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話をしているうちに時間が経ち、お義父さんが学長を訪ねていく時間になった。俺と黒崎は帰ることとする。すると、お義父さんの方から、一緒に行こうと誘われた。そんなに長い時間ではないという。向こうも忙しいから、30分ぐらいで帰るという。そこで、これは黒崎家と学校との付き合いなのだと感じた。
黒崎の方を見ると、小さくため息をついていた。お義父さんに従うということなのだと分かった。俺の方もオッケーだ。学長と会うなんて思わなかったが、お義父さんの友達作りに付き合いたいと思った。黒崎家に何かあったときのために、そして、家の力を大きくするためのコネクションづくりだ。
俺は利用されているのか?そうかも知れないし、そうではないとも言える。いずれにしても、俺のことを守るためでもあると察した。黒崎家と仲の良い相手になると判断してのお義父さんの行動だ。もちろん、朝陽のためだ。それが一番の理由だ。
「お義父さん。行くよ。黒崎さんも行こうよ」
「お前が行くというなら付いていく。すみません。大勢で押しかけまして……」
「こちらこそ、すみません」
黒崎の言葉に今村先生が首を振った。向こうが俺に会いたいと言ってくれているのだと知った。そして、朝陽君は来るのかと聞いた。そこで、黒崎が同席させると言いだした。俺は反対したい。疲れると思うから、解放してあげた方が良い。
「黒崎さん。朝陽は休みたいと思うよ」
「いや、来てもらう。朝陽、来い」
「はい」
「朝陽君。午後からの授業には間に合うようにするからね」
今村先生が朝陽の隣に立った。初対面ではないそうだ。朝陽からすると緊張する相手のようで、カチコチになっている。
俺達は歩きながら、朝陽に聞いた。どうしてそんなに緊張しているのかと。しかし、何でも無いよといった感じで首を振った。今村先生は見た感じは優しそうで、丁寧な印象を受ける。こういう先生は生徒に好かれる。例えば、神仙教授のように気難しそうに眉をひそめていると遠ざかっていくが、この先生はそうではない。そこで、黒崎の方から今村先生に謝った。朝陽がすみませんと。
「弟ははっきりと物を言わないところがあります。朝陽、こっちを向け」
「はい」
「先生に失礼だろう。何か問題があるのか?」
「何でも無いよ……」
「すみません。僕のせいだと思います」
「え?」
今村先生からの言葉に俺達は立ち止まった。そして、話を聞いた。今村先生が朝陽に会ったのは入学式の時と授業開始の日の朝など数回なのだが、両日とも、大声で朝陽の名前を呼んで姿を探し回ってしまい、恥ずかしがらせたのだという。その後は顔を覚えたし、生徒達が波を裂くように道を空けてくれるから、朝陽のことを呼ばなくても見つけられているのだそうだ。それを聞いて黒崎が安心した顔になった。何でも無かったのかと言った。
「探してくれたのが恥ずかしかったのか。仕方が無いだろう」
「はい」
「気にすることはない。先生が生徒のことを探すのはおかしくない。生徒は大勢いるからな」
「はい」
「俺だって恥ずかしい。こんなに見られたらな。お前の気持ちは分からないでもない。しかし、慣れておけ。良い機会だ」
「はい」
黒崎の言葉通り、彼のことを見て悲鳴を上げている生徒達が通り過ぎていった。男前が歩いているからだ。俺にはナツキだ!という声があり、手を振って応えた。朝陽はもじもじしている。それを可愛いと思ったが、黒崎はそうでは無いようだ。顔を上げろと厳しい声を掛けてきた。それには言い返したい。
「黒崎さん。あんた、厳しいんだよ。あんたみたいな“人相違反”には分からない問題だよ」
「なんだと?こいつは俺の弟だ。ちゃんとしてもらう」
「なんだよ、その言い方。あんたの弟じゃなかったらどうでもいいのかよ?」
「そんなことは言っていない。俺が恥ずかしいからだ」
「その言い方をやめろってば。なんだよ、俺がもじもじしていた頃は庇ってくれたのに。あの頃の優しいあんたはどこに行ったんだよ~」
