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その時の黒崎はお義父さんと車に乗り、涙を流して、葬儀中は一言も喋らなかったそうだ。そして、拓海さんの遺骨が毎年行っているお寺のところにあるお墓に入らず、たった一人でカトリック墓地に埋葬されるのだと聞き、そんなことをしないでくれと、生まれて初めて、お義父さんに我儘を言ったそうだ。しかし、お義父さんが、それが拓海の意志だと言い、二人はそれ以来、無言になることが多かったそうだ。
今の黒崎はこう思っている。騒がしい親戚の中で眠りたくなかっただろうと。風通しの良い、花が植えられている綺麗な霊園で眠れて、しかも静かで良かっただろうと。そして、自分の遺骨も拓海さんの墓の隣にして貰いたいと言っていた。その時、俺は縁起が悪いから、そんなに先の未来の希望を言わないでくれと、半分本気で、半分笑いながら言い返したことがある。
「拓海さんが亡くなった時、ユーリー達、ドイツから来てくれたんだよね。忙しかっただろ?」
「いいや。僕は暇だった。大学生だったけど、真面目じゃ無くて、ビールを飲んでばかりだった。葬儀の後から真面目に戻ったんだ。現実を知ったんだよ。現実は夢なんかじゃ無くて、リアルなんだって分かったんだ。僕はこの世は自分の幻想で作られているんだと思っていたところがあった。映像が流れているんだって。周りの人達は僕が投影した人であって、自分もそのうちの一人で、色んな感情を味わっているんだってね。今でもそう思っているところがあるよ。でも、リアルはリアルだ。後悔しないようにしないとって、思ったよ。父さんと母さんと兄さんとで飛行機に乗って日本に来たとき、ああ、僕達は一家なんだって思ったよ。だって、いつも父さんと僕達は別々に行動していたから、家族だなんて思っていなかったんだ。父さんは長生きしそうだ。恋人を作り続けて、最期を看取るのは誰なんだろう」
「あんたじゃなのかな?そう思うんだよ」
「僕もそう思う。大嫌いな父親の最後に立ち会いそうだよ。それは幸せなことだって分かっているんだよ。病院や家で亡くなれるなんて……。しかも、誰かがそばに居るなんてね……。夏樹、僕の最後は君に看取って貰いたい。だから、日本にいるんだ。ずっと……」
「はいはい。分かったよ。ドイツに帰らないんだろ。バーテルスビスケット会社はどうするんだよ~」
「圭一がどうにかするんだと思う。だから、僕はユラユラと船に乗ったつもりで居るんだ。頼りになる人がいるっていいなあ……」
「あんたも頼りになる人だよ。これから訪ねていく人も頼りにしているんじゃないかな?そうだといいね」
もうすぐで、ママの住むマンションの前に着く。一度だけしか行ったことが無い。引っ越しの手伝いだった。しかし、5分しかいなかった。お義父さんが迎えにきたからだ。俺は風邪気味だったから、黒崎から家にいろと言われていたが言うことを聞かずに付いていって、マンションに行った。そして、帰されたわけだ。
そういえば、最近の俺は風邪を引いていない。熱は平熱で、体温が高くなった。36.3度ぐらいだ。黒崎家に引っ越してきた時は35.4度ぐらいだったのに。だから、身体の抵抗力が上がり、身体が強くなったのだと思う。
「夏樹。報道陣だ。真琴さんの家の前じゃ無い。誰がいるんだろう」
「本当だね。事件かな。そうじゃないと集まらないよね……」
タクシーがあるビルの前で信号待ちした。歩道には5人ぐらいのカメラマンと、記者らしき人達が集まっていた。スマホを開いても、それらしいニュースはなかった。そして、一台の車が道路に横付けされて、ビルの中から人が出てきた。その人は、かつて黒崎が付き合っていた人だった。女性だ。たしか、会社のオーナーだったと思う。こっちに来ていたのか。
「ユーリー。あの人、黒崎さんが付き合っていた人だよ。食事デートの相手だよ~」
「そうか。圭一に連絡しておく。まだマンションに着かないから、今のうちに……」
