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50.異世界転生令嬢、悪役令嬢も新悪役令嬢も救う
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公爵家令嬢が応接室から出て行く。
「待って!」
私は思わず公爵家令嬢を追いかけ呼び止めた。
「あなたは、許されないことをしました。それがなぜ、許されないことのか、あなたに分かりますか?」
黙って私をみつめる公爵家令嬢。
そうだわ!これからはあんたが新悪役令嬢よ!
「もし、あなたが企んだ通りに、婚約者様が襲われていたら、一体どう責任をとるつもりだったのですか?実際に、あなたが襲われそうになって、事の重大さが分かりましたか?」
俯く新悪役令嬢。
「あなたがやるべきだったことは、婚約者様を嵌めて、自分が代わりになることではありませんでした。自分を磨き、殿下の婚約者になるのに相応しい人間性と教養を身につけ、正々堂々と勝負をすれば良かったのですよ。自分は努力をせずに、努力してきた人を妬み、陥れようとするから、罰が当たったのです。自業自得なのですよ」
「自業自得……」
「自分がした悪い行為の報いを、自分が受けることです」
「そうね、自分のせいなのよね。あなたは彼女と親しいのよね。なのに、なぜ私を助けてくれたの?私なんか放っておけば良かったじゃない。私が自分が企んだことで、不幸になった方が良かったでしょ?」
新悪役令嬢は自嘲気味に言った。
「誰かが不幸になればいいと望むことはありません。誰もが幸せになっていいのです。まっすぐに願いを自分に向ければ良いのです。そうすれば、何をすべきなのかが、分かるはずなのですから」
「あなたともっと早く、話してみたかったわ。そうしたら、こんな間違いをおかすことは無かったでしょうね」
「これから、どうするのですか?」
「もう、公爵家にはいられないし、王都からも追放される。辺境にでも行って、どうにかして生きていくわよ」
貴族籍を剥奪された息女ができる仕事なんて、良くて売り子、悪ければ娼館しかない。
「もし良ければ、ウチの商会で働きませんか?婚約者を探す『結婚相談所』のようなことをしているのです」
驚いた顔をする新悪役令嬢。
「デートコースの提案や贈り物の相談などもしています。デートの際の衣装のアドバイスもします。良い物を知っている人のアドバイスが欲しいと思っていました。あなたには、良い物に触れてきた経験があります。それを活かしませんか?」
「どうして、私を助けてくれるの?」
新悪役令嬢の目から涙が溢れる。
「私はあなたのお友だちに酷いことをしようとしたのよ?」
「私は、あなたが婚約者様を陥れようとしていたのを知っていました」
新悪役令嬢がじっと私をみつめる。
「そして、そんなことは止めるようにと伝えても、あなたは止めないことも知っていました。だから、あなたの悪巧みを利用させてもらったのです」
「そうね……止めるように言われても、私はきっと止めなかったわ」
「あなたが破落戸たちに乱暴されずに済んで良かったです。間に合って良かった」
「私を救ってくれて、ありがとう……」
新悪役令嬢は頭を下げる。
「どうしますか?ウチの商会で働いて下さいますか?」
「行くところなんかないの。働かせて下さい。お願いします」
こうして、新悪役令嬢はウチの商会で働くことになった。
※※※※※
「私、幼馴染の彼と婚約することになりました♡」
「「「おめでとう~♡」」」
私たちは、変わらず学園生活を満喫している。
「いつ結婚する予定なの?」
婚約者様が訊ねる。
「婚約して1年間経ったら、結婚したいと思っています」
「そうなのね!私たちは卒業と同時に結婚することになりそうなの」
「「「「そうなんですか?」」」」
「もう、あと半年じゃないですか!」
私は婚約者様に訊ねた。
「殿下がね、卒業したらすぐに宮殿に入って欲しいのですって。心配だからって」
「「「「そうですか~♡」」」」
私は知っている、殿下はもう婚約者様と1日も早く一緒にいたいだけなのだと♡そしてふたりの仔猫ちゃんが欲しいのだ♡
「あなたたちのおかげで、学園での生活もとても楽しいものになり、殿下とも上手くいくようになったの。本当にありがとう」
婚約者様は私たちに微笑んだ。
「あなたとの出会いが、私の日々を豊かにしてくれたの。私を救ってくれたのよ」
悪役令嬢は襟の小鳥のブローチをそっと撫でた。
-エンド-
「待って!」
私は思わず公爵家令嬢を追いかけ呼び止めた。
「あなたは、許されないことをしました。それがなぜ、許されないことのか、あなたに分かりますか?」
黙って私をみつめる公爵家令嬢。
そうだわ!これからはあんたが新悪役令嬢よ!
