もう恋なんてしない

前世が蛍の人

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序章

悪魔のくせに…!-シュヴァルツside

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ハーディーがハルバード王国へ赴いた同時刻、シュヴァルツ達は国境を越えようとしていた。
霧ノ森に入ってから3日、ようやく視界が明るくなり野営の準備に取りかかっていた時だった。

「魔力探知機に反応あり、何者かがこちらに向かっております!」

「パターンは…赤です!!」

「ーっ悪魔か。」
直後地表は大きく揺れ、悪魔を中心に衝撃波で地面が抉れクレーターが出来上がった。

「殿下っ、お下がりください!!」
聖騎士の1人が私の前に立ちはだかった。
その様子に悪魔は、
『用があるのはそいつだ、お前が下がれよ。』
 
「へ…ーっごはぁ…が…。」
悪魔がめんどくさそうに軽く腕を降った瞬間、
彼は数メートル離れた背後の大木に直撃していたのだった。
直ぐに治癒魔法を施し、安静にする。

「貴様よくもぉおお!」
不味い…このままでは奴の思惑通りになってしまう。
そうはさせんぞ悪魔。

「聖騎士達よ、下がれ。
貴様は余に何を問うか、考えによってはここで始末する。」
「しかしっそれでは御身に、」

「黙れ。」
シュヴァルツは聖騎士達を黙らせ悪魔を睨み付ける。
悪魔はニヤニヤと不気味に笑うだけで何もしてこないが、私を値踏みするその目はしきりに動いていた。
そして悪魔はこう言った。

『-けどその程度か…はぁ。
期待損な面子ばっかで呆れたぜ。』
期待損だと…?ふざけた解答に私は苛立ちが抑えられない。

「…何が、言いたい。」

『要はお前じゃ俺様に勝てねぇってこと、おつむの弱い頭はちゃ~んと理解できたか?
俺様は優しいからもう一度、今度はすげぇ丁寧に説明してやるぜ??』

「はっ、余が貴様の陳腐な挑発に乗るとでも思うたか?」

『ヒヒヒ、馬鹿だなお前。
素直に俺様の挑発に乗っかりゃ良かったのにな?

おい、遊んでやれよ。』
シュヴァルツは困惑する。
何故なら悪魔は突然後ろを振り向き、手招きをしたからだ。
どう言う事だ?魔力探知機には1つしか表示されていなかったはず、これから何が起こると言うのだ!!

「呼ぶの遅ぇよルージュ、待ちすぎて思わず殺っちまいそうになるだろーが。」
「早く遊びたーい!!
ねぇねぇっ僕と鬼ごっこしよう?」

「ひっ……。」

『アニキス待てよ。俺達の秩序ルールを守れってんだ。』
「はぁ~い…。」
「ルージュが遅いのよん、私は早くこれで試したくて興奮が止まらないのぉ♥」
「「「「俺らの天使の無念を晴らさせろ!!」」」
「さっさと始めろよ!」

『分かった分かった…ほらさっさと行け。
あ、あれは俺の獲物だから手出しすんなよ?ちょっかい出したらぶっ潰すから。』

どこからともなく現れた悪魔の群衆に戦慄が走った。この人数でどう勝てと…?

「に、にげ…」
「あらん?可笑しな事を言うのね♪」
囲まれた、逃げ場は………無い。ならばー。
私は最初の悪魔と対峙する。
震える身体を魔法で治し剣を構えれば、奴は指を立てて「来いよ」と余裕を見せた。

★★★

「はぁっはぁっはぁっ…。」
『んだよ、もう終わりかぁ?』
「うる…さいっ、わた」
『なら立てよ、立って戦え。てめぇを見てるとよぅ、虫酸が走んだよ!
そんなんで守りたい奴を守れんのかよっっ!』
「っ結界シールドぉ!ーかはっ……。」
悪魔の攻撃が止まない。
そのうちの一発が溝尾に入り激痛を伴って私を襲う。
身体が崩れ、地面に倒れる。
しかし悪魔がそれを許さず、胸ぐらを掴み私への憎悪を露にした。

『たかが一発まともに喰らっただけで倒れてんじゃねぇよっ!
彼女の傷比べればどうってことねぇだろうが!!!!おらっ立て、立って俺と』
『そこまでじゃ、その手を離してやれ…ルージュ。』

シュヴァルツの閉じかけた瞳に映ったのは。
なまめかしい肉体に赤いドレスを纏った妖艶な美女が優雅に舞い降りた姿だった。
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