ユーリーが手早くここの住所をラインで送り、ビルの名前も書いていた。そして、黒崎にラインを送り、ありがとうという返信が返ってきた後、ママが住んでいるマンションに到着し、俺達はタクシーから降りた。
今の黒崎はこう思っている。騒がしい親戚の中で眠りたくなかっただろうと。風通しの良い、花が植えられている綺麗な霊園で眠れて、しかも静かで良かっただろうと。そして、自分の遺骨も拓海さんの墓の隣にして貰いたいと言っていた。その時、俺は縁起が悪いから、そんなに先の未来の希望を言わないでくれと、半分本気で、半分笑いながら言い返したことがある。
「拓海さんが亡くなった時、ユーリー達、ドイツから来てくれたんだよね。忙しかっただろ?」
「いいや。僕は暇だった。大学生だったけど、真面目じゃ無くて、ビールを飲んでばかりだった。葬儀の後から真面目に戻ったんだ。現実を知ったんだよ。現実は夢なんかじゃ無くて、リアルなんだって分かったんだ。僕はこの世は自分の幻想で作られているんだと思っていたところがあった。映像が流れているんだって。周りの人達は僕が投影した人であって、自分もそのうちの一人で、色んな感情を味わっているんだってね。今でもそう思っているところがあるよ。でも、リアルはリアルだ。後悔しないようにしないとって、思ったよ。父さんと母さんと兄さんとで飛行機に乗って日本に来たとき、ああ、僕達は一家なんだって思ったよ。だって、いつも父さんと僕達は別々に行動していたから、家族だなんて思っていなかったんだ。父さんは長生きしそうだ。恋人を作り続けて、最期を看取るのは誰なんだろう」
「あんたじゃなのかな?そう思うんだよ」
「僕もそう思う。大嫌いな父親の最後に立ち会いそうだよ。それは幸せなことだって分かっているんだよ。病院や家で亡くなれるなんて……。しかも、誰かがそばに居るなんてね……。夏樹、僕の最後は君に看取って貰いたい。だから、日本にいるんだ。ずっと……」
「はいはい。分かったよ。ドイツに帰らないんだろ。バーテルスビスケット会社はどうするんだよ~」
「圭一がどうにかするんだと思う。だから、僕はユラユラと船に乗ったつもりで居るんだ。頼りになる人がいるっていいなあ……」
「あんたも頼りになる人だよ。これから訪ねていく人も頼りにしているんじゃないかな?そうだといいね」
もうすぐで、ママの住むマンションの前に着く。一度だけしか行ったことが無い。引っ越しの手伝いだった。しかし、5分しかいなかった。お義父さんが迎えにきたからだ。俺は風邪気味だったから、黒崎から家にいろと言われていたが言うことを聞かずに付いていって、マンションに行った。そして、帰されたわけだ。
そういえば、最近の俺は風邪を引いていない。熱は平熱で、体温が高くなった。36.3度ぐらいだ。黒崎家に引っ越してきた時は35.4度ぐらいだったのに。だから、身体の抵抗力が上がり、身体が強くなったのだと思う。
「夏樹。報道陣だ。真琴さんの家の前じゃ無い。誰がいるんだろう」
「本当だね。事件かな。そうじゃないと集まらないよね……」
タクシーがあるビルの前で信号待ちした。歩道には5人ぐらいのカメラマンと、記者らしき人達が集まっていた。スマホを開いても、それらしいニュースはなかった。そして、一台の車が道路に横付けされて、ビルの中から人が出てきた。その人は、かつて黒崎が付き合っていた人だった。女性だ。たしか、会社のオーナーだったと思う。こっちに来ていたのか。
「ユーリー。あの人、黒崎さんが付き合っていた人だよ。食事デートの相手だよ~」
「そうか。圭一に連絡しておく。まだマンションに着かないから、今のうちに……」
ユーリーが手早くここの住所をラインで送り、ビルの名前も書いていた。そして、黒崎にラインを送り、ありがとうという返信が返ってきた後、ママが住んでいるマンションに到着し、俺達はタクシーから降りた。
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