断で行った侵略行為と見なされた。結果、イーストさんに非は無いと認められた。
「私はあいつと戦争したかっただけ。そのために色々手を回したわ」
 レビィさんは裁判ですべての罪を認めた。それが後押しとなった。
 最も捕らえられた貴族は醜く言い訳をした。

「私たちはレビィとクラウン、エリカに騙されていただけだ! 誓って虐殺などしていない! すべてエリカたちがやったことだ!」
 そこにジャックさんは証言する。

「お前たちに殴られた傷を見せてやろうか?」
 結果、貴族たちは処刑された。最後まで謝罪しない、嫌な奴らだった。

 最後に、なぜか僕は万年都、万年樹の森、オオカミの森を収める100万貴族ミリオンロードになった。

「何でですか?」
 凄まじく困惑したが、王妃様が僕の前に跪いて言う。

「森の秘薬、どうか私たちに分けてください」
 今回の戦争で、王妃様や貴族たちは万年都と戦争しても勝てないと判断したようだ。そのため、話し合いで森の秘薬を手に入れるつもりになったようだ。

「お前はレビィとクラウンを打ち倒した。もはやアトランタ国でお前に喧嘩を売りたいと思う奴など居ない」
 イーストさんは笑う。

「でも、本当に僕が貴族になって良いんでしょうか?」
 混乱が収まらないので、イーストさんとジャックさんに相談する。

「なったほうが良い。100万貴族ミリオンロードの権力は膨大だ。もはやその領地の王と言っていい。そうなれば様々な法律や条約を制定できる。王にも意見できる」
「オオカミの森や万年樹の森、万年都を豊かにするなら、受け入れるべきだ」

 グングンやる気が満ちる。

「しかし、100万貴族ミリオンロードになれば、国に従属することとなる。その結果面倒なしがらみも沢山出てくる。武力行使で脅すなどできないと思ったほうが良い」
「王妃も他の貴族も武力で制せないなら、外交や話し合い、その他手練手管で絡めとったほうが良いと判断しての推薦だろう。枕を高くして眠れると思わないほうが良い」

 見る見るやる気が無くなる。

「だがそれでも受けるべきだ。それだけ100万貴族ミリオンロードの権力は魅力的だ。そして何より、お前が受けないと万年都周辺は権力者不在の空白地帯となる。そうなると、再び戦争が起こる。今度はこちらにモンスターが攻めて来るのではないかという恐怖で」
「視点を変えれば、武力ではなく知力で戦えるということだ。非常に難しいが、やりがいはあると思うぞ」

 二人に相談して腹をくくる。

「ここで逃げちゃダメですね」
 面倒、怖いと目を背けてはダメだ。

 何かやりたいなら、リスクを恐れてはダメだ。

 次の日、僕は正式に100万貴族ミリオンロードになった。

「プ!」
「クク!」
 正装をして参加したけど、体の小さい僕にはまだまだ似合わない。王妃様や他の貴族はもちろん、イーストさんやジャックさんまで笑った!

「ふん! いつか見返してやる!」
 こうして戦争は終結した。

 まだまだやるべきことは沢山あるけど、ひとまずは安心だ。

 授与式が終わると僕は真っすぐ万年都へ帰った。そして冒険者の服に着替えると、初めて赤子さんとスラ子と出会ったダンジョンへ行く。

「ここからすべてが始まった」
 しばらく来ていなかったので寝床に埃が積もっている。パッパと掃除すると、二人と一緒に横になる。

「赤子さん、スラ子、本当にありがとう」
「私は何もしていない。すべてはゼロの頑張りだ」
「ゼロ、偉い!」
 二人に挟まれて目を瞑る。



 その日はとてもよく眠れた。
しおりを挟む
感想 166

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

処理中です...