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3.目覚めたマルガリータ

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「お兄様…」
「マルガリータ分かるか。良かった」
お兄様が私の手を握って、神様に感謝をする。

「マルガリータが目を覚ましたか?」
お父様が部屋へと入ってきた。

「はい…ご心配をおかけ致しました」
「全く、身体に傷が残っていないか、確認してもらえ!お前は王子妃になるのだぞ」
そう言って、お父様は部屋を出て行った。

出て行く父を眺めている私に
「あんな言い方だけど、マルガリータが意識が戻らないことを心配していたんだよ」
とお兄様は言った。


「そうですね。今まで私に掛けてきたお金が無駄になりますものね」
「そんな…お金のことではなくて…」
お兄様は慌てたように言った。

王子の婚約者である私には多額の予算が充てられている。
最高級の教育、最高級の衣食住。
それもこれも、公爵家が第二王子の後ろ盾であるために、公爵家から王子妃を輩出するために必要なお金なのだ。

分かっていた。
私のことなど愛してはいないが、私でなければ駄目なのだ。
王家も、公爵家も。


「身体は、痛まないか?」
「大丈夫ですわ。お兄様」

「そうか、良かった。ゆっくりと休んでくれ」
「はい、かしこまりました」
「じゃあ、アマリア、頼んだぞ」

お兄様も部屋を出て行った。


「ねぇ、アマリア。私はどうしてこんなことになっているのかしら」
「お嬢様…その…お嬢様は学園の階段から転落されたのです」

「あら、死んでしまうところでしたのね」
「幸いにも高さがあまりなかったのと、その日は制服ではなくて、ドレスを着ていたので、衝撃が吸収されたのではとのことでした」

「階段から落ちるなんて、みっともないわ」
「それが…落ちたのではなく、落とされたのです」
「落とされた?」
「はい!公爵令嬢イザベラ様がぶつかって」
「公爵令嬢イザベラ…」
「お嬢様の護衛騎士のダニエルが咄嗟にお嬢様の下敷きにならなければ、今頃お嬢様は亡くなられていたかもしれないんですよ!」


私の護衛騎士のダニエルは、小説の中でも最期までマルガリータと一緒に居たわね。
断罪され、家にも捨てられ、行く場所もなく、最後に二人で海に行くのよ。

「ダニエルは?下敷きになったって、大丈夫なの?怪我はしていないの?」
「はい、ダニエルはしっかりと鍛えている騎士ですから、少し打ち身が痛むと言っていましたが、元気ですよ」

ダニエルに会いに行きたいわ。
小説の中でも、ずっとマルガリータを支えた騎士。
実際にこの目で見て、感謝を伝えたいの。
マルガリータに寄り添ってくれて、ありがとうと。




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