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都会の片隅に、ぽつんと佇む小さな神社。鳥居の木目には、黒の斑点がまばらに散っており、朽ちかけた様相を呈していた。境内の中は手入れされていないのか、本殿へと続く敷石を落ちた葉が埋め尽くしている。日は沈み、仕事帰りの疲れ果てたサラリーマンたちが行き交うが、誰一人として足を止める者はいない。
一見、何の変哲もない小さな神社。その境内に、一人の男がいた。
「ああ!! もう、またかよッ」
叫んだのは、さらりとした黒髪が美しい青年。少し高めの背丈と程よく筋肉のあるすらりとした体格に、白の装束を纏っている。彼の黒の瞳には苛立ちが滲んでいた。視線の先を辿ると、そこには一枚の絵馬があった。
——『今作は触手責めです。触手のよさをもっと布教したいので、どうか作品が売れますように。エロの神様お願いします♡』
到底神に願うべきものとは思えない、その内容。どこか禍々しい気を放っているようにさえ思える。青年は声を荒げ、絵馬をぶちりともぎ取り、地面へと投げ捨てた。
「だから、エロの神様じゃねーー!!」
青年の怒った声が夜の空に木霊した。
ここは願淫神社。本来は恋愛成就の神社である。名前のせいか、色恋沙汰から、AV、同人に至るまで、あらゆる"エロい"願いを叶えると、とある掲示板で噂になり、そっち方面を願う絵馬が増えた。そして、頭を抱えた男こそが願淫神社の神様、姦淫の大神・インであった。
「信じらんねぇ。人間って何考えてんだ。もっとこう、あるだろ? "憧れのあの人にキスしたいです"とかさ」
「インちゃんったら乙女~」
愚痴垂れたインの耳に、明るい声が飛び込んだ。声の主は、可愛らしい小柄な青年。線が細く、華奢な体格をしている。薄い灰色の髪をくるんと遊ばせ、艶やかな赤の唇が揶揄うように弧を描いた。ぴょんと弾んで近づき、捨てられた絵馬を拾う。見つめ、灰色の目でにこりと弧を描いた。
「こっちも欲に溢れてていいのに」
「ヨク、お前他人事だと思って」
「だって他人事だもん。インちゃん大変そう~、って思ってるだけ」
「そーですか。お偉いさんは気楽でようござんすね」
ヨクと呼ばれた青年は、欲の大神。黒の装束に金の模様が煌めき、その白い肌を際立たせていた。"お偉いさん"と言われるのもそのはず、欲は姦淫を含むすべての欲望を総括する。見た目の愛らしさとは裏腹、インより格上の存在なのだ。
「ねぇ、これから神務?」
「まぁ、そうなるな」
「え、覗きに行きたいな♡」
「絶対来んな」
そっけなくインは言った。そのまま絵馬をぶん取り、本殿へと足を進める。ヨクはつまらなさそうに口を尖らせ、それを見送った。
そうして向かった本殿の前。インが扉を開ければ、何もない。微かに木の匂いのするこじんまりとした空間。そこはインの神域であり、神聖な場所。これから行われる儀式は、神社に訪れる人々の願いを叶えるためのもの。人間の欲望が具現化され、それと向き合うことで、願いは成就する。
インは絵馬に視線を落とし、眉を顰めた。
「あー。やりたくねぇ……」
呟きながら目を閉じ、深く息を吐く。部屋の中に沈黙が落ちた。外でひゅるりと風の音がする。しばらくすると、床から何かが顔を出した。粘り気を帯び、揺らめき生えてくる見るもおぞましい生き物——触手。ねとりとした粘液を滴らせている。
ぺちょり。
音を立て、触手はインの足首に触れた。粘液のべたつく感覚にインは顔を引き攣らせた。
「っ、クソッ」
