賢者の兄にありふれた魔術師と呼ばれ宮廷を追放されたけど、禁忌の冴眼を手に入れたので最強の冒険者となります

遥風 かずら

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第一章 宮廷魔術師

第18話 北ガレオス中立都市

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 辺境特務隊の動きを封じ、俺たちは北転移門から外へ出る。
 外に出るとそこには、北ガレオス兵士が数人と、為政者いせいしゃらしき人が待ち受けていた。
 辺境特務隊を含め、帝国の人間の姿は見えない。

 北ガレオスは中立都市。
 ここはバルディン帝国とは争いもせず、従いもしない人間が数多い。
 そしてな対立にも一切関わらないとされている。

「あなたは魔術師ルカスさん……で間違いありませんか?」

 俺のことを以前から知っているのか、為政者が声をかけて来た。
 "宮廷"と付けられず、魔術師とだけ言われたのは初めてのことだ……。

 てっきり宮廷魔術師が待ち構えていると思っていた。
 彼女たちも同じだったせいか、今の状況に唖然としている。

 とにかく俺だけでも冷静に対応するしかない。
 目の前の兵士から特に敵意を感じない以上、ここは素直に応じることにする。

「そうです。俺は魔術師のルカス。そちらはガレオスの?」

 俺の返事を聞いた兵士たちは、一様に軽く頷きながらどこか期待した表情を見せた。
 何か頼み事でもあるのだろうか。

「いかにも。このような姿勢で対峙することになり、申し訳ない」

 為政者相手だから礼儀良くするべきかな?
 話し合いをするにしても怒らせないようにしておこう。
 
「いえ、まぁ。一応聞きますが、ここにバルディン帝国の者は?」
「全て退去済みです。我がガレオスは、戦闘を作り出す者は入れませぬ」
「……やはりそうですよね」

 戦いでもないし話すこともない……。
 しかし帝国ではなく俺に味方をする態度――
 つまり、すでに俺と帝国との争いを知ってのことか。

「ガレオス自体が、魔術師である俺に何かしてもらいたいことでも?」

 転移門を出た正面には、兵士の姿しか見えていない。
 しかし彼らの背後に広がる都市の中枢から感じ取れるのは、俺に対する何らかの希望だ。
 冴眼から見えているのは、夜明けに似た光色な感じを受ける。

「我がガレオスは、中立都市。それはあなたもご存じの通りです」
「まあそうですね」

 ここには帝国の転移門こそあるものの、ガレオスには深く関わらない規律があった。中立都市ではあるが、帝国に対していい思いは持っていないと聞いたことがある。

「……しかしここ数日にかけて、帝国の宮廷魔術師が大量に侵入して来るようになったのです」

 皇帝の命令を超えた賢者の独断による弊害だな。
 リュクルゴス自身は出て来ないくせに、迷惑はかけまくっている。
 賢者崇高の宮廷魔術師が、周辺を荒らしているといったところか。 

「……それで、俺にどういう?」
「そ、そうだぜ! ルカスに何をさせようってんだ?」
「わ、私もルカスさんの仲間として、よく分からない状況を見過ごすわけにはいきませんよ~!」
「……」

 ずっと沈黙してるかと思ったら、ようやく声を出したな。
 ナビナは相変わらずだけど。

「宮廷魔術師ルカス・アルムグレーン。あなたのことは前から知っていました。無論、"宮廷"を追放されたこともです」
「――!」
「そのあなたがここに転移して来たのも、我がガレオスにとっての希望に相違ありません」
「……希望?」

 何だか怪しい話になって来たような……。

「北ガレオス中立都市の総意です。ルカスさん、バルディン帝国を陥らせている賢者なる者を、減退状態にして頂けませんか?」

 なるほど、ここで賢者に迷惑をかけられてることが話に出てくるわけか。
 あのバカ兄きめ。俺だけでなく、中立都市にまで嫌われるとは。

 しかし確かにあの賢者さえどうにかすれば、帝国も少しは大人しくなる。
 宮廷魔術師を自由に動かすことも出来なくなるはず。

「賢者リュクルゴスを弱らせる……それだけでいいんですか?」

 ガレオスの人間に言われなくても懲らしめるつもりだったが……。
 弱らせてくれと言われるとは驚きだ。

 俺は俺で、冴眼でどういう目に遭わせるかくらいは考えている。
 やるとすれば『賢者』として保てない無残な姿にするくらい……。

「それだけで構いません。無論、それ以上でも……」

 それ以上にすると、呪いの力のことでナビナに言われてしまいかねない。

「分かりました。しかしこれは俺が決めたことです。ガレオスが気にすることではありませんよ」
「では、果たされた時、我がガレオスはルカスさんを歓迎いたすことを誓いましょう」
「……それくらいなら」

 俺だけの問題だったけど、中立都市が希望してくるとは思わなかったな。
 
「あぁ、ルカスさん」
「はい?」
「帝国へはどのように行かれますか?」

 どうやって向かうかなんて考えてなかった。
 そもそもリュクルゴスを外に引っ張り出さないと……。

「……歩いて向かうつもりですが」
「それではこちらへ――」

 まさかと思うけど、専用の転移門でもあるんじゃ……。
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