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俺としては、一貴が父の子であろうと無かろうと、兄貴だという思いには変わりがないと言える。しかし、蓮子さんはどうだろうか。親子鑑定をすることには反対はしていないようだが、もし、黒崎隆の子では無かったらという不安な思いがあるそうだと、一貴が言っていた。
父とはしばらく会っておらず、年一度の法事でしか顔を会わす機会がなくなっているとはいえ、何も関係の無い人ではない。悩んでいるなら会うと言っていた。いっそのこと、親子鑑定をしなくても良いかという考えも出てきた。父と一貴が養子縁組するということで片付けるという方法だ。
しかし、蓮子さんの本音としては、はっきりさせたいというものがある。父の子では無かったら、どういう精神状態になるだろうか。法事の場で瑛子さんに因縁を付けたり、親戚同士で争ったり出来なくなるだろう。それが全て返ってくる気がする。その反対に、一貴が父の子だと確定すれば、さらに親戚に喧嘩をふっかける気がしている。
どうして蓮子さんを恋人に選んだのか。はっきりと父に聞いたことがある。出会った当時も大人しかったわけではなく、社交的であり、キラキラと輝いていた人だったそうだ。そこに惹かれたのだという。そして、子供を作るという思いが浮かび、彼女が妊娠した。産まれた一貴は人におびえるような子になり、それでも、一念発起して立ち上げたプラセルが軌道に乗ったわけだ。
二葉が窓口で職員と話している様子を見守った。身分証明書を見せているところだ。名前が変わることで、様々な手続きがある。夏樹が経験しているから、二葉と一緒に、何が必要なのかをメモに書き出していた。そして、二葉が席を立った。手続きが終わったそうだ。
「お兄ちゃん、夏樹。受理されたよ!」
「そうか。やっぱり親父は来なくて良かったのか……」
「うん。今日付で、俺は黒崎二葉になったよ。お父さんとおじいちゃんに報告しないと……。お母さんと朝陽にもね」
「全員、俺がしておく。おじいちゃんにはお前からしてくれ。俺も言うが……」
「ありがとう。ふうーー。なんだかすっきりした気分だよ。本当はこの名前が、俺の出生時の名前のはずだったんだよね……」
「俺の出生時の名前は、烏丸圭一だったんだぞ。お互いに、途中から変わったな。夏樹だってそうだ。中山から黒崎になったんだ」
「そうだよね!カズ兄さんが、黒崎一貴になったら、まるで別人みたいになったりして……」
「そうなってもらいたい気がしている……」
父との親子関係が鑑定で出れば、養子縁組はしなくてもいい。島川一貴のままでいることもできる。業界では”島川社長”として嫌われており、有名でもある。そのままの方が良いだろうとは思っている。しかし、黒崎製菓グループの関係だと分かれば、彼に味方をする人が増えるだろうとは思った。父はきつい性格をしていたが、味方は多い方だと思う。
週刊誌に一貴が黒崎家で住んでいることと親子関係があることが掲載されて、影響はあった。それは味方でもあり、そうでもはないといえる相手が一貴に会いに来た。それは、大手通販サイト運営の社長だ。株式会社ブロッコリーを傘下に置き、電子書籍分野に乗りだそうとした人だ。しかし、伊吹は傘下に入ることを断り、その社長から嫌がらせのようなことをされた。二度とブロッコリー社とは付き合いをしないと宣言するものだった。
それには彼の手下という者達が反応し、伊吹のことを”知らんぷりした”。しかし、伊吹はワタベ電機の社長や一貴と仲が良くなり、会社の方は上昇気流に乗っている。それを悔しいと思ったのか、その大手通販サイト運営の社長は、さらに電子書籍分野を広げようとしている。しかし、パッとしない印象だ。
「黒崎さーーん。二葉に住民票を取ってもらおうよ。あと少し待てば取れるってさ」
「そうか。待とう。30分もかからないのか。早いな……」
「俺の時もそうだったよ。ふうーーー」
「夏樹、そっちに座れよ。疲れただろ?」
「うん……」