足首から脚へと絡みつき、触手は白の装束の中へと侵入し始めた。太ももの内側を、しっとりと這う触手。インの背筋にぞくりとした感覚が走り、指先から絵馬が零れた。コンッ。床に落ちた音は本殿に響いた。
触手は、太ももからインの中心へと向かう。そのまま中心に巻きつき、ぬちぬちと音を上げて抜き上げた。
「っ…、ん、ぅ……、ぁ、」
粘液が絡まり、自身を抜き上げられる感覚に、インは声を漏らした。インの陰茎に触れていた触手は、先端部分を鬼頭に沿わせてくるくると擽ると、ぱかりと花のように開いた。触手が開いた口の中心から、紐状の触手が数本、新たに生まれた。それらは恐ろしく細く、1本1本の太さは1mmにも満たない。細い触手はゆらゆら揺れると、鬼頭をやんわりと揉みしだき始めた。
くちゅっ…くちゅっ…
「きぅ……、はぁ、ん…、ぅっ」
先端を弄ばれ、きゅんと腹の奥が鳴った。体から力が抜けていき、インは膝をついた。膝立ちの状態で前に傾き、口を覆い隠す。漏れ出る喘ぎ声を堰き止めるのにインは必死だった。頭を振り、与えられる快感に耐え忍ぶ。けれど触手が攻め手を緩めることなどない。鬼頭に弄っていた何本かが、尿道の入り口に触れた。穴を押し広げるようにくるりと一周する。縁に沿わせると、そのまま侵入を始めた。あまりにも細い糸は、収縮する肉壁の抵抗を受けず、奥へと突き進む。
「っ、待ッ——」
そこは暴かれてはならないと、インは手を伸ばし、細い触手を掴み上げた。体を掴まれた触手は、震えて抵抗するも出口へと引きずられていく。
びちびちッ! びちッ!
「っは゛、んん゛……、ぅん゛゛」
びちびち抵抗する触手に尿道を広げられるも、インは歯を食いしばり、引きずり出す。あと少しで抜け切るその直前。
シュルルルッ——
「はっ……、クソッ」
インの抵抗は新たな触手によって阻止された。床を見れば、先の1本だけでなく、2本、3本と触手は増えている。そのまま両腕は万歳をして持ち上げられ、胸を突き出す形となる。
無数の触手にとらわれ、顔を引き攣らせた青年。おそらく傍から見れば、インは悍ましい化け物に捧げられた贄だと思われるだろう。まぁ、それに近しいものではあるが。
現れた触手は先の妨害を咎め、右の乳首に噛みついた。
かぷり、ぎゅむぎゅむ
「ぎッ、ぐ、ぁぅ、ぁ~~~~」
そのままぐにぐにと甘噛みし、味わい、嬲った。弾力のあるガムを噛むように、強く押し、磨り潰す。もう片方の乳首の根元へ細い紐が向かうと、ぐるりと巻きつき縛り上げる。血が上り、ピンッと硬く尖った先端を、嘲るようにツツンっと突っついた。乳首をこねくり回され、遊ばれる感覚。インは唇を噛み締めた。けれど触手の本当の目的はそこではない。先に妨害されたところ。尿道の奥の奥へと、細い触手は侵入を続ける。
ヌチヌチヌチヌチッ
「ぅ~~~~~~、やっ、ぁッ、ぁ、ごめ、ッ~~~~」
触手は先より大きく動き、わざと穴を広げるように進んだ。触手の仕置きに、懇願する声がインの口から漏れ出た。触手は奥へと押し入った。そして。
トンッ——
「ぁっ♡」
インの喉が引き攣り、背中を汗が伝う。そこは、最奥の触れてはいけない場所。インの恐れを理解して、尚、トンットンッと軽くノックした。これから、ココを、虐めるのだぞ。暗にそう示したのだ。
インが唾を飲み込むと同時に、前立腺は叩かれた。
トンットンッ、トンットンッ
「ひぁっ♡ ぁあ゛♡ ぃ゛、っ゛、ィ゛~~~~♡♡」
すりすりすり、すりすりっ
「ひぎゅ~~~~♡ えぁ゛゛♡♡」