「もし、あなたが企んだ通りに、婚約者様が襲われていたら、一体どう責任をとるつもりだったのですか?実際に、あなたが襲われそうになって、事の重大さが分かりましたか?」
俯く新悪役令嬢。
「あなたがやるべきだったことは、婚約者様を嵌めて、自分が代わりになることではありませんでした。自分を磨き、殿下の婚約者になるのに相応しい人間性と教養を身につけ、正々堂々と勝負をすれば良かったのですよ。自分は努力をせずに、努力してきた人を妬み、陥れようとするから、罰が当たったのです。自業自得なのですよ」
「自業自得……」
「自分がした悪い行為の報いを、自分が受けることです」
「そうね、自分のせいなのよね。あなたは彼女と親しいのよね。なのに、なぜ私を助けてくれたの?私なんか放っておけば良かったじゃない。私が自分が企んだことで、不幸になった方が良かったでしょ?」
新悪役令嬢は自嘲気味に言った。
「誰かが不幸になればいいと望むことはありません。誰もが幸せになっていいのです。まっすぐに願いを自分に向ければ良いのです。そうすれば、何をすべきなのかが、分かるはずなのですから」
「あなたともっと早く、話してみたかったわ。そうしたら、こんな間違いをおかすことは無かったでしょうね」
「これから、どうするのですか?」
「もう、公爵家にはいられないし、王都からも追放される。辺境にでも行って、どうにかして生きていくわよ」
貴族籍を剥奪された息女ができる仕事なんて、良くて売り子、悪ければ娼館しかない。
「もし良ければ、ウチの商会で働きませんか?婚約者を探す『結婚相談所』のようなことをしているのです」
驚いた顔をする新悪役令嬢。
「デートコースの提案や贈り物の相談などもしています。デートの際の衣装のアドバイスもします。良い物を知っている人のアドバイスが欲しいと思っていました。あなたには、良い物に触れてきた経験があります。それを活かしませんか?」
「どうして、私を助けてくれるの?」
新悪役令嬢の目から涙が溢れる。
「私はあなたのお友だちに酷いことをしようとしたのよ?」
「私は、あなたが婚約者様を陥れようとしていたのを知っていました」
新悪役令嬢がじっと私をみつめる。
「そして、そんなことは止めるようにと伝えても、あなたは止めないことも知っていました。だから、あなたの悪巧みを利用させてもらったのです」
「そうね……止めるように言われても、私はきっと止めなかったわ」
「あなたが破落戸たちに乱暴されずに済んで良かったです。間に合って良かった」
「私を救ってくれて、ありがとう……」
新悪役令嬢は頭を下げる。
「どうしますか?ウチの商会で働いて下さいますか?」
「行くところなんかないの。働かせて下さい。お願いします」
こうして、新悪役令嬢はウチの商会で働くことになった。
※※※※※
「私、幼馴染の彼と婚約することになりました♡」
「「「おめでとう~♡」」」
私たちは、変わらず学園生活を満喫している。
「いつ結婚する予定なの?」
婚約者様が訊ねる。
「婚約して1年間経ったら、結婚したいと思っています」
「そうなのね!私たちは卒業と同時に結婚することになりそうなの」
「「「「そうなんですか?」」」」
「もう、あと半年じゃないですか!」
私は婚約者様に訊ねた。
「殿下がね、卒業したらすぐに宮殿に入って欲しいのですって。心配だからって」
「「「「そうですか~♡」」」」
私は知っている、殿下はもう婚約者様と1日も早く一緒にいたいだけなのだと♡そしてふたりの仔猫ちゃんが欲しいのだ♡
「あなたたちのおかげで、学園での生活もとても楽しいものになり、殿下とも上手くいくようになったの。本当にありがとう」
婚約者様は私たちに微笑んだ。
「あなたとの出会いが、私の日々を豊かにしてくれたの。私を救ってくれたのよ」
悪役令嬢は襟の小鳥のブローチをそっと撫でた。
-エンド-
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