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23.殿下のオニキスの黒猫

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俺と婚約者のお揃いのオニキスの黒猫は、学園生徒の間だけではなく、様々な人の間でブームになっているらしい。
ネクタイピンやブローチをオソロイで贈りあい、オソロイで身に付けるのだ。


相変わらず婚約者は、ブラウスの胸に黒猫をつけていて、なかなか彼女の黒猫を見ることは叶わないが、時々彼女が制服の上から胸にそっと手を当てる姿を見ると、なんだか可愛らしく思える。

そう、可愛らしく思えるのだ。
以前よりずっと。
先日は、例の伯爵令嬢と話をしていて、何か嬉しいことがあったのか、飛び跳ねながら、手を叩いて喜んでいた。
その子どもっぽい仕草も可愛らしく感じたのだ。


オニキスの黒猫を身に着けるようになって、色々と変化があるようだ。
彼女は
「オニキスは、持ち主の意志の力を強くさせ、正しい判断力を与える『自己防衛の石』と呼ばれているそうですの」
と言っていたな。

正しい判断力か。


王族たるもの、正しい判断力で民を導かなければならぬものだからな。


そんなことを黒猫のタイピンをいじり回しながら考えていると、

「そろそろお時間でございます」

と俺を迎えにやってきた。

今日は、西の国にいる従兄弟たちとの食事会だ。


面倒だな……
「な、黒猫」
俺は独り言を言うと、黒猫のタイピンを胸ポケットにしまった。

-ツヅク-
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