硬く、膨れる、とっても敏感な、面白い、場所。そこを突っつき、擦り、抉る。そこから生まれた快感は、背筋を駆け上がり、あられもない声となって吐き出された。腕は拘束され、反抗することは許されない。自由の利く指先はびくびく震え、脚を擦り合わせた。奥から込みあがる、射精の気配。身体を震わせ、奥歯を噛み締めて衝撃に耐えた。
ッ゛~~~♡♡
口を閉じ、くぐもった声でイった。けれどインの中心から精液が出ることはない。1本ならわずかに漏れ出たであろうそれは、ちろりと侵入した2本の細い触手によって完全に道を塞がれた。インの狭い穴は、3本の触手に埋められている。上ってきた白い液はかき混ぜられ、触手の粘液と混ざり合った。
くちゃ、くちゃくちゃ
「ァ゛♡ ぁあ゛♡ ゃあ゛♡♡」
尿道だけでない。胸を犯され、陰茎を犯され、音で犯される。肌は桜色に上気し、小さく開いた唇からは唾液が垂れた。そうして2回目。
「ぇぁあああ゛ッ~~~♡♡♡」
脹脛が震え、ペニスがびくんっと震える。声は抑えられず、本殿に高らかに響いた。明らかな絶頂。けれど爽快感などない。奥の奥にぐつぐつとマグマのように溜まったものはシェイクされた。
「ひぅ、ん゛~~~~♡♡」
インの身体がビクビクッ♡と痙攣した。それを見た触手が、「なるほど可哀想だ」と尿道から抜けるような動作をすれば、精液は先端へと駆け上がる。けれど、「やはり勿体ない」と、奥へ奥へと戻され、ほんのわずかな隙間だけから解放される。むず痒く、もどかしい。奥が詰まり、苦しい。はふはふと口が動き、黒の瞳に涙が浮かぶ。身体を支配する、悪辣な、心のない、生き物。インは悪態を吐いた。
「っ~~~~♡♡、悪趣味、すぎ♡、っ…、ん♡ だろ……っ♡ 願った、や……ッ♡♡」
その悪態を「可愛いものだ」と嘲けるように、触手は内腿を擽った。すでに全身は敏感で、どんな刺激でさえもインにとっては致命的。太ももの内を舐め上げられ、足の指先を舐られる。足裏がこしょこしょっと擽られると、溜まらずまた絶頂した。
こしょこしょっ
「ぅ~~~~~♡♡♡」
大きく声を出すことなどしない。それはせめてもの抵抗。この忌々しい祈り事へ、触手どもへ。そうして折れそうなほど噛み締めた奥歯。それに気づいた触手はぴくっと震えると、インの喉を優しく舐め上げた。不思議そうに開いたインの口内へと、躊躇いなく触手を捻じ込む。ねっとりとした太い触手は、舌に絡み、優しく、労わるように。怪我をするからねと甘く注意する。恋人のような口づけ。
くちゅっ…くちゅっ…
「ふ……ぅっ♡…ぅ♡……ん♡」
音を響かせ、馴染ませる。穏やかで、柔らかな、温かい刺激。インは目を細め、表情が緩く、次第に蕩けていった。まさしくそれは恋い慕う者への表情だった。インの緩み切った表情を触手は楽しむ。そして。
ガッ————!!
「!?♡♡♡」
途端にインの息が止まった。尿道を犯すものはぶるぶる震え、前立腺をゴツゴツ叩きのめす。胸は搾り上げられ、先端を強く食まれる。立てられた歯で、乳首は引き延ばされた。
ゴツゴツっ、ぐにぐに、ぐりゅぐりゅりゅ
「む、ん゛゛~~~~~~~♡♡♡」
嬲り、遊び、犯しつくす。口内と真逆の、支配的な動き。恋人のような優しさと、レイプのような非道さ。ぐるぐると奥が苦しく、視界がぼやける。口内の触手のせいでまともに呼吸ができず、頭が白くなった。前立腺に吸い付かれ、3度目の絶頂を迎えた。
ぢゅ~~~~♡
「ッ゛~~~~~~~~~~~♡♡♡」
全身が犯される甘い快楽。涙が頬を伝って落ちた。ずるりと口内の触手が抜けると、酸素がようやく肺へと回った。
「ふ…♡ はっ…♡、ぁ♡……はぁ♡」
