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『吉賀さんは、まだ京一郎君に未練があるんじゃないかな?』
『王花新嘗祭』の前に佐藤妃花に言われた言葉が、何度否定しても頭の中に蘇ってくる。
思えば、麗奈が佐藤妃花に対してきつい態度を取っているのは、彼女が入学して篠上に言い寄ってからだ。
当時はまだ婚約をしていたのだから、いささか言い過ぎな感はあったが仕方ないと思っていた。
けれども婚約破棄をして俺と婚約したというのに、麗奈の佐藤妃花への態度は変わらない。
いや、以前にもましてひどくなっている。
ぶったり小突いたりすることもあったと佐藤妃花がいっていた。。
篠上達から貰ったものがなくなったりしているのも、麗奈が関係しているかもしれないとも…。
どうして?
確かに家の事業がうまくいかずに喧嘩することもあるが、俺は麗奈を大切にしている。
他の奴らと違って佐藤妃花の誘惑と戦っているのに、どうして。
『吉賀さんは、まだ京一郎君に未練があるんじゃないかな?だから私につらく当たるんじゃないかな?』
言いにくそうに、それでも俺の味方だというような佐藤妃花の言葉が頭から離れない。
あの唇から発せられた言葉のせいで俺は麗奈を疑ってしまう。
でも麗奈は幼いころから俺を慕ってくれていた。
それこそ篠上と婚約した時こそ一時期疎遠になったが、篠上が麗奈につれなくしていたせいでまたすぐに以前のように親しくしていた。
今年度に入って皆森様との婚約の話しが整うというとき、俺は猛反対した。
7歳の子供と婚約なんか冗談じゃないと。
でも、両親には思惑があった。
神の寵児と名高い彩愛。その寵愛具合に7歳を前に死ぬのではないかと言われていた。
だからこそ、そんな彩愛との婚約を整えることで磯部の家は皆森の未来への心の支えであると主張し、誕生日パーティーを我が家主体で準備することで皆森家への献身を周囲にアピールしていた。
実際、彩愛が死ななくても彩愛が高等部を卒業するころには解消される予定のものだった。
両親からすればいい条件だったんだろう。でも俺としては最悪だ。
確かに皆森様はかわいらしい。けれども冷たい表情をよくするいけ好かないガキでしかない。
そう思ってた時に麗奈の婚約が破棄された。
その前から麗奈からは、篠上とのことで相談をよく受けていた。
確かに、婚約者がいる者同士の距離ではなかったが、お互いに思いあってた。
両親は皆森様の高等部卒業を待てばいいといっていたが、あいつが高等部を卒業するころは俺たちが何歳だと思ってるんだ。
だから皆森様に婚約破棄を申し込んだ。
少し頭に血が上っていたのは認める。でも、後悔はしていないが両親には悪いとは思っている。
だが、麗奈の佐藤妃花への厳しい態度は変わらず、麗奈の周囲には俺も所属している風紀委員のメンバーを侍らすようになった。
周囲ともうまくいかず、段々と麗奈はヒステリックになっていった。
でも、麗奈は皆森様の制裁を受け、目の前でその神がかり的な行動を見て自重するようになった。
今までのように周囲に八つ当たりをしなくなったし、『王花』の女子とも仲直りとは言わないが、柔らかな雰囲気でよく会話をしている。
だからこそ、未だに続く佐藤妃花への厳しい態度が不思議だった。
庶民が出しゃばっているからついきつくなるのだと言っていたが、本当にそうなのだろうか?
クリスマスパーティーでは皆森様が佐藤妃花にぶつかり、ドレスを汚したという話しもある。
あの皆森様ですら水上様を取られまいとそんなことをするのだから、麗奈が篠上を取られた嫉妬でつらく当たっているのはおかしくないのかもしれない。
「馬鹿か、そんなわけないだろう」
麗奈と二人で撮った写真の入った写真立てを握り締める。
『私なら、和臣君に悲しい思いさせないよ。お家のことだって皆に頼んであげれるよ』
俺は、俺だけは麗奈を裏切るわけにはいかないんだ。
佐藤妃花の口から発せられる言葉は甘い蜜のようで、何度も頭の中に響いて思考を鈍らせる。
「俺は麗奈を愛してる」
一族や会社に勤めてる社員には迷惑をかけているのはわかっている。
これからも俺がいることで迷惑をかけることになるかもしれない。
それでも、俺は麗奈の泣き顔を見たくはない。
『王花新嘗祭』の前に佐藤妃花に言われた言葉が、何度否定しても頭の中に蘇ってくる。
思えば、麗奈が佐藤妃花に対してきつい態度を取っているのは、彼女が入学して篠上に言い寄ってからだ。
当時はまだ婚約をしていたのだから、いささか言い過ぎな感はあったが仕方ないと思っていた。
けれども婚約破棄をして俺と婚約したというのに、麗奈の佐藤妃花への態度は変わらない。
いや、以前にもましてひどくなっている。
ぶったり小突いたりすることもあったと佐藤妃花がいっていた。。
篠上達から貰ったものがなくなったりしているのも、麗奈が関係しているかもしれないとも…。
どうして?
