異世界召喚されたけど定番のチートも逆ハーレムも番も溺愛もエロもありませんでした。 無ければ自分で作れば良いのでは? よし、私頑張ります!!

福富長寿

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77話 夢を見る

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「ハルミ?……………落ち着け。どうしたんだ?なぁ?」

優しく背を撫でてくれるアーノルド、答えないと、と思うのだが返事は出来無い。胸も息も苦しい。

(……………っ……また迷惑かけちゃう……)

なんとか落ち着こうと頑張るのだが、どうしても涙が止まらない。自分に嘘をつき続けていたツケが来たのだ。

(ふ……………。辛いよ……)

ぎゅっと目を瞑ると、ふわりと体が浮く。ハッとするとアーノルドがハルミを優しく抱き上げていた。

「申し訳ありません。ライアル殿、連れが体調が悪いようです。失礼します…………」

そう言うとアーノルドはハルミを抱き上げて、その場を立ち去る。周囲から驚きの声が上がるのが聞こえて、ハルミはぎゅっと目を瞑った。



▷▷▷▷▷▷




トサリと優しく降ろされたのは、簡素なベッドの上。空いている病室を借りれたのか
誰も人は居ない。今だにポロポロ流れる涙を袖口で抑えていると、優しく頭を撫でられた。

「ハルミ………どうした?何処か痛いのか?」

優しいアーノルドの声と、その優しい手つきにハルミはもう我慢できなくなる。

「ぅっ…………嫌です。私……べるが……すきなんです、……うぅ………べるがすき……………」

そう言葉を口にするともう止まらない。

「………ほかの人と子供とか作って……欲しくない………。私が………言うのは……おかしい……けど、でもやだぁ…………うぁぁん………」

子供の様に駄々をこねて、そうやって泣くハルミをアーノルドは困惑した瞳で見つめている。それを見て更にハルミは泣けてくる。

(っ………何やってるの私……?いい大人なのに……泣きわめいて……。…っ……でも辛い、胸が痛い…………。私だって……色んな人とえっちしてるのに…………なのに………、やだぁ。べるぅ………他の人とエッチしないでぇ……)

ぐすぐすと泣いていると、アーノルドは優しく抱きしめてくれる。

「…………ハルミ?落ち着け………。子を作るのは仕方が無いだろう?ベルを好きなのは知っている………、どうしたぁ?何故いきなり…………」

そう言うアーノルドにハルミは食い気味で答える。

「べるをすきです………、でも………邪魔したくもない……。………あんな綺麗な人には絶対に勝てない……もん。………うぅ……………胸が痛い……、苦しいよぉ…………。わかってます………うぅ。叶わない恋だって……、それでも………側に居られたら、それで良いって……思ってた。でもやっぱり苦しいです………………失恋は辛いです……」

「失恋?……ハルミ?君は何を言って………?」

アーノルドは困惑した様に首を傾げている。

「だって……べるには、あんなに素敵な……恋人が……いるんでしょ?マリアさんきれいだった。………かてないよぉ……、彼女と子供作るんでしょ?………愛人も後3人も居るって……、アーノルドさんが言ったもん!!!!」

そう叫ぶ様に答えて、ハルミはまたボロボロ涙があふれる。

そうだ、アーノルドが言った。ベルには妾が四人も居ると。アーノルドが言ったんだ。

「拙者が…………言った。………ベルに……恋人?………ハルミ君は……っ……、…………。いや、そうか、済まなかった……………ハルミ。落ち着け………聞け……聞くんだ………。君は何か勘違いを………」

アーノルドは何かを話そうとしているがハルミはそれを聞きたくない。今は何も聞きたくなかった。安易な慰めの言葉なんて要らない。余計に惨めになるだけだ。

そっと頬を優しく撫でられるが、ハルミはいやいやと首を振る。

「やぁ!!!!もう……ベルとは暮らせないです……。……わかってます。諦めなきゃって……、ちゃんとわかってるんです!!!!…………………だから仕事も……探さなきゃって、………本当はわかってるんです!!!」

そう叫ぶように言うと、アーノルドの動きがピタリと止まった。

それからアーノルドはポツリと呟いた。

「…………………諦める?
………………仕事……それでか………」

ひっくひっくとしゃくりあげながら、ハルミはそれに答える。

「べるが………責任感から、私に良くしてくれてるって……知ってるんです…………。罪悪感からベルは私に優しくしてくれてるって、ちゃんと知ってます。………でも。そんな気持ちで、そんなベルの側にいるのは辛いです………。だから…………………離れます、…うぅ……………もうやだぁ………苦しいのは、やだよぉ…………」

ハルミは両手で顔を覆う。もう消えて無くなってしまいたい。

アーノルドは何も話さず静かだ。

(呆れられたのかな………)

色々と吐き出したら冷静な思考が少し戻って来て、自己嫌悪に陥る。子供みたいに泣き喚いて、迷惑をかけて。それでこうしてアーノルドを困らせている。

(…………ふぅ……ふぅ………、落ち着かなきゃ。アーノルドさんに………謝らないと)

なんとか呼吸を落ち着かせて、謝ろうと顔を上げたらアーノルドはハルミをじっと見ていた。

しっかりと目が合う。

アーノルドの瞳は何故か少し揺れていた。
そこにある色は何かを迷っているようなそんな風にハルミは感じる。

「………………ハルミ。ハルミは………ベルを……諦められるのか?………それで良いのかぁ?」

アーノルドは眉を寄せてそう言う。

「……………………諦め……ます。………ベルが幸せなら………、私はそれで……………良いんです。最初から…………叶わない恋でした…………、ベルを困らせたく無いんです………」

言って俯く、また綺麗事だ。それでもそれも本心なのだ。感情とは複雑だ。矛盾している。

(……………………いい年して恋なんかすると、ろくな事が無いなぁ……。本当に………ばかは私だっ)

内心で自嘲する。そうやって俯いていると、アーノルドは何かを呟いた。だがそれはハルミには、なんと言ったのかよく聞こえなかった。不思議に思って顔を上げるとまた目が合う。今度はアーノルドの瞳からその感情を伺う事は出来なかった。


「ハルミ………。ずっと………拙者の所に……居ればいい。君は言っていたな?仕事も覚えると…………。ベルには拙者から話そう。…………拙者は……子を作れないが、その代わり……ずっと側に居てやれるぞぉ。………君を泣かせたりは……しない、これは責任感等ではない。………君の側に居たい」

そう言ってアーノルドはハルミの頬を優しく撫でた。









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