額は汗で濡れ、粘液と混ざりあった唾液が床に落ちた。触手はもう動きを止めているが、尿道から抜けてはいない。堰き止められ、未だ熱の籠ったペニス。3本の細い紐に塞がれたそれも、インが目を向けると、ようやく一本動いた。精液を導くように、ゆっくりと穴の出口へと向かう。
「っ……♡」
解放への期待でインの心臓が高鳴った。触手がちゅぽんと音を立てて抜けると、精液が零れ落ちた。
「ふ~~~♡、ぅ……♡……っ♡……♡♡」
それはほんの僅かな抜け道。じっくり、煮込むような重い射精。ぽとりぽとりと、少しずつ、床に落ちた精液の白が広がっていく。たった一回。ただ一回の射精。インの視線は自然に自身の中心へと縫い付けられ、零れる白を見つめる。それはひどく卑猥で、射精の快感以外の何かが、脳を占領した。
「はっ…♡ ぁっ……♡」
インはそれに耽けることしかできなかった。一本一本触手が抜けていき、塞ぐものがなくなった尿道はぱくぱくと口を開いた。すべてを出し終え、安堵で長い息を吐いたとき。
つんっ
「ひっ♡」
後孔をつつかれた。触手がまだ遊びたそうに、何度も、何度も。粘液のせいで、ぴちょりと後孔が濡れる。これから起こること。その期待にひくりと後ろが震えた。
来る——
思わず目をぎゅっと閉じたところで、触手はふいっと離れた。そしてどこか悲しそうにゆるっと揺れると、拘束していた腕を解放し、床へと消えていった。
「おわっ、た、……?」
神務は終わりを告げた。インは床に手をつき、荒れた息を整え、視線を落とす。転がっていた一枚の絵馬は、やんわりと光りを放ち、そのまま消えた。
願いは神へと捧げられ、取り込まれる。神を介して願いは叶うが、小さな神様の力は僅かなもの。必ずしも叶うとは限らない。インの様に力の少ない神なら尚のこと。それでもこうして取り込めたことに、インは胸を撫で下ろした。立ち上がろうと膝をつき、ぐちょりと鳴った音に目を向ける。見れば触手の粘液が装束を濡らし、肌に絡みついている。名残惜しげに去っていった触手。つんっとつつかれた後ろ。あの全身を支配する快楽の、まだ先があるのかと……と考え、首を横に振った。
ちがうちがう、余計なこと考えるな。
疲れ果てたインは、仰向けに寝転んだ。散々弄ばれ、胸のはだけた体を晒す。粘液と精液でしっとりと濡れた姿。それは色香があり、思わず手を伸ばしたくなるもの。けれど当人がそれを気にすることなどない。インは疲労の息を吐き、呟いた。
「あー、着替えよ」
一見、何の変哲もない小さな神社。その境内に、一人の男がいた。
「ああ!! もう、またかよッ」
叫んだのは、さらりとした黒髪が美しい青年。少し高めの背丈と程よく筋肉のあるすらりとした体格に、白の装束を纏っている。彼の黒の瞳には苛立ちが滲んでいた。視線の先を辿ると、そこには一枚の絵馬があった。
——『今作は触手責めです。触手のよさをもっと布教したいので、どうか作品が売れますように。エロの神様お願いします♡』
到底神に願うべきものとは思えない、その内容。どこか禍々しい気を放っているようにさえ思える。青年は声を荒げ、絵馬をぶちりともぎ取り、地面へと投げ捨てた。
「だから、エロの神様じゃねーー!!」
青年の怒った声が夜の空に木霊した。
ここは願淫神社。本来は恋愛成就の神社である。名前のせいか、色恋沙汰から、AV、同人に至るまで、あらゆる"エロい"願いを叶えると、とある掲示板で噂になり、そっち方面を願う絵馬が増えた。そして、頭を抱えた男こそが願淫神社の神様、姦淫の大神・インであった。
