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10話 ざまぁの開始 その1
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「なぜ、お前がここにいるんだ、マリア?」
とても信じられないという雰囲気を全面に出しながら、カンザスは私に近付いて来た。あの、鬱陶しいから近付かないでくれる……? ユリカお姉さまは近くには居ないみたいね。
「なぜって……招待をされたからよ」
「招待だと? お前が? ユリカに泣きついたのか?」
いえ、ユリカお姉さまに泣きついたところで、お姉さまにピエトロ宮殿への入場を許可する権限がないのは分かっているでしょう? カンザスは本気で私がこの場所に入れた理由が分かっていないみたいね。
「ユリカお姉さまでは、ピエトロ宮殿への入場は許可できないでしょう……」
「それはそうかもしれんが……ユリカは俺の婚約者だからな。俺との繋がりがあれば、お前一人を追加で入れるくらいは可能かもしれんだろ?」
えっ、そんなことが可能なの? カンザスが自信満々に言っていたので、私ももしかしたら可能なんじゃないかと思えてしまった。
でも、私を案内してくれる執事は首を横に振っている。
「無理です。この宮殿は国王陛下のお住まいになられる場所……伯爵の地位を有する方々であっても、緊急時以外は入場は出来ません」
執事は冷静に語っていた。つまり、ユリカお姉さまには何の権限もないってことね。それと同時に、カンザスにも何の権限もないことがわかってしまった。彼との繋がりがあるってだけで、ピエトロ宮殿への入場は不可能ってことね。
その事実が露呈してしまったカンザス・オリヴェイラ……恥ずかしさの余り、早口になって話し出した。
「と、とにかくだ、私のことはどうだっていいんだよ……! お前がなぜ、この宮殿に入れているのかが、重要なんだ!」
あっ、これは負け犬の遠吠えってやつね……。自らの発言を否定されて、話題を変える人は信用できないってどこかで聞いたことがあるし。私は自慢する気はなかったけれど、カンザスに真実を伝えることにした。
「私も招待状をいただいたからよ。招待状の主はヨハン国王陛下……実際に渡してくれたのは、ラウド大臣ね」
ヨハン国王陛下だけの名前でも十分すぎるんだけれど、ラウド大臣の名前も伝えたかった。大臣は口調は偉そうに振舞っているけれど、私のことを考えてくださっていたみたいだし。おそらく、大臣という立場から、あんまり親密になるのは良くないと考えているお方ね。
「はっ……? 何を言っているんだ、マリア? 頭でもおかしくなったのか……?」
「いいえ、私は至って正常よ?」
あまりの事態にカンザスは思考が停止しているようだった。見下していた相手に上に行かれた気分を味わっているのかしら? 別にこのことで彼より上に行ったとは考えていないけど。
「あら、マリアじゃない。それにカンザスも……」
「ユリカお姉さま……」
良いタイミングかしら? 思考停止しているカンザスに気付いたユリカお姉さまが、この場に現れたのだった。執事は頭を抱えているみたい……話がややこしくなるのを悟っているのかもしれないわね。
とても信じられないという雰囲気を全面に出しながら、カンザスは私に近付いて来た。あの、鬱陶しいから近付かないでくれる……? ユリカお姉さまは近くには居ないみたいね。
「なぜって……招待をされたからよ」
「招待だと? お前が? ユリカに泣きついたのか?」
いえ、ユリカお姉さまに泣きついたところで、お姉さまにピエトロ宮殿への入場を許可する権限がないのは分かっているでしょう? カンザスは本気で私がこの場所に入れた理由が分かっていないみたいね。
「ユリカお姉さまでは、ピエトロ宮殿への入場は許可できないでしょう……」
「それはそうかもしれんが……ユリカは俺の婚約者だからな。俺との繋がりがあれば、お前一人を追加で入れるくらいは可能かもしれんだろ?」
えっ、そんなことが可能なの? カンザスが自信満々に言っていたので、私ももしかしたら可能なんじゃないかと思えてしまった。
でも、私を案内してくれる執事は首を横に振っている。
「無理です。この宮殿は国王陛下のお住まいになられる場所……伯爵の地位を有する方々であっても、緊急時以外は入場は出来ません」
執事は冷静に語っていた。つまり、ユリカお姉さまには何の権限もないってことね。それと同時に、カンザスにも何の権限もないことがわかってしまった。彼との繋がりがあるってだけで、ピエトロ宮殿への入場は不可能ってことね。
その事実が露呈してしまったカンザス・オリヴェイラ……恥ずかしさの余り、早口になって話し出した。
「と、とにかくだ、私のことはどうだっていいんだよ……! お前がなぜ、この宮殿に入れているのかが、重要なんだ!」
あっ、これは負け犬の遠吠えってやつね……。自らの発言を否定されて、話題を変える人は信用できないってどこかで聞いたことがあるし。私は自慢する気はなかったけれど、カンザスに真実を伝えることにした。
「私も招待状をいただいたからよ。招待状の主はヨハン国王陛下……実際に渡してくれたのは、ラウド大臣ね」
ヨハン国王陛下だけの名前でも十分すぎるんだけれど、ラウド大臣の名前も伝えたかった。大臣は口調は偉そうに振舞っているけれど、私のことを考えてくださっていたみたいだし。おそらく、大臣という立場から、あんまり親密になるのは良くないと考えているお方ね。
「はっ……? 何を言っているんだ、マリア? 頭でもおかしくなったのか……?」
「いいえ、私は至って正常よ?」
あまりの事態にカンザスは思考が停止しているようだった。見下していた相手に上に行かれた気分を味わっているのかしら? 別にこのことで彼より上に行ったとは考えていないけど。
「あら、マリアじゃない。それにカンザスも……」
「ユリカお姉さま……」
良いタイミングかしら? 思考停止しているカンザスに気付いたユリカお姉さまが、この場に現れたのだった。執事は頭を抱えているみたい……話がややこしくなるのを悟っているのかもしれないわね。
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