ただ、君のそばで

森の妖精

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君が隣にいる

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君が隣にいる

 ――いつもの日常。2人で朝食を食べる。

「今日は俺、スタジオに寄ってから帰るから、晩飯先に食べてて」
 皿を洗いながら僕に伝える。
「了解。」
 快は足もすっかり良くなり、小さなダンススタジオへ通っている。自分らしさを取り戻したのか、生き生きと眩しいくらいだった。
 僕は快の元へコーヒーを入れて、そっと置いた。
「お、サンキュー」
 快が手を拭いてコーヒーに息を吹きかけて冷ます。
 チラッと僕を見て
「あ、亮介ちょっとこっち来て。ネクタイ曲がってる」
 もうすぐ春が来る。
 朝の光の中で、彼の指先が僕のネクタイを整える。
「ほら、こうゆう時だけは頼もしいんだから」
「何だよ!こうゆう時って」
 笑いながらネクタイをを直してくれる快の頭を優しく撫でて、おでこにキスをした。
 上目遣いで照れくさそうに笑う快。

 ――――同じ会社と言う事もあって、僕と快の噂がそこら辺で立っている。それは少し前から感じていた。
  
 そんな時、噂が快の耳に届いたのか
「俺、亮介さんに救われたんで。だから笑われたくらいじゃ折れませんよ!」
 ときっぱり言い切る。従業員はびっくりしたようだったけど、快の開き直りっぷりに、笑っていた。そして快もつられて笑った。
 それを遠目で見て「ほら、頼り甲斐ある。」と僕は呟いた。

 デスクで昼食を取っている快の後ろから、こっそり
「僕の方こそ、君に救われたんだよ」
 と肩越しにこっそり言った。びっくりした快が、ご飯をゴクリと飲み込んだ。


 夜はベランダの外に出て2人で星を眺める。

「亮介、これからも俺の隣に居てよ。俺、やっと自分の気持ちに正直になれた気がするんだ。」
「もちろん。快に出会って、やっと人を信じる意味を思い出したよ。」
そっと手を繋ぐ。
 

 新しい朝が来るたびに、僕らはきっと少しずつ強くなっていく。
 
過去の痛みが嘘みたいに。

今はただ
君が隣にいる。
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