もう恋なんてしない

前世が蛍の人

文字の大きさ
7 / 22
序章

ミカエラの夢

しおりを挟む
自由の身になった私はこれからどうするか悩んでいた。
「どうしようかな?剣術も体術も不得意の私に出来ること……う~ん…。」

冒険者は正直やりたくない。
なら商人?
『ミカエラちゃんは魔力も十分あるし、物作り得意だから商人の方が良いんじゃない?』

炎を司る大精霊、ヴォルフは提案する。
「商人は確かに良いけど材料を揃えるのに一苦労だなぁー。」

『なら一つに絞っちゃったらどうです?』
私と会話するのがそんなに嬉しいのか、周りでクルクルとはしゃいでいる。

『ミカエラちゃんはさ、ポーション作るの凄く上手いじゃん?
ポーションを作って売れば生活に困らない位のお金が手に入るっすよ??』

「ポーション…。
そうだね!光魔法が扱えない人達にとって必需品だし作り手が一人でも増えた方がメリットあるものね。」
ポーションにも数えきれない種類があるから専門で商売してみようかな?
セラフィとウンディーネ、それから森の妖精達に薬草と水を集めてもらい私とヴォルフで調合を始める。
ポポン草と水は体回復ポーション、ダダン草と水で気回復ポーション、ハッカ草と魔素は魔回復ポーション が出来る。
それぞれ下級~上級を作製することにした。

―体回復ポーション(下級)―
小規模の擦り傷や切り傷を治す。
普段の生活で使用するのに適したポーション。

―体回復ポーション(中級)―
身体から切り離されていない状態であれば治す事が可能。
打撲や内出血等の内側を怪我した場合もこれが用いられる。

―体回復ポーション(上級)―
失った身体の一部を再生する事が出来る。
更に再生された部位はその後の後遺症が残らない。


―気回復ポーション(下級)―
体力の25%を回復する。

―気回復ポーション(中級)―
体力の50%を回復する。

―気回復ポーション(上級)―
体力の75%を回復する。


―魔回復ポーション(下級)―
魔力の25%を回復する。

―魔回復ポーション(中級)―
魔力の50%を回復する。

―魔回復ポーション(上級)―
魔力の75%を回復する。

ポーションを使用する場合、体内の細胞を活性化させ治療するため物によっては使用者の魔力と体力を消耗してしまうが、私が作るポーションは魔力を使せず体力だけが消耗される。
どんなポーションであろうと同じ現象が起こる。作った当初、魔力を使用するという事実に驚いた記憶があったな。

「うん、問題なく作製出来たね。」
それぞれのポーションを鞄にしまう。
現在地は世界樹の森、移動手段が徒歩のみの今は長旅になるはず。
旅をしたことがない私にとって未知の試みだった。楽しみでしょうがない。

『我が主、他国に赴くならばルーゼ王国が最適であると考える。治安も良く精霊に対して偏見がない。』

「ルーゼ王国、どんな国なんだろう…!」
まるで遠足気分の私は急いで支度してルーゼ王国へ出発。
森の妖精達は森の聖域ギリギリまで着いてきて見送ってくれた。落ち着いたらまた遊びに来る事を伝えると『絶対また来てねっ』と言われてまた涙が出そうになった。

★★

世界樹の森を出てから見るもの触るものが初めてづくしで楽しい日々を送っている。
朝鳥達の鳴き声のうるささに飛び起きてハーディーと大笑いしたり、魔物と遭遇すればヴォルフは張り切り過ぎて草木を燃やしてセラフィに説教されていたり。
因みに、私は全く戦闘に参加出来ずその間はずっとセラフィに横抱きされたままだった。
夜は倒した魔物をさばいて食事をするんだけど初めて見たときは絶叫をあげて気絶してしまった。今は少し慣れて血を見ても怖くなくなった。
ただ、さばき方を教えてもらおうとしても精霊達が既に下ごしらえを済ませてしまっていてやった事がない。
私には必要のないと一点張りされるので仕方なくポーション作りや薬草の保存方法を勉強している。

一人旅を始めてから1ヶ月と少し経ったある日、たまたま<千里眼>で景色を見ていた時魔物の集団に襲われている馬車を発見した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。

西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。 私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。 それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」 と宣言されるなんて・・・

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

これが普通なら、獣人と結婚したくないわ~王女様は復讐を始める~

黒鴉そら
ファンタジー
「私には心から愛するテレサがいる。君のような偽りの愛とは違う、魂で繋がった番なのだ。君との婚約は破棄させていただこう!」 自身の成人を祝う誕生パーティーで婚約破棄を申し出た王子と婚約者と番と、それを見ていた第三者である他国の姫のお話。 全然関係ない第三者がおこなっていく復讐? そこまでざまぁ要素は強くないです。 最後まで書いているので更新をお待ちください。6話で完結の短編です。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...