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9話 婚約破棄と婚約発表 その3
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時間は経つのが早いのか遅いのか、本当にわからない……気付けば、エトワール家の本邸で行われるパーティの当日になっていた。私は王国の南東に位置しているエトワールの領地、サンナバール地方に戻ってきていた。幼馴染メイドのライラを連れて……。
ディエス様とは流石に同じ馬車では向かっていない。日程なども合わせられないし、現地での合流と非常にアバウトな約束をしたっきりだ。妹のジニーが催すパーティ……その面子がどういう人たちなのかは、非常に気になるところではあった。
馬車の隣に座っているライラも、とても心配した様子で私を見てくれているし……婚約破棄と婚約発表がメインだろうから、私の不利になるような人選で来るんじゃないかしら……。
まあ、フリント様が来るのは当然として……軽く思い出すだけでも、私と仲の良くない令嬢は数人はいる。まさか、全員来たりしないわよね? そうなったら、精神を保てる気がしないんだけど……。
「シンディ様、お気持ちはお察しいたしますが、まずは落ち着かれた方がよろしいかと思います」
私の顔色に気づいたライラが優しく声を掛けてくれた。その声はとても心配してくれているのだと、一目でわかるほどだ。
「わ、わかってるけどさ……すーはーすーはー……」
「そうですそうです。深呼吸は身体を落ち着けるには最適でございますから……」
私は何度か深呼吸をして、意外にも落ち着くことができた。ライラには感謝しないといけないわね、ジニーの時にも助けてくれたんだし。
「シンディ様にはディエス・マローネ公爵令息様がいらっしゃるのですから……大船に乗ったお気持ちで臨まれるのが、よろしいかと存じます」
「まあ、確かにそうかもしれないけどさ……」
確かに、ディエス様の存在は私にとっても心の拠り所みたいなものかもしれない。でもあの方だけに頼ったりするのは申し訳ないという気持ちも強かった。それに……合流地点やタイミングもかなりアバウトなものだったし……。
だから、自分でできることは自分でやって、可能な限りジニーに抗ってやろうとは考えていた。少なくとも、ジニーだけが得をする婚約発表なんかにさせるつもりはないわ! できれば私の婚約破棄の暴露も阻止してやりたいけれど、それは私一人では難しいかもしれないわね……。
------------------------------------------------------------------
「……いよいよですね、シンディ様……なるべく、落ち着いてまいりましょう」
「ええ、そうね、ライラ」
程なくして、私たちはエトワール家の本邸へと入った。当たり前かもしれないけれど、庭や建物の大きさは、別邸とは比べ物にならない。まあ、あっちはあくまでも宮殿へすぐに向かう為の仮住まいでしかないわけだし……。私とライラを出迎えてくれたのは……本邸の使用人や、ましてやジニー本人ではなく……お父様とお母さまだった。
ギルデ・エトワール伯爵とマイラ・エトワール伯爵夫人……紛れもなく、私の両親なんだけれど、私の気持ちとしては感動的なものとはいかなかった。だって二人の表情は、どこかジニーを連想させるものだったから……。
ディエス様とは流石に同じ馬車では向かっていない。日程なども合わせられないし、現地での合流と非常にアバウトな約束をしたっきりだ。妹のジニーが催すパーティ……その面子がどういう人たちなのかは、非常に気になるところではあった。
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まあ、フリント様が来るのは当然として……軽く思い出すだけでも、私と仲の良くない令嬢は数人はいる。まさか、全員来たりしないわよね? そうなったら、精神を保てる気がしないんだけど……。
「シンディ様、お気持ちはお察しいたしますが、まずは落ち着かれた方がよろしいかと思います」
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「わ、わかってるけどさ……すーはーすーはー……」
「そうですそうです。深呼吸は身体を落ち着けるには最適でございますから……」
私は何度か深呼吸をして、意外にも落ち着くことができた。ライラには感謝しないといけないわね、ジニーの時にも助けてくれたんだし。
「シンディ様にはディエス・マローネ公爵令息様がいらっしゃるのですから……大船に乗ったお気持ちで臨まれるのが、よろしいかと存じます」
「まあ、確かにそうかもしれないけどさ……」
確かに、ディエス様の存在は私にとっても心の拠り所みたいなものかもしれない。でもあの方だけに頼ったりするのは申し訳ないという気持ちも強かった。それに……合流地点やタイミングもかなりアバウトなものだったし……。
だから、自分でできることは自分でやって、可能な限りジニーに抗ってやろうとは考えていた。少なくとも、ジニーだけが得をする婚約発表なんかにさせるつもりはないわ! できれば私の婚約破棄の暴露も阻止してやりたいけれど、それは私一人では難しいかもしれないわね……。
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「……いよいよですね、シンディ様……なるべく、落ち着いてまいりましょう」
「ええ、そうね、ライラ」
程なくして、私たちはエトワール家の本邸へと入った。当たり前かもしれないけれど、庭や建物の大きさは、別邸とは比べ物にならない。まあ、あっちはあくまでも宮殿へすぐに向かう為の仮住まいでしかないわけだし……。私とライラを出迎えてくれたのは……本邸の使用人や、ましてやジニー本人ではなく……お父様とお母さまだった。
ギルデ・エトワール伯爵とマイラ・エトワール伯爵夫人……紛れもなく、私の両親なんだけれど、私の気持ちとしては感動的なものとはいかなかった。だって二人の表情は、どこかジニーを連想させるものだったから……。
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