「信じらんねぇ。人間って何考えてんだ。もっとこう、あるだろ? "憧れのあの人にキスしたいです"とかさ」
「インちゃんったら乙女~」
愚痴垂れたインの耳に、明るい声が飛び込んだ。声の主は、可愛らしい小柄な青年。線が細く、華奢な体格をしている。薄い灰色の髪をくるんと遊ばせ、艶やかな赤の唇が揶揄うように弧を描いた。ぴょんと弾んで近づき、捨てられた絵馬を拾う。見つめ、灰色の目でにこりと弧を描いた。
「こっちも欲に溢れてていいのに」
「ヨク、お前他人事だと思って」
「だって他人事だもん。インちゃん大変そう~、って思ってるだけ」
「そーですか。お偉いさんは気楽でようござんすね」
ヨクと呼ばれた青年は、欲の大神。黒の装束に金の模様が煌めき、その白い肌を際立たせていた。"お偉いさん"と言われるのもそのはず、欲は姦淫を含むすべての欲望を総括する。見た目の愛らしさとは裏腹、インより格上の存在なのだ。
「ねぇ、これから神務?」
「まぁ、そうなるな」
「え、覗きに行きたいな♡」
「絶対来んな」
そっけなくインは言った。そのまま絵馬をぶん取り、本殿へと足を進める。ヨクはつまらなさそうに口を尖らせ、それを見送った。
そうして向かった本殿の前。インが扉を開ければ、何もない。微かに木の匂いのするこじんまりとした空間。そこはインの神域であり、神聖な場所。これから行われる儀式は、神社に訪れる人々の願いを叶えるためのもの。人間の欲望が具現化され、それと向き合うことで、願いは成就する。
インは絵馬に視線を落とし、眉を顰めた。
「あー。やりたくねぇ……」
呟きながら目を閉じ、深く息を吐く。部屋の中に沈黙が落ちた。外でひゅるりと風の音がする。しばらくすると、床から何かが顔を出した。粘り気を帯び、揺らめき生えてくる見るもおぞましい生き物——触手。ねとりとした粘液を滴らせている。
ぺちょり。
音を立て、触手はインの足首に触れた。粘液のべたつく感覚にインは顔を引き攣らせた。
「っ、クソッ」
足首から脚へと絡みつき、触手は白の装束の中へと侵入し始めた。太ももの内側を、しっとりと這う触手。インの背筋にぞくりとした感覚が走り、指先から絵馬が零れた。コンッ。床に落ちた音は本殿に響いた。
触手は、太ももからインの中心へと向かう。そのまま中心に巻きつき、ぬちぬちと音を上げて抜き上げた。
「っ…、ん、ぅ……、ぁ、」
粘液が絡まり、自身を抜き上げられる感覚に、インは声を漏らした。インの陰茎に触れていた触手は、先端部分を鬼頭に沿わせてくるくると擽ると、ぱかりと花のように開いた。触手が開いた口の中心から、紐状の触手が数本、新たに生まれた。それらは恐ろしく細く、1本1本の太さは1mmにも満たない。細い触手はゆらゆら揺れると、鬼頭をやんわりと揉みしだき始めた。
くちゅっ…くちゅっ…
「きぅ……、はぁ、ん…、ぅっ」
先端を弄ばれ、きゅんと腹の奥が鳴った。体から力が抜けていき、インは膝をついた。膝立ちの状態で前に傾き、口を覆い隠す。漏れ出る喘ぎ声を堰き止めるのにインは必死だった。頭を振り、与えられる快感に耐え忍ぶ。けれど触手が攻め手を緩めることなどない。鬼頭に弄っていた何本かが、尿道の入り口に触れた。穴を押し広げるようにくるりと一周する。縁に沿わせると、そのまま侵入を始めた。あまりにも細い糸は、収縮する肉壁の抵抗を受けず、奥へと突き進む。
「っ、待ッ——」
そこは暴かれてはならないと、インは手を伸ばし、細い触手を掴み上げた。体を掴まれた触手は、震えて抵抗するも出口へと引きずられていく。
びちびちッ! びちッ!
