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11話 ざまぁの開始 その2
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「ユリカお姉さま……」
「マリアじゃない、なんでこんなところに……いいえ、なぜピエトロ宮殿に入れているの?」
ユリカお姉さまは、カンザスの隣に立つと、私にすごい剣幕を浴びせて来た。自分以外で、テオドア家の人間が入れていることに、とても嫌悪感を持っている様子だ。お姉さまも態度がカンザスと変わらない……私は妹なんだから、もう少し柔らかく接してくれてもいいのに……。
「ねえ、カンザス……どういうことなのかしら?」
「ユリカ……? いや、俺にも何がなんだかさっぱり……」
今まで思考停止をしていたカンザスが正気に戻った。ユリカお姉さまからの質問に答えている。
「アルバータ公爵様は、妹のマリアにも許可を出されたの?」
「いやいや、そんなことするわけないだろ? アルバータ様とマリアに接点なんてないし……」
私の目の前で、ユリカお姉さまとカンザスは、私がこの場所に居る理由をあーだこーだ考えているようだった。結構、失礼な光景だけれど、ちょっと面白いから見守ることにする。私の隣に居る執事が可哀想だけれど……。
それにしても、カンザスには真実を伝えたのに、完全に忘れているようね……思考停止していたからかしら?
「まさか……」
「なんだ? ユリカ?」
「アルバータ公爵に身体を売りつけたんじゃ……」
「えっ?」
いくら考えても答えが出て来ない状況に業を煮やしたのか、とんでもないことを言い出すお姉さま。いや、あなたじゃないんだから……。
「ピエトロ宮殿に入って名声を上げる為に、そんなことをするなんて、なんて浅ましい……!」
「……」
私は完全にブーメラン発言になっているお姉さまを、これ以上見ていられなかった。どこまで悔しいのよ……私は静かに招待状を見せる。
「これは何……? えっ……!?」
「カンザスにはさっき見せたけれど、私はヨハン国王陛下から招待されております」
私はしっかりとした口調でユリカお姉さまに言った。それを聞いたお姉さまは、カンザスと同じ表情になっている。
「国王陛下から……? な、なに言ってるのよ……変なこと言わないで……ねえ、カンザス?」
「ああ……これは、何かの間違いのはずだ……そ、そうなんだろ? テオ」
カンザスは私の隣に立つ執事の名前を呼んだ。確か、この人はテオ・マクレーノさんだったかな? しかし、テオさんは首を横に振っていた。久しぶりの発言ね。
「いいえ、事実であります。如何なされますか? アルバータ公爵に言ったように、国王陛下にも不敬な発言をいたしますか?」
「うっ……!」
テオさんは少し怒っているようだった。まあ、二人の発言を聞いていたらそうなってもおかしくないけれど。でも、宮殿内で国王陛下を侮辱したら、確実に不敬罪に問われてしまうわ。アルバータ公爵に対しての発言でもギリギリなのに……。
ユリカお姉さまとカンザスは、一気に黙り込んでしまった。
「でも……なぜ、マリアが国王陛下に呼ばれたんだ……? 立場的にあり得ないだろう……」
「そ、そうよ……あり得ないわ!」
随分、大人しくなった二人だけれど、それでも納得していない様子だった。自分たちが下に行っているような感覚が許せないのかな?
「知りたいか?」
そんな時、廊下の奥から渋い声が聞こえて来た。私達に対しての言葉だと思うけれど……。
「こ、国王陛下……!?」
その姿がヨハン様だと気付いたのは、私の隣に彼が立った時……。ヨハン国王陛下はユリカお姉さまとカンザスの二人に、鋭い視線を送っていた。
「マリアじゃない、なんでこんなところに……いいえ、なぜピエトロ宮殿に入れているの?」
ユリカお姉さまは、カンザスの隣に立つと、私にすごい剣幕を浴びせて来た。自分以外で、テオドア家の人間が入れていることに、とても嫌悪感を持っている様子だ。お姉さまも態度がカンザスと変わらない……私は妹なんだから、もう少し柔らかく接してくれてもいいのに……。
「ねえ、カンザス……どういうことなのかしら?」
「ユリカ……? いや、俺にも何がなんだかさっぱり……」
今まで思考停止をしていたカンザスが正気に戻った。ユリカお姉さまからの質問に答えている。
「アルバータ公爵様は、妹のマリアにも許可を出されたの?」
「いやいや、そんなことするわけないだろ? アルバータ様とマリアに接点なんてないし……」
私の目の前で、ユリカお姉さまとカンザスは、私がこの場所に居る理由をあーだこーだ考えているようだった。結構、失礼な光景だけれど、ちょっと面白いから見守ることにする。私の隣に居る執事が可哀想だけれど……。
それにしても、カンザスには真実を伝えたのに、完全に忘れているようね……思考停止していたからかしら?
「まさか……」
「なんだ? ユリカ?」
「アルバータ公爵に身体を売りつけたんじゃ……」
「えっ?」
いくら考えても答えが出て来ない状況に業を煮やしたのか、とんでもないことを言い出すお姉さま。いや、あなたじゃないんだから……。
「ピエトロ宮殿に入って名声を上げる為に、そんなことをするなんて、なんて浅ましい……!」
「……」
私は完全にブーメラン発言になっているお姉さまを、これ以上見ていられなかった。どこまで悔しいのよ……私は静かに招待状を見せる。
「これは何……? えっ……!?」
「カンザスにはさっき見せたけれど、私はヨハン国王陛下から招待されております」
私はしっかりとした口調でユリカお姉さまに言った。それを聞いたお姉さまは、カンザスと同じ表情になっている。
「国王陛下から……? な、なに言ってるのよ……変なこと言わないで……ねえ、カンザス?」
「ああ……これは、何かの間違いのはずだ……そ、そうなんだろ? テオ」
カンザスは私の隣に立つ執事の名前を呼んだ。確か、この人はテオ・マクレーノさんだったかな? しかし、テオさんは首を横に振っていた。久しぶりの発言ね。
「いいえ、事実であります。如何なされますか? アルバータ公爵に言ったように、国王陛下にも不敬な発言をいたしますか?」
「うっ……!」
テオさんは少し怒っているようだった。まあ、二人の発言を聞いていたらそうなってもおかしくないけれど。でも、宮殿内で国王陛下を侮辱したら、確実に不敬罪に問われてしまうわ。アルバータ公爵に対しての発言でもギリギリなのに……。
ユリカお姉さまとカンザスは、一気に黙り込んでしまった。
「でも……なぜ、マリアが国王陛下に呼ばれたんだ……? 立場的にあり得ないだろう……」
「そ、そうよ……あり得ないわ!」
随分、大人しくなった二人だけれど、それでも納得していない様子だった。自分たちが下に行っているような感覚が許せないのかな?
「知りたいか?」
そんな時、廊下の奥から渋い声が聞こえて来た。私達に対しての言葉だと思うけれど……。
「こ、国王陛下……!?」
その姿がヨハン様だと気付いたのは、私の隣に彼が立った時……。ヨハン国王陛下はユリカお姉さまとカンザスの二人に、鋭い視線を送っていた。
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