青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 妹さんの話はまだ沢山ある。月島さんは同姓が好きだから子供を授かれない。そこはお母さんは理解しているそうだ。妹さんが言うには、お兄ちゃんは溺愛されているんだということだ。それに比べて自分は女同士として見られているところもあり、子供を作ろうと頑張ろうと思えばできるはずだと言われて、悔しい思いを何度もしてきたし、お母さんからの圧力も感じてきたそうだ。

 しかし、うつ病があり、とても出産は考えられないと思い、シングルファーザーとの縁談を希望しているそうだ。うつ病の自分の介護をすることになると思うから、小さい子には負担が大きく、できれば20歳になった子がいる男性がいいのだという。それなら同居でなくても良いだろうと思ってのことだ。そこで、自分のことを気に入って貰って、自分の養子にして永山家を継いで貰うとか、月島家の跡取りにするという計画を考えているそうだ。

 その月島さんが、ユーリーのことをイジり終えて、俺達のそばに来てくれた。お義父さんがニコッと笑った。二葉が元気になり、来てくれて良かったと口にした。すると、とんでもないと、月島さんが謙遜した。

「ははは。僕には困るでしょう。うちの妹にも困ったものです。そう簡単に、シングルファーザーは見つからないと思いますから。あ、そうか。黒崎さんのお宅はそうでしたね……」
「そうだよ。私の家はそうなんだ。ははは。でも、私のようなお爺さんはいやだろう」
「いえ、とんでもない。僕の妹でよければ、どうぞ」
「ははは。夏樹。困ったなあ。私にお嫁さんが来ることになりそうだ」
「お義父さん、良かったね。また子供が……。あ、いけないのか。その希望じゃないって言っていたね……」

 いけない発想をしてしまった。病気になったら悩むことが増えるということも学ぶことができた。もしもこの家にお嫁さんに来てくれたら、お義父さんは寂しくないだろう。しかし、さっきママに怒っていたような話し方が変わらなかったら、とても来て下さいなんて言えない。

「はははは。妹にはもっと困ることがあるだよ。お父さんから小遣いを2万円もらった時は機嫌が良くて、お母さんのことを墓に入れても良いと思ったそうだ。永代供養料を払ったのは彼女だからなあ……」
「月島さんは、お祖父さんの家のお墓に入るんだよね?」
「そうなると思うんだけどね。でも、月島家は墓はいらない考えだから、業者に頼んで散骨して貰ってもいいと考えているよ」
「そっか。お墓のことは考えていなかったよ。俺ね、父方の祖父母とは会っていないんだ……。どうなるかな?」
「妹さんが主に関わるだろう。お父さんとお母さんの支えになり、話は揉めない。そう出ている」
「ああ、万理が……」
「お祖母さんは、うちの母と似ている。自分勝手なところがあるようだ。ごめんね。はっきり言いたくてね……。それと、万理ちゃんのことが可愛いそうだ」
「ありがとう。俺は会わなくても良いんだよ。お葬式も出たくないんだ。まだ先の話だと思うけど……」
「お葬式には出ているようだよ。伊吹君は、お祖母さんの方には出ていないみたいだね」
「そうなのかーー。まあ、お兄ちゃんのことだから、乱暴しそうだよ。妹さんは今、元気なの?」
「ああ。元気にしているよ。休み休み、動画を作っている。映像制作業という職種で、ぼちぼちといったところだ。まったく……、遺産相続が楽しみだから、親とは縁を切らないで、適度に交流を持ち続けると言っているんだ。借金があったら、どうするつもりだろう。それも楽しみだそうだ。性格が荒れているんだよ」
「ははははは!」

 お義父さんが笑い出した。そして、仲の良い兄妹で良かったじゃないかと言った。同じ母親から生まれてきたとはいえ、父親が違うと、兄弟だなんて思わないこともあるそうで、揉めたということをよく聞くそうだ。それは小さな頃からの違和感なのだという。なにかが変だという、漠然とした思いがあると聞いたことがあるそうだ。

 そして、それがストレスになり、就職先のことで比べられたり、結婚相手のことでも比べられたりして、ますます仲が悪くなるケースを聞いたことがあるそうだ。それは寂しい話で、どうにかうまくいかないものかと悩む事柄だと、お義父さんが言った。
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