確かに家の事業がうまくいかずに喧嘩することもあるが、俺は麗奈を大切にしている。
他の奴らと違って佐藤妃花の誘惑と戦っているのに、どうして。
『吉賀さんは、まだ京一郎君に未練があるんじゃないかな?だから私につらく当たるんじゃないかな?』
言いにくそうに、それでも俺の味方だというような佐藤妃花の言葉が頭から離れない。
あの唇から発せられた言葉のせいで俺は麗奈を疑ってしまう。
でも麗奈は幼いころから俺を慕ってくれていた。
それこそ篠上と婚約した時こそ一時期疎遠になったが、篠上が麗奈につれなくしていたせいでまたすぐに以前のように親しくしていた。
今年度に入って皆森様との婚約の話しが整うというとき、俺は猛反対した。
7歳の子供と婚約なんか冗談じゃないと。
でも、両親には思惑があった。
神の寵児と名高い彩愛。その寵愛具合に7歳を前に死ぬのではないかと言われていた。
だからこそ、そんな彩愛との婚約を整えることで磯部の家は皆森の未来への心の支えであると主張し、誕生日パーティーを我が家主体で準備することで皆森家への献身を周囲にアピールしていた。
実際、彩愛が死ななくても彩愛が高等部を卒業するころには解消される予定のものだった。
両親からすればいい条件だったんだろう。でも俺としては最悪だ。
確かに皆森様はかわいらしい。けれども冷たい表情をよくするいけ好かないガキでしかない。
そう思ってた時に麗奈の婚約が破棄された。
その前から麗奈からは、篠上とのことで相談をよく受けていた。
確かに、婚約者がいる者同士の距離ではなかったが、お互いに思いあってた。
両親は皆森様の高等部卒業を待てばいいといっていたが、あいつが高等部を卒業するころは俺たちが何歳だと思ってるんだ。
だから皆森様に婚約破棄を申し込んだ。
少し頭に血が上っていたのは認める。でも、後悔はしていないが両親には悪いとは思っている。
だが、麗奈の佐藤妃花への厳しい態度は変わらず、麗奈の周囲には俺も所属している風紀委員のメンバーを侍らすようになった。
周囲ともうまくいかず、段々と麗奈はヒステリックになっていった。
でも、麗奈は皆森様の制裁を受け、目の前でその神がかり的な行動を見て自重するようになった。
今までのように周囲に八つ当たりをしなくなったし、『王花』の女子とも仲直りとは言わないが、柔らかな雰囲気でよく会話をしている。
だからこそ、未だに続く佐藤妃花への厳しい態度が不思議だった。
庶民が出しゃばっているからついきつくなるのだと言っていたが、本当にそうなのだろうか?
クリスマスパーティーでは皆森様が佐藤妃花にぶつかり、ドレスを汚したという話しもある。
あの皆森様ですら水上様を取られまいとそんなことをするのだから、麗奈が篠上を取られた嫉妬でつらく当たっているのはおかしくないのかもしれない。
「馬鹿か、そんなわけないだろう」
麗奈と二人で撮った写真の入った写真立てを握り締める。
『私なら、和臣君に悲しい思いさせないよ。お家のことだって皆に頼んであげれるよ』
俺は、俺だけは麗奈を裏切るわけにはいかないんだ。
佐藤妃花の口から発せられる言葉は甘い蜜のようで、何度も頭の中に響いて思考を鈍らせる。
「俺は麗奈を愛してる」
一族や会社に勤めてる社員には迷惑をかけているのはわかっている。
これからも俺がいることで迷惑をかけることになるかもしれない。
それでも、俺は麗奈の泣き顔を見たくはない。
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