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プロローグ
4
イリューディアさんの夫だという
どう見てもただのカワイイ仔虎、
グノーデルさんが説明してくれる。
「そもそもは嫉妬深いクソ女こと
女神ヨナスのせいなのだ。
あいつが俺とイリューディアの仲を
快く思わないがために世界に混乱を招き、
俺たちの平穏な生活をブチ壊そうと企んだ。
やりたい放題しやがって、
人間達の間に争いの火種をばら撒いたあげく、
魔物まで呼び寄せてしまった!」
「あなたったら、お口が汚ないですよ。
ヨナスのことをそんな風に言わないで」
イリューディアさんが眉をひそめて、
よしよしと自分の旦那を撫でてなだめる。
「だってお前、そのせいで2人きりで
ゆっくり愛し合う時間もなく
争いをおさめるのに
奔走するハメになったじゃないか‼︎」
仔虎が毛を逆立てて思い出し怒りをしている。
聞けば、世界が荒れた当時
やっぱり今と同じように
異世界から呼びよせた助け手に
グノーデルさんが強力な戦いの加護を
与えたのだという。
そうして大きな魔物を倒してもらい、
当時の人間達の王になってもらって
世界の安定に協力して
もらったそうだ。
いわゆる勇者召喚ってやつだろうか?
それが今から100年ほど前の話。
その時あまりにもたくさんの力を使ったため、
グノーデルさんはいまだに
このカワイイ姿のまま
回復し切っていないらしい。
その後も、小さな魔物がちょこちょこ湧いたり
人間同士の小競り合いがあったりする中を
2人は休む暇なくこの世界の修復に努めながら
逃げたままの女神ヨナスを探しているという。
「だからこの際、思い切って世界の再建は
人間達にまかせて俺達はヨナス探しに
専念しようと思ってな!」
まず原因であるあのクソ女を探し出して
ボコボコにしない事には
魔物の湧きも人間どもの争いも収まらん。
フンス!と鼻息も荒く
グノーデルさんが言った時だった。
「は あ あ ⁉︎
誰がクソ女ですって?」
またひとつ、知らない声が
耳に飛び込んできた。
声のする方を見ると、
深い紫色の長髪を怒りに震わせた
美しい女性が立っていた。
爛々と光るルビーのような赤い瞳に
怒りをたぎらせて
グノーデルさんを睨みつけている。
ヨナス、とイリューディアさんが呟いた。
グノーデルさんは彼女の腕の中から
シュタッ!と軽やかに地面に降り立つ。
「ヨナス‼︎貴様よくも今まで逃げてくれたな⁉︎
今度こそ決着つけて封印してくれるわ、
2度とイリューディアに手を出すな‼︎」
・・・うん?
「はっ、あんたこそいつまで我が物顔で
イリューディアを独占するつもり⁉︎
いい加減にしなさいよ‼︎
アンタのせいでその子に
全然近付けないじゃない、このバカ男‼︎」
・・・ん ん??
2人のやり取りを聞いて違和感を覚える。
「死ねクソ女‼︎」
「滅びろバカ男‼︎」
イリューディアさんを真ん中に、
お互い一歩も引かずに
バチバチと火花を散らしている。
えーとつまり、この2人は
イリューディアさんを取り合って
対立していると言うこと?
私はてっきり、
グノーデルさんに惚れてる女神ヨナスが
イリューディアさんを困らせていると
ばかり思っていたのだが。
「宵闇と安息、情欲を司るあたしこそ
癒しと豊穣の女神イリューディアの
隣にふさわしいのよ!
だってあたし達の力は隠と陽、太陽と月、
昼と夜のように対になる存在なのだもの‼︎」
「は ァ ァ⁉︎
イリューディアの癒しの力はすなわち再生力、
そしてこの俺の力は破壊を司る!
この世の始まりから破壊と再生は表裏一体、
俺とイリューディアは互いに
なくてはならない存在なんだぞ⁉︎」
この2人、どっちも独占欲と
勝手な主張が
強すぎるんじゃないのかしら。
仲直りして3人一緒に仲良くはだめですか?と
提案したいけどそんなの口にできない
今にも一触即発な雰囲気が漂っている。
てことはつまり、この世界の荒廃の原因は
1人の女神を取り合っての痴話喧嘩が原因?
この世界の人間達にとっては完全なる
とばっちりでは?
もらい事故、という言葉が頭に浮かんだ。
困惑していると、2人の間にいたはずの
イリューディアさんがいつのまにか
こっそり私の側に来ていて袖を引かれた。
「今のうちにこちらへ。
あそこに光の柱が見えるでしょう?
