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心得8「客を待ってはいけない」
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カイは任務を終えて帰ってきた。
報告も済み、しばらく休暇が与えられたが騎士団の訓練には自主的に参加していた。
数人に声をかけられた。
ヒューゴとも久しぶりに訓練で剣を交えた。
「なあ、聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「ヒューは聞いてないのか、
リナがどうしてるかとか。戻ってきてから何人かにリナのことを言われたんだ」
「あー、それか」
「『リナが宴席にいた』『客を取るようになった』『可愛いし話もうまい』『笑顔に癒される』、
……なんでそれを俺に言うんだ、ってな」
低い声で言いながら剣を付き出してくる。
「俺に殺気を向けるなよ。
直接は俺はリナさんを知らないが、お姐さん達から頼まれていることがある。だから他の奴らもお姐さんから頼まれてるんじゃないか」
「あいつらか……」
「お前がリナさんとどうなったのか知らないが、ものすごく恨まれてるのか?」
「そんなことは、いや、そうかもな。ヒューが頼まれたのは?」
「『カイが帰ってきたら教えろ』『任務中に何かあれば教えろ』『他に女ができたら教えろ』『リナの身に何かあれば頼む』
あ、最後のは違ったな。」
ヒューゴの剣がカイを捕らえた。
「疲れが取れてないな。体か?精神的にか?」
「どっちもバッキバキに疲れとるわ……」
「わざわざ手紙で女のことを頼むって余程きつい任務だったのか。とっくに特別なんだろ」
「きつかった。もし帰れなかったらと思った時にお前にしか頼めないと思った。」
手を出してカイを起こしながら背中をたたく。
「ちょっと根回ししとくか」
カイが考える素振りをしながら歩き出した。
「あのな、カイ。
うちの実家知ってるだろ。
……店で働く若い女の子はいつでも募集してるから。もし何か力になれることがあったら言え」
頷いた。
「ガラじゃねーな」
「お前ほどじゃねえ」
「あ、いたいた、カイ!」
騎士団の一人がやって来た。
「久しぶりだな!なあ、リナちゃんがさ」
お前もか
見るからに嫌そうな顔をするカイ。
ヒューゴは納得した。
こんな感じで何人もが声をかけるのか、と。
「リナちゃん、身請けの話もあるらしいぜ」
「は?」
「いやー、早いよなー。女将の感じでは、ほぼ近いうちに決まりそうだってさ」
ガシャン、とカイが剣を落とす
「あ」
「手が滑って……」
「あーもー、何やってるんだよ、団長に見つかったら大変だぞ。訓練だからって騎士たるものが……」
「剣を落とすとは何事だ、かな?」
背後から声をかけられて振り向くと、
騎士団長が笑顔で立っていた。
「そっちの二人は個人訓練をつけてやろう。
カイはしっかり休め。」
従うしかない。
「ああ、そうだ、カイ。
女将から伝言。騎士たちからリナのことを聞くのが嫌なら今夜来るように、と」
「団長まで!?」
「競りを行うそうだ。」
団長が去ったあと、カイは地面を見ていた。
「おい、大丈夫か?」
「むしろふらふら迷うより気分はええわ。
やることあるから帰る」
殺気を押さえもせず。
「キレてんじゃねーか」
報告も済み、しばらく休暇が与えられたが騎士団の訓練には自主的に参加していた。
数人に声をかけられた。
ヒューゴとも久しぶりに訓練で剣を交えた。
「なあ、聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「ヒューは聞いてないのか、
リナがどうしてるかとか。戻ってきてから何人かにリナのことを言われたんだ」
「あー、それか」
「『リナが宴席にいた』『客を取るようになった』『可愛いし話もうまい』『笑顔に癒される』、
……なんでそれを俺に言うんだ、ってな」
低い声で言いながら剣を付き出してくる。
「俺に殺気を向けるなよ。
直接は俺はリナさんを知らないが、お姐さん達から頼まれていることがある。だから他の奴らもお姐さんから頼まれてるんじゃないか」
「あいつらか……」
「お前がリナさんとどうなったのか知らないが、ものすごく恨まれてるのか?」
「そんなことは、いや、そうかもな。ヒューが頼まれたのは?」
「『カイが帰ってきたら教えろ』『任務中に何かあれば教えろ』『他に女ができたら教えろ』『リナの身に何かあれば頼む』
あ、最後のは違ったな。」
ヒューゴの剣がカイを捕らえた。
「疲れが取れてないな。体か?精神的にか?」
「どっちもバッキバキに疲れとるわ……」
「わざわざ手紙で女のことを頼むって余程きつい任務だったのか。とっくに特別なんだろ」
「きつかった。もし帰れなかったらと思った時にお前にしか頼めないと思った。」
手を出してカイを起こしながら背中をたたく。
「ちょっと根回ししとくか」
カイが考える素振りをしながら歩き出した。
「あのな、カイ。
うちの実家知ってるだろ。
……店で働く若い女の子はいつでも募集してるから。もし何か力になれることがあったら言え」
頷いた。
「ガラじゃねーな」
「お前ほどじゃねえ」
「あ、いたいた、カイ!」
騎士団の一人がやって来た。
「久しぶりだな!なあ、リナちゃんがさ」
お前もか
見るからに嫌そうな顔をするカイ。
ヒューゴは納得した。
こんな感じで何人もが声をかけるのか、と。
「リナちゃん、身請けの話もあるらしいぜ」
「は?」
「いやー、早いよなー。女将の感じでは、ほぼ近いうちに決まりそうだってさ」
ガシャン、とカイが剣を落とす
「あ」
「手が滑って……」
「あーもー、何やってるんだよ、団長に見つかったら大変だぞ。訓練だからって騎士たるものが……」
「剣を落とすとは何事だ、かな?」
背後から声をかけられて振り向くと、
騎士団長が笑顔で立っていた。
「そっちの二人は個人訓練をつけてやろう。
カイはしっかり休め。」
従うしかない。
「ああ、そうだ、カイ。
女将から伝言。騎士たちからリナのことを聞くのが嫌なら今夜来るように、と」
「団長まで!?」
「競りを行うそうだ。」
団長が去ったあと、カイは地面を見ていた。
「おい、大丈夫か?」
「むしろふらふら迷うより気分はええわ。
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殺気を押さえもせず。
「キレてんじゃねーか」
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