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10話 婚約破棄と婚約発表 その4
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エトワール家の当主ギルデ・エトワール伯爵とマイラ・エトワール夫人……私の両親になるのだけれど、既に表情からして、嫌な予感しかしなかった。
「やあ、シンディ。久しぶりだね」
「お父様……はい、ご無沙汰しておりました」
実際はそこまで久しぶりというわけではないけど、表面上の挨拶ってところかしら? お母様も同じね。
「通達は行っているかと思うけれど、本日はジニーの婚約発表の日よ。あなたも失態だけはしないようにね? 既に婚約破棄という失態をしているんだから……これ以上、エトワール家の家紋に泥を塗ることはしないで頂戴」
「お母様……畏まりました……」
はあ、本当に憂鬱だわ……なんで、両親揃って私のことをちゃんと見てくれないんだろう……。この様子だと、多分、ジニーがフリント様を奪ったことも知らないわね? フリント様との婚約はジニーを通して成立するから、とりあえずは良しとしているのかしら?
なんだか、パーティに出席する前から気持ちがブルーになってきたわ……。どうして、家族の間でこんな醜い争いみたいなことをしないといけないんだろ……。
「あの……シンディ様。お疲れかと存じますので、一旦お部屋に戻られては如何ですか?」
「あら、そういえばライラも居たのね。まあ、いいわ……シンディは私室で時間まで待機していなさい」
「はい、畏まりました、お母様」
私は儀礼的に挨拶を済ませると、そのまま玄関を通り抜け、本邸内の私室に向かって歩いて行った。
-----------------------------------------------------
「はあ、パーティが始まる前から憂鬱だわ……」
「シンディ様……」
私は私室のベッドに横たわりながら、これから行われるパーティのことを考えていた。どう考えても、私にとっては劣勢なことしか起こらない気がする……。
現地合流のはずのディエス様の姿も見えないし……。
「シンディ様、お気を確かに……気持ちで負けていては、勝てる勝負も勝てなくなってしまいますよ?」
「ライラ、確かにそうかもしれないけどさ……ううん、確かにそうよねっ! 表面上だけでも元気にしておかないと!」
「はい、その意気ですよ、シンディ様!」
私が元気を失くしてしては、ディエス様の足を引っ張ってしまうかもしれない……それだけは、なんとしても避けたいところだった。私はクローゼットを勢いよく開け、一番きれいなドレスに着替えていく。見た目と気持ち……その両方でハイテンションを維持する必要があったからだ。
ジニーには決して負けられない……いつの間にか、私の気持ちはとても強いものになっていた。
「やあ、シンディ。久しぶりだね」
「お父様……はい、ご無沙汰しておりました」
実際はそこまで久しぶりというわけではないけど、表面上の挨拶ってところかしら? お母様も同じね。
「通達は行っているかと思うけれど、本日はジニーの婚約発表の日よ。あなたも失態だけはしないようにね? 既に婚約破棄という失態をしているんだから……これ以上、エトワール家の家紋に泥を塗ることはしないで頂戴」
「お母様……畏まりました……」
はあ、本当に憂鬱だわ……なんで、両親揃って私のことをちゃんと見てくれないんだろう……。この様子だと、多分、ジニーがフリント様を奪ったことも知らないわね? フリント様との婚約はジニーを通して成立するから、とりあえずは良しとしているのかしら?
なんだか、パーティに出席する前から気持ちがブルーになってきたわ……。どうして、家族の間でこんな醜い争いみたいなことをしないといけないんだろ……。
「あの……シンディ様。お疲れかと存じますので、一旦お部屋に戻られては如何ですか?」
「あら、そういえばライラも居たのね。まあ、いいわ……シンディは私室で時間まで待機していなさい」
「はい、畏まりました、お母様」
私は儀礼的に挨拶を済ませると、そのまま玄関を通り抜け、本邸内の私室に向かって歩いて行った。
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「はあ、パーティが始まる前から憂鬱だわ……」
「シンディ様……」
私は私室のベッドに横たわりながら、これから行われるパーティのことを考えていた。どう考えても、私にとっては劣勢なことしか起こらない気がする……。
現地合流のはずのディエス様の姿も見えないし……。
「シンディ様、お気を確かに……気持ちで負けていては、勝てる勝負も勝てなくなってしまいますよ?」
「ライラ、確かにそうかもしれないけどさ……ううん、確かにそうよねっ! 表面上だけでも元気にしておかないと!」
「はい、その意気ですよ、シンディ様!」
私が元気を失くしてしては、ディエス様の足を引っ張ってしまうかもしれない……それだけは、なんとしても避けたいところだった。私はクローゼットを勢いよく開け、一番きれいなドレスに着替えていく。見た目と気持ち……その両方でハイテンションを維持する必要があったからだ。
ジニーには決して負けられない……いつの間にか、私の気持ちはとても強いものになっていた。
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