あれは、こちらの世界の人間達が
あなたを呼ぶための召喚儀式を
行なっている証よ。
あの光の中にお入りなさい。
人間達のところへ行けるわ。
何かあったら神殿の姫巫女のところへ。
姫巫女は、この世界で唯一わたくしと
繋がることの出来る人間なの。
きっと力に」
「イリューディアッ‼︎
それはダメ、そうはさせないわ‼︎」
怒りをはらんだ声と共に、
私の首にイリューディアさんとは違う
ほっそりとして冷たく長い指が
掴みかかってきた。
どう見てもただのカワイイ仔虎、
グノーデルさんが説明してくれる。
「そもそもは嫉妬深いクソ女こと
女神ヨナスのせいなのだ。
あいつが俺とイリューディアの仲を
快く思わないがために世界に混乱を招き、
俺たちの平穏な生活をブチ壊そうと企んだ。
やりたい放題しやがって、
人間達の間に争いの火種をばら撒いたあげく、
魔物まで呼び寄せてしまった!」
「あなたったら、お口が汚ないですよ。
ヨナスのことをそんな風に言わないで」
イリューディアさんが眉をひそめて、
よしよしと自分の旦那を撫でてなだめる。
「だってお前、そのせいで2人きりで
ゆっくり愛し合う時間もなく
争いをおさめるのに
奔走するハメになったじゃないか‼︎」
仔虎が毛を逆立てて思い出し怒りをしている。
聞けば、世界が荒れた当時
やっぱり今と同じように
異世界から呼びよせた助け手に
グノーデルさんが強力な戦いの加護を
与えたのだという。
そうして大きな魔物を倒してもらい、
当時の人間達の王になってもらって
世界の安定に協力して
もらったそうだ。
いわゆる勇者召喚ってやつだろうか?
それが今から100年ほど前の話。
その時あまりにもたくさんの力を使ったため、
グノーデルさんはいまだに
このカワイイ姿のまま
回復し切っていないらしい。
その後も、小さな魔物がちょこちょこ湧いたり
人間同士の小競り合いがあったりする中を
2人は休む暇なくこの世界の修復に努めながら
逃げたままの女神ヨナスを探しているという。
「だからこの際、思い切って世界の再建は
人間達にまかせて俺達はヨナス探しに
専念しようと思ってな!」
まず原因であるあのクソ女を探し出して
ボコボコにしない事には
魔物の湧きも人間どもの争いも収まらん。
フンス!と鼻息も荒く
グノーデルさんが言った時だった。
「は あ あ ⁉︎
誰がクソ女ですって?」
またひとつ、知らない声が
耳に飛び込んできた。
声のする方を見ると、
深い紫色の長髪を怒りに震わせた
美しい女性が立っていた。
爛々と光るルビーのような赤い瞳に
怒りをたぎらせて
グノーデルさんを睨みつけている。
ヨナス、とイリューディアさんが呟いた。
グノーデルさんは彼女の腕の中から
シュタッ!と軽やかに地面に降り立つ。
「ヨナス‼︎貴様よくも今まで逃げてくれたな⁉︎
今度こそ決着つけて封印してくれるわ、
2度とイリューディアに手を出すな‼︎」
・・・うん?
「はっ、あんたこそいつまで我が物顔で
イリューディアを独占するつもり⁉︎
いい加減にしなさいよ‼︎
アンタのせいでその子に
全然近付けないじゃない、このバカ男‼︎」
・・・ん ん??
2人のやり取りを聞いて違和感を覚える。
「死ねクソ女‼︎」
「滅びろバカ男‼︎」
イリューディアさんを真ん中に、
お互い一歩も引かずに
バチバチと火花を散らしている。
えーとつまり、この2人は
イリューディアさんを取り合って
対立していると言うこと?
私はてっきり、
グノーデルさんに惚れてる女神ヨナスが
イリューディアさんを困らせていると
ばかり思っていたのだが。
「宵闇と安息、情欲を司るあたしこそ
癒しと豊穣の女神イリューディアの
隣にふさわしいのよ!
だってあたし達の力は隠と陽、太陽と月、
昼と夜のように対になる存在なのだもの‼︎」
「は ァ ァ⁉︎
イリューディアの癒しの力はすなわち再生力、
そしてこの俺の力は破壊を司る!
この世の始まりから破壊と再生は表裏一体、
俺とイリューディアは互いに
なくてはならない存在なんだぞ⁉︎」
この2人、どっちも独占欲と
勝手な主張が
強すぎるんじゃないのかしら。
仲直りして3人一緒に仲良くはだめですか?と
提案したいけどそんなの口にできない
今にも一触即発な雰囲気が漂っている。
てことはつまり、この世界の荒廃の原因は
1人の女神を取り合っての痴話喧嘩が原因?
この世界の人間達にとっては完全なる
とばっちりでは?
もらい事故、という言葉が頭に浮かんだ。
困惑していると、2人の間にいたはずの
イリューディアさんがいつのまにか
こっそり私の側に来ていて袖を引かれた。
「今のうちにこちらへ。
あそこに光の柱が見えるでしょう?
あれは、こちらの世界の人間達が
あなたを呼ぶための召喚儀式を
行なっている証よ。
あの光の中にお入りなさい。
人間達のところへ行けるわ。
何かあったら神殿の姫巫女のところへ。
姫巫女は、この世界で唯一わたくしと
繋がることの出来る人間なの。
きっと力に」
「イリューディアッ‼︎
それはダメ、そうはさせないわ‼︎」
怒りをはらんだ声と共に、
私の首にイリューディアさんとは違う
ほっそりとして冷たく長い指が
掴みかかってきた。
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