「っは゛、んん゛……、ぅん゛゛」
びちびち抵抗する触手に尿道を広げられるも、インは歯を食いしばり、引きずり出す。あと少しで抜け切るその直前。
シュルルルッ——
「はっ……、クソッ」
インの抵抗は新たな触手によって阻止された。床を見れば、先の1本だけでなく、2本、3本と触手は増えている。そのまま両腕は万歳をして持ち上げられ、胸を突き出す形となる。
無数の触手にとらわれ、顔を引き攣らせた青年。おそらく傍から見れば、インは悍ましい化け物に捧げられた贄だと思われるだろう。まぁ、それに近しいものではあるが。
現れた触手は先の妨害を咎め、右の乳首に噛みついた。
かぷり、ぎゅむぎゅむ
「ぎッ、ぐ、ぁぅ、ぁ~~~~」
そのままぐにぐにと甘噛みし、味わい、嬲った。弾力のあるガムを噛むように、強く押し、磨り潰す。もう片方の乳首の根元へ細い紐が向かうと、ぐるりと巻きつき縛り上げる。血が上り、ピンッと硬く尖った先端を、嘲るようにツツンっと突っついた。乳首をこねくり回され、遊ばれる感覚。インは唇を噛み締めた。けれど触手の本当の目的はそこではない。先に妨害されたところ。尿道の奥の奥へと、細い触手は侵入を続ける。
ヌチヌチヌチヌチッ
「ぅ~~~~~~、やっ、ぁッ、ぁ、ごめ、ッ~~~~」
触手は先より大きく動き、わざと穴を広げるように進んだ。触手の仕置きに、懇願する声がインの口から漏れ出た。触手は奥へと押し入った。そして。
トンッ——
「ぁっ♡」
インの喉が引き攣り、背中を汗が伝う。そこは、最奥の触れてはいけない場所。インの恐れを理解して、尚、トンットンッと軽くノックした。これから、ココを、虐めるのだぞ。暗にそう示したのだ。
インが唾を飲み込むと同時に、前立腺は叩かれた。
トンットンッ、トンットンッ
「ひぁっ♡ ぁあ゛♡ ぃ゛、っ゛、ィ゛~~~~♡♡」
すりすりすり、すりすりっ
「ひぎゅ~~~~♡ えぁ゛゛♡♡」
硬く、膨れる、とっても敏感な、面白い、場所。そこを突っつき、擦り、抉る。そこから生まれた快感は、背筋を駆け上がり、あられもない声となって吐き出された。腕は拘束され、反抗することは許されない。自由の利く指先はびくびく震え、脚を擦り合わせた。奥から込みあがる、射精の気配。身体を震わせ、奥歯を噛み締めて衝撃に耐えた。
ッ゛~~~♡♡
口を閉じ、くぐもった声でイった。けれどインの中心から精液が出ることはない。1本ならわずかに漏れ出たであろうそれは、ちろりと侵入した2本の細い触手によって完全に道を塞がれた。インの狭い穴は、3本の触手に埋められている。上ってきた白い液はかき混ぜられ、触手の粘液と混ざり合った。
くちゃ、くちゃくちゃ
「ァ゛♡ ぁあ゛♡ ゃあ゛♡♡」
尿道だけでない。胸を犯され、陰茎を犯され、音で犯される。肌は桜色に上気し、小さく開いた唇からは唾液が垂れた。そうして2回目。
「ぇぁあああ゛ッ~~~♡♡♡」
脹脛が震え、ペニスがびくんっと震える。声は抑えられず、本殿に高らかに響いた。明らかな絶頂。けれど爽快感などない。奥の奥にぐつぐつとマグマのように溜まったものはシェイクされた。
「ひぅ、ん゛~~~~♡♡」
インの身体がビクビクッ♡と痙攣した。それを見た触手が、「なるほど可哀想だ」と尿道から抜けるような動作をすれば、精液は先端へと駆け上がる。けれど、「やはり勿体ない」と、奥へ奥へと戻され、ほんのわずかな隙間だけから解放される。むず痒く、もどかしい。奥が詰まり、苦しい。はふはふと口が動き、黒の瞳に涙が浮かぶ。身体を支配する、悪辣な、心のない、生き物。インは悪態を吐いた。
「っ~~~~♡♡、悪趣味、すぎ♡、っ…、ん♡ だろ……っ♡ 願った、や……ッ♡♡」
その悪態を「可愛いものだ」と嘲けるように、触手は内腿を擽った。すでに全身は敏感で、どんな刺激でさえもインにとっては致命的。太ももの内を舐め上げられ、足の指先を舐られる。足裏がこしょこしょっと擽られると、溜まらずまた絶頂した。
こしょこしょっ
「ぅ~~~~~♡♡♡」
大きく声を出すことなどしない。それはせめてもの抵抗。この忌々しい祈り事へ、触手どもへ。そうして折れそうなほど噛み締めた奥歯。それに気づいた触手はぴくっと震えると、インの喉を優しく舐め上げた。不思議そうに開いたインの口内へと、躊躇いなく触手を捻じ込む。ねっとりとした太い触手は、舌に絡み、優しく、労わるように。怪我をするからねと甘く注意する。恋人のような口づけ。
くちゅっ…くちゅっ…
「ふ……ぅっ♡…ぅ♡……ん♡」
音を響かせ、馴染ませる。穏やかで、柔らかな、温かい刺激。インは目を細め、表情が緩く、次第に蕩けていった。まさしくそれは恋い慕う者への表情だった。インの緩み切った表情を触手は楽しむ。そして。
ガッ————!!
