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20話 国王陛下 その1
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「それでは、行って参ります」
「ええ、気を付けて行ってらっしゃい」
私はマリアンヌ様の私室で彼女と会話をしている。これから、ヨハン様に挨拶に向かうところなんだけれど、マリアンヌ様は意味深な笑みを浮かべて言った。
「どういう意味ですか? 私はヨハン国王陛下のところへ向かうだけですよ?」
「うふふ、あなたは初心でいらしているのね。そういうところは可愛いと思うけれど、男はいつの時も狼なのよ? もちろん、陛下であってもね」
「狼……」
う~ん、言葉を発した相手が正妃のマリアンヌ様でなければ、それだけで不敬罪になりそうなくらいのパワーワードだわ……。私は苦笑いをしてごまかしていた。
「と、いうのは冗談だから、とりあえず気を付けて行ってらっしゃい」
「は、はい、気を付けます」
私は再び、マリアンヌ様に頭を下げて、彼女の私室を後にした。男は狼……その言葉がいつまでも離れないままに。
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「おや、マリア・テオドアではないか」
「あ、ラウド大臣……こ、こんにちはです……!」
ピエトロ宮殿の廊下を歩き、ヨハン様の私室に向かっていると、護衛を連れたラウド大臣に出会った。私はなんだか、緊張してしまう。ラウド大臣っていつも厳格な表情をしているから……。
「今の時間ならば、こんばんわの方が良いか。まあ、やや庶民的ではあるがな」
「は、はい……えっと、こんばんわです」
「うむ、こんばんわ。ところで、今からヨハン陛下のところか?」
ラウド大臣は私が向かっているところをすぐに予測できたみたい。まあ、夜に向かうところだし、選択肢は限られていると思うけど。私は頷いて答えた。
「はい、ヨハン様のところに、泊まらせていただいていますので、ご挨拶へ……」
「ふむ、なるほど……しかし、それだけで済めば良いがな……」
「えっ……?」
なんだかよくわからないけれど、マリアンヌ様とラウド大臣が重なった気がした。
「男というものはいつの時代も……獣、だからな」
獣……どういうことになるのか、普通に想像がついてしまうけど、まあ……それは……ほら、私、側室になるのを承諾した身なんだし……。私は顔を赤くなっているのを感じた。う~ん、やっぱりそうなっちゃうのかな……?
「まあ、半分冗談ではあるが……気を付けて向かうが良い」
「は、はい。ありがとうございます。ラウド大臣」
私はラウド大臣にも頭を下げて、廊下を進んで行く。半分冗談ってことは、半分は本気ってことよね……? 私はどうしたら良いのか、冷静に考えられなくなってしまった。
「ええ、気を付けて行ってらっしゃい」
私はマリアンヌ様の私室で彼女と会話をしている。これから、ヨハン様に挨拶に向かうところなんだけれど、マリアンヌ様は意味深な笑みを浮かべて言った。
「どういう意味ですか? 私はヨハン国王陛下のところへ向かうだけですよ?」
「うふふ、あなたは初心でいらしているのね。そういうところは可愛いと思うけれど、男はいつの時も狼なのよ? もちろん、陛下であってもね」
「狼……」
う~ん、言葉を発した相手が正妃のマリアンヌ様でなければ、それだけで不敬罪になりそうなくらいのパワーワードだわ……。私は苦笑いをしてごまかしていた。
「と、いうのは冗談だから、とりあえず気を付けて行ってらっしゃい」
「は、はい、気を付けます」
私は再び、マリアンヌ様に頭を下げて、彼女の私室を後にした。男は狼……その言葉がいつまでも離れないままに。
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「おや、マリア・テオドアではないか」
「あ、ラウド大臣……こ、こんにちはです……!」
ピエトロ宮殿の廊下を歩き、ヨハン様の私室に向かっていると、護衛を連れたラウド大臣に出会った。私はなんだか、緊張してしまう。ラウド大臣っていつも厳格な表情をしているから……。
「今の時間ならば、こんばんわの方が良いか。まあ、やや庶民的ではあるがな」
「は、はい……えっと、こんばんわです」
「うむ、こんばんわ。ところで、今からヨハン陛下のところか?」
ラウド大臣は私が向かっているところをすぐに予測できたみたい。まあ、夜に向かうところだし、選択肢は限られていると思うけど。私は頷いて答えた。
「はい、ヨハン様のところに、泊まらせていただいていますので、ご挨拶へ……」
「ふむ、なるほど……しかし、それだけで済めば良いがな……」
「えっ……?」
なんだかよくわからないけれど、マリアンヌ様とラウド大臣が重なった気がした。
「男というものはいつの時代も……獣、だからな」
獣……どういうことになるのか、普通に想像がついてしまうけど、まあ……それは……ほら、私、側室になるのを承諾した身なんだし……。私は顔を赤くなっているのを感じた。う~ん、やっぱりそうなっちゃうのかな……?
「まあ、半分冗談ではあるが……気を付けて向かうが良い」
「は、はい。ありがとうございます。ラウド大臣」
私はラウド大臣にも頭を下げて、廊下を進んで行く。半分冗談ってことは、半分は本気ってことよね……? 私はどうしたら良いのか、冷静に考えられなくなってしまった。
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