雨のふる星、遠い星

依久

文字の大きさ
20 / 27

20話 挑発

しおりを挟む
雨星  20話


ずいぶん遅くなったがもう寝よう


と、アスランは自分のベッドを空けてくれた。


「とりあえず、クリーニング済みのシーツがあるからこれだけ変える」


と言って、さっさと袋を破ってしまった。
そのままでも構わなかったのに……と言うと、俺が気になるから…とテキパキと支度してくれた。



「でも、アスランはどこで寝るの?」
「まあ、適当に……」
「床で寝るつもりでしょう?」
「ヤローどもと飲むといつも雑魚寝だから気にしないさ」
「ダメ!だったらあたしが床で寝る」
「あのなあ、あんたみたいなお嬢様、床で寝かせられるかよ」
「お嬢様じゃないもの。あたしの借りている部屋はアスランとこよりも狭いわ」
「マジかよ?てっきり高層マンションの最上階かと…」
「自分で家賃を払っているから。うちの会社のお給料、アスランの方が詳しいでしょう?」


まあ、確かに、とアスランは納得したようだ。
でも、あたしを床で寝かせる事は納得していないみたい。


口論の末、めんどくせえ!と言うとあたしを抱き上げた。


「ア、アスランっ!」



あたしは抗議の声をあげたが、聞く耳もたん!と返され、荷物のようにベッドに降ろされた。



「寝ろ!」
「異議あり!」
「言うことを聞かんと襲うぞ!」
「アスランが床で寝るの、納得出来ない」
「じゃあ、一緒に寝るか?俺もオトコだからな高確率で襲うぞ。なんせ、エルダが死んでからそっちの方は自分で処理してきたんだ。今夜はここにオンナの身体があるからな。自制する気もないしな」



「勝手にすればいいわ!」



売り言葉に買い言葉とはこの事!
勢いで言ってから後悔したけれど今さら退けない、とおかしなプライドが頭をもたげた。




「あんたな、自分の言った意味がわかってんのか?」
「わかって言ったつもりだけど」
「本当に俺が襲ったらどうするつもりだ?」
「アスランはそんな事しない!」
「俺だってオトコだと、さっき言った」
「襲うんだったら…」



今までだっていくらでもチャンスはあったでしょっ?




と、切り返すと、我慢してたんだよ!と切り返された。




「だいたいな、据え膳食わないオトコがどこの世界にいるんだ、どこの世界に!」
「ここにいるもの」
「えらく信用されたものだな、俺も!」
「アスランを信じている」



アスランは、うう、と唸るとあたしに上掛けをバサリと掛けて自分は何も掛けずに横に寝っ転がった。



「普段、ぼーとしてるくせにこんなに我が強いとは予想外だった」
「ちょっと、押さえつけないで!苦しい…」



ジダバタともがいて頭だけ上手く上掛けの上に出すことが出来た。



「もう!窒息させる気?」



薄闇の中、至近距離でアスランを睨みつけ…たつもりが、彼の瞳に囚われてしまった。



黒曜石の中には色々な色彩が存在するって言うけど、アスランの瞳は、まさにそれでとても…



綺麗!



そこから目線が外せない。



「挑発したのは、シルヴィアだからな…」



綺麗な瞳が近づいてきて…やがて唇が重なった…。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜

葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在 一緒にいるのに 言えない言葉 すれ違い、通り過ぎる二人の想いは いつか重なるのだろうか… 心に秘めた想いを いつか伝えてもいいのだろうか… 遠回りする幼馴染二人の恋の行方は? 幼い頃からいつも一緒にいた 幼馴染の朱里と瑛。 瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、 朱里を遠ざけようとする。 そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて… ・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・ 栗田 朱里(21歳)… 大学生 桐生 瑛(21歳)… 大学生 桐生ホールディングス 御曹司

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...