俺が軽く言い返すと、黒崎が口を閉じた。今村先生の前での言い合いが恥ずかしかったのだろう。これ以上は言い合いをしたくないから、俺も口を閉じた。抜歯後の歯茎が気になるからでもある。今村先生もそれを心配してくれた。そして、俺達はある建物に入り、学長室に案内された。
黒崎の方を見ると、小さくため息をついていた。お義父さんに従うということなのだと分かった。俺の方もオッケーだ。学長と会うなんて思わなかったが、お義父さんの友達作りに付き合いたいと思った。黒崎家に何かあったときのために、そして、家の力を大きくするためのコネクションづくりだ。
俺は利用されているのか?そうかも知れないし、そうではないとも言える。いずれにしても、俺のことを守るためでもあると察した。黒崎家と仲の良い相手になると判断してのお義父さんの行動だ。もちろん、朝陽のためだ。それが一番の理由だ。
「お義父さん。行くよ。黒崎さんも行こうよ」
「お前が行くというなら付いていく。すみません。大勢で押しかけまして……」
「こちらこそ、すみません」
黒崎の言葉に今村先生が首を振った。向こうが俺に会いたいと言ってくれているのだと知った。そして、朝陽君は来るのかと聞いた。そこで、黒崎が同席させると言いだした。俺は反対したい。疲れると思うから、解放してあげた方が良い。
「黒崎さん。朝陽は休みたいと思うよ」
「いや、来てもらう。朝陽、来い」
「はい」
「朝陽君。午後からの授業には間に合うようにするからね」
今村先生が朝陽の隣に立った。初対面ではないそうだ。朝陽からすると緊張する相手のようで、カチコチになっている。
俺達は歩きながら、朝陽に聞いた。どうしてそんなに緊張しているのかと。しかし、何でも無いよといった感じで首を振った。今村先生は見た感じは優しそうで、丁寧な印象を受ける。こういう先生は生徒に好かれる。例えば、神仙教授のように気難しそうに眉をひそめていると遠ざかっていくが、この先生はそうではない。そこで、黒崎の方から今村先生に謝った。朝陽がすみませんと。
「弟ははっきりと物を言わないところがあります。朝陽、こっちを向け」
「はい」
「先生に失礼だろう。何か問題があるのか?」
「何でも無いよ……」
「すみません。僕のせいだと思います」
「え?」
今村先生からの言葉に俺達は立ち止まった。そして、話を聞いた。今村先生が朝陽に会ったのは入学式の時と授業開始の日の朝など数回なのだが、両日とも、大声で朝陽の名前を呼んで姿を探し回ってしまい、恥ずかしがらせたのだという。その後は顔を覚えたし、生徒達が波を裂くように道を空けてくれるから、朝陽のことを呼ばなくても見つけられているのだそうだ。それを聞いて黒崎が安心した顔になった。何でも無かったのかと言った。
「探してくれたのが恥ずかしかったのか。仕方が無いだろう」
「はい」
「気にすることはない。先生が生徒のことを探すのはおかしくない。生徒は大勢いるからな」
「はい」
「俺だって恥ずかしい。こんなに見られたらな。お前の気持ちは分からないでもない。しかし、慣れておけ。良い機会だ」
「はい」
黒崎の言葉通り、彼のことを見て悲鳴を上げている生徒達が通り過ぎていった。男前が歩いているからだ。俺にはナツキだ!という声があり、手を振って応えた。朝陽はもじもじしている。それを可愛いと思ったが、黒崎はそうでは無いようだ。顔を上げろと厳しい声を掛けてきた。それには言い返したい。
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「なんだと?こいつは俺の弟だ。ちゃんとしてもらう」
「なんだよ、その言い方。あんたの弟じゃなかったらどうでもいいのかよ?」
「そんなことは言っていない。俺が恥ずかしいからだ」
「その言い方をやめろってば。なんだよ、俺がもじもじしていた頃は庇ってくれたのに。あの頃の優しいあんたはどこに行ったんだよ~」
俺が軽く言い返すと、黒崎が口を閉じた。今村先生の前での言い合いが恥ずかしかったのだろう。これ以上は言い合いをしたくないから、俺も口を閉じた。抜歯後の歯茎が気になるからでもある。今村先生もそれを心配してくれた。そして、俺達はある建物に入り、学長室に案内された。
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