夏樹が二葉と並び合って座り、俺のことを見つめた。妙に照れくさい感じがした。そして、30分後、黒崎二葉と表示された住民票を見て、感慨深くなった。住所は父の家だ。彼女は長い旅をしてきたのだと思った。
父とはしばらく会っておらず、年一度の法事でしか顔を会わす機会がなくなっているとはいえ、何も関係の無い人ではない。悩んでいるなら会うと言っていた。いっそのこと、親子鑑定をしなくても良いかという考えも出てきた。父と一貴が養子縁組するということで片付けるという方法だ。
しかし、蓮子さんの本音としては、はっきりさせたいというものがある。父の子では無かったら、どういう精神状態になるだろうか。法事の場で瑛子さんに因縁を付けたり、親戚同士で争ったり出来なくなるだろう。それが全て返ってくる気がする。その反対に、一貴が父の子だと確定すれば、さらに親戚に喧嘩をふっかける気がしている。
どうして蓮子さんを恋人に選んだのか。はっきりと父に聞いたことがある。出会った当時も大人しかったわけではなく、社交的であり、キラキラと輝いていた人だったそうだ。そこに惹かれたのだという。そして、子供を作るという思いが浮かび、彼女が妊娠した。産まれた一貴は人におびえるような子になり、それでも、一念発起して立ち上げたプラセルが軌道に乗ったわけだ。
二葉が窓口で職員と話している様子を見守った。身分証明書を見せているところだ。名前が変わることで、様々な手続きがある。夏樹が経験しているから、二葉と一緒に、何が必要なのかをメモに書き出していた。そして、二葉が席を立った。手続きが終わったそうだ。
「お兄ちゃん、夏樹。受理されたよ!」
「そうか。やっぱり親父は来なくて良かったのか……」
「うん。今日付で、俺は黒崎二葉になったよ。お父さんとおじいちゃんに報告しないと……。お母さんと朝陽にもね」
「全員、俺がしておく。おじいちゃんにはお前からしてくれ。俺も言うが……」
「ありがとう。ふうーー。なんだかすっきりした気分だよ。本当はこの名前が、俺の出生時の名前のはずだったんだよね……」
「俺の出生時の名前は、烏丸圭一だったんだぞ。お互いに、途中から変わったな。夏樹だってそうだ。中山から黒崎になったんだ」
「そうだよね!カズ兄さんが、黒崎一貴になったら、まるで別人みたいになったりして……」
「そうなってもらいたい気がしている……」
父との親子関係が鑑定で出れば、養子縁組はしなくてもいい。島川一貴のままでいることもできる。業界では”島川社長”として嫌われており、有名でもある。そのままの方が良いだろうとは思っている。しかし、黒崎製菓グループの関係だと分かれば、彼に味方をする人が増えるだろうとは思った。父はきつい性格をしていたが、味方は多い方だと思う。
週刊誌に一貴が黒崎家で住んでいることと親子関係があることが掲載されて、影響はあった。それは味方でもあり、そうでもはないといえる相手が一貴に会いに来た。それは、大手通販サイト運営の社長だ。株式会社ブロッコリーを傘下に置き、電子書籍分野に乗りだそうとした人だ。しかし、伊吹は傘下に入ることを断り、その社長から嫌がらせのようなことをされた。二度とブロッコリー社とは付き合いをしないと宣言するものだった。
それには彼の手下という者達が反応し、伊吹のことを”知らんぷりした”。しかし、伊吹はワタベ電機の社長や一貴と仲が良くなり、会社の方は上昇気流に乗っている。それを悔しいと思ったのか、その大手通販サイト運営の社長は、さらに電子書籍分野を広げようとしている。しかし、パッとしない印象だ。
「黒崎さーーん。二葉に住民票を取ってもらおうよ。あと少し待てば取れるってさ」
「そうか。待とう。30分もかからないのか。早いな……」
「俺の時もそうだったよ。ふうーーー」
「夏樹、そっちに座れよ。疲れただろ?」
「うん……」
夏樹が二葉と並び合って座り、俺のことを見つめた。妙に照れくさい感じがした。そして、30分後、黒崎二葉と表示された住民票を見て、感慨深くなった。住所は父の家だ。彼女は長い旅をしてきたのだと思った。
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