「!?♡♡♡」
途端にインの息が止まった。尿道を犯すものはぶるぶる震え、前立腺をゴツゴツ叩きのめす。胸は搾り上げられ、先端を強く食まれる。立てられた歯で、乳首は引き延ばされた。
ゴツゴツっ、ぐにぐに、ぐりゅぐりゅりゅ
「む、ん゛゛~~~~~~~♡♡♡」
嬲り、遊び、犯しつくす。口内と真逆の、支配的な動き。恋人のような優しさと、レイプのような非道さ。ぐるぐると奥が苦しく、視界がぼやける。口内の触手のせいでまともに呼吸ができず、頭が白くなった。前立腺に吸い付かれ、3度目の絶頂を迎えた。
ぢゅ~~~~♡
「ッ゛~~~~~~~~~~~♡♡♡」
全身が犯される甘い快楽。涙が頬を伝って落ちた。ずるりと口内の触手が抜けると、酸素がようやく肺へと回った。
「ふ…♡ はっ…♡、ぁ♡……はぁ♡」
額は汗で濡れ、粘液と混ざりあった唾液が床に落ちた。触手はもう動きを止めているが、尿道から抜けてはいない。堰き止められ、未だ熱の籠ったペニス。3本の細い紐に塞がれたそれも、インが目を向けると、ようやく一本動いた。精液を導くように、ゆっくりと穴の出口へと向かう。
「っ……♡」
解放への期待でインの心臓が高鳴った。触手がちゅぽんと音を立てて抜けると、精液が零れ落ちた。
「ふ~~~♡、ぅ……♡……っ♡……♡♡」
それはほんの僅かな抜け道。じっくり、煮込むような重い射精。ぽとりぽとりと、少しずつ、床に落ちた精液の白が広がっていく。たった一回。ただ一回の射精。インの視線は自然に自身の中心へと縫い付けられ、零れる白を見つめる。それはひどく卑猥で、射精の快感以外の何かが、脳を占領した。
「はっ…♡ ぁっ……♡」
インはそれに耽けることしかできなかった。一本一本触手が抜けていき、塞ぐものがなくなった尿道はぱくぱくと口を開いた。すべてを出し終え、安堵で長い息を吐いたとき。
つんっ
「ひっ♡」
後孔をつつかれた。触手がまだ遊びたそうに、何度も、何度も。粘液のせいで、ぴちょりと後孔が濡れる。これから起こること。その期待にひくりと後ろが震えた。
来る——
思わず目をぎゅっと閉じたところで、触手はふいっと離れた。そしてどこか悲しそうにゆるっと揺れると、拘束していた腕を解放し、床へと消えていった。
「おわっ、た、……?」
神務は終わりを告げた。インは床に手をつき、荒れた息を整え、視線を落とす。転がっていた一枚の絵馬は、やんわりと光りを放ち、そのまま消えた。
願いは神へと捧げられ、取り込まれる。神を介して願いは叶うが、小さな神様の力は僅かなもの。必ずしも叶うとは限らない。インの様に力の少ない神なら尚のこと。それでもこうして取り込めたことに、インは胸を撫で下ろした。立ち上がろうと膝をつき、ぐちょりと鳴った音に目を向ける。見れば触手の粘液が装束を濡らし、肌に絡みついている。名残惜しげに去っていった触手。つんっとつつかれた後ろ。あの全身を支配する快楽の、まだ先があるのかと……と考え、首を横に振った。
ちがうちがう、余計なこと考えるな。
疲れ果てたインは、仰向けに寝転んだ。散々弄ばれ、胸のはだけた体を晒す。粘液と精液でしっとりと濡れた姿。それは色香があり、思わず手を伸ばしたくなるもの。けれど当人がそれを気にすることなどない。インは疲労の息を吐き、呟いた。
「あー、着替えよ」
29
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