もう恋なんてしない

前世が蛍の人

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序章

妾の愛し子。ーハーディーside

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ミカエラ達が旅一楽座の救出した後のこと。
ハーディーはしばしの別れを惜しむように、ミカエラを愛でた後とある場所に向かった。

『この辺りに奴はいたと思ったんじゃが…。』
薄暗い森を迷うことなく歩き、やがて探していた人物の後ろ姿を見つける。

『こんなとこにおったか、ずいぶん探し…?』

『お痛わしいお痛わしい…っ!穢れた人間の象徴がミカエラ様の心をもてあそびやがって…あいつらなんか俺の呪いがこもった魔骨と怨念を纏った禍爪でギタギタに切り刻んで奇形触手クラーケンの餌にしてやる…ヒヒッ、ヒヒヒッ!
愉快愉快、死ね死ね死ね死ね死ねっ。』

すり鉢で何かを細かく砕きながらぶつぶつと呟くのは、
ハーディーの悪友ルージュだ。

『そこまでじゃルージュ、お主がそれを下等種相手に使えばあの王国全土が地図から消えるではないか。
落ち着け馬鹿者。』

『これが落ち着いてられるかっ!!
あの野郎だけは生かしておけるもんか、俺が殺してやる殺してやる殺してやるっ。』

『落ち着けっ、妾とて怒りではらわたが煮えくり返っておるのだぞ!!
だが下手に殺れば愛し子はまた自分を責める…、それだけは絶対に避けよ。』

『くそっ…、じゃあどうすればいいんだよ…っ。』
ルージュは悔し涙を流しながらうずくまった。
友の後ろ姿が酷く悲しげで、だからハーディーはあえて明るく接する。

『だが、やられっぱなしは気に食わんじゃろう?

そこでこの妾が1つ、とっておきをに教えてやっても良いが……聞きたいかぇ?』

『何それ詳しく!!』
ルージュの食い付きぶりにハーディーは妖艶な笑みを浮かべる。
コソコソと耳打ちすれば、やがてルージュの顔が嬉々とした表情になった。

『何それ何それっすげぇかっけぇじゃん!
俺にも活躍させてくれんのか?!』

『当たり前じゃ、お主が妾の右腕的存在だと分かりやすく見せつけてやろうではないか。』

『そうと決まれば今すぐに同志達を集合させるか?』

『お主に任せよう。』
ルージュは自作の呼び笛を3回吹く。
すると森の樹々がざわめき始め、辺りが霧に覆われた。

「ー呼んだのはルージュ、貴様か。」

『よく来たな!早速だが話しを始めるぜ。
お前らを呼んだのは他でもない、ミカエラ様のお心を晴らすために一人でも多くの手が必要だ。手伝ってくれ。』
これに対し黙っていた者達は口々に声を荒げる。

「それはまたとない好機!!」
「俺達の天使を泣かせた罰はでかいぜ…!」
「仕方ねぇから手を貸してやる…別にあの人の為なんかじゃないからなっ。」
「お前のツンデレに何の需要があんだよ…。まぁ暴れられるなら理由は何だっていいんだ。手を貸すぜ。」
「男として最低な屑にはお仕置きが必要かしらん、特注品の愛用で心身ともに叩き直してあげるわ♥」
「何をして遊ぼっかなぁ~…。」

『はいはい、静かに静かに…って一斉に喚くな!
強い奴に挑むのはアリだし殺さない程度に遊んでやれっ、だが集団で囲むのはやめろ。後味悪すぎるのは勘弁だ。』

「「「「「「「「「おおおぅ!」」」」」」」」」
彼らの咆哮を聞き、ハーディーは満足そうに頷く。

『よくぞ集まってくれたな、感謝するぞぇ。
妾は一足先に愚王の元へ行く、標的とのお遊びは好きなようにやればよいがその後はルージュ?
お主と打ち合わせた通りじゃ。』

『おしっ、任せろ。』

『頼もしい相棒じゃのう、さて…妾は行く。
何かあれば念話テレパシーを使え、出来る限り答えるとしよう。』

ハーディーは魔法陣を描き、その輪の中に入る。
すると、今まで来ていた服が瞬時にナイトドレスのような胸が大きく開けた露出度の高い服に変身した。
(妾の愛し子よ、その癒えぬ傷は妾がしかと報復しておくからの。)

思いを胸に抱き、彼女は何もない空間に開門ゲートを開くと向こう側へ消えていくのであった。

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