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25話 絶縁のお話 その1
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「こ、国王陛下の許可を……?」
「ああ、その通りだ。元々、シンディ殿は私の婚約者として家は出ることになるのだから、問題はないだろう?」
「それは、確かにそうですね……」
そっか、絶縁か……。いきなりのことで思考が追い付かなかったけれど、普通に考えれば、それが最も普通の対処方法なのよね。ディエス様すごいわ……。しかし、私はライラのことが心配になってしまった。もしも、私が家を完全に離れるのだとしたら、彼女の立場が心配になってしまう……。
「あの、ディエス様……ライラのことなんですが……」
「ああ、心配はいらない。彼女が望むのであれば、私の屋敷の使用人として迎え入れよう。二人は幼馴染と聞いているので、シンディ殿としても安心するだろう?」
「ディエス様……! ありがとうございます!」
自然にライラのことを気遣えるディエス様に、私は感嘆の涙を流していた。この人、本当に凄い……。隣に立っているライラも同じ気持ちなのか、口元に両手を当てて驚いているようだった。
「よろしいのですか? ディエス・マローネ様……私などをお招きいただいても……」
「こちらとしては、ちょうど何人かの使用人が欲しいと思っていたところだしな」
「ライラ、来てくれる?」
「はい、もちろんでございます!」
ライラは両目に大粒の涙を見せながら、私に笑顔で返してくれた。私も嬉しさの余り、貰い泣きをしてしまう……いえ、もう既に泣いていたけれどね……。私とライラは玄関先で固く抱き合った。
「話しは決まったようだな。詳細については、後程、ゆっくりと話すとして……」
ディエス様は話が上手く纏まったことは喜びながらも、その表情は真剣そのものだった。理由はなんとなく想像できるけど……。
ディエス様の訪問に気付いたお父様と妹のジニーが現れた。奥の方には意気消沈しているお母様の姿もあったけれど……。ディエス様の姿を見たお父様の表情が劇的に変化する。
「こ、これはディエス様……! 申し訳ありません、玄関先までご足労を……!」
「あ、ええと……ディエス様、こんにちわ……です……」
お父様の言葉に続けるように、ジニーも固い挨拶をしていた。お父様の両手の揉み手は相変わらずだけれど、ジニーはディエス様をどう思っているのかしら? 態度だけを見ると、フリント様との婚約を台無しにした仇……とまではいかないようね。
ジニーの中でもフリント様への熱が冷めてるってことかしら?
「ディエス様、本日のご用件はどういったことでしょうか? 我が愛娘、シンディのことですかな?」
「ええ……シンディ殿に関することではあります。それから、本日はエトワールは伯爵に、お伝えしなければならないことがあります」
「なんでございますか?」
揉み手をさらに強めたお父様は、とても期待している様子だ。でも、ディエス様からの言葉はそんな期待できる内容でないことは、私やライラは分かっていた。冷静に事の顛末を見守る……。
「シンディ殿との婚約をさせていただけること、心より御礼申し上げます。しかし、伯爵達の下ではシンディ殿は平穏が手に入れられないのも事実。我がマローネ家でお引き取りをさせていただきます」
「……? ディエス様……それはつまり……?」
「はい、絶縁、ということになりますな」
冷徹なディエス様の宣言が、玄関口で響いた瞬間だった……。
「ああ、その通りだ。元々、シンディ殿は私の婚約者として家は出ることになるのだから、問題はないだろう?」
「それは、確かにそうですね……」
そっか、絶縁か……。いきなりのことで思考が追い付かなかったけれど、普通に考えれば、それが最も普通の対処方法なのよね。ディエス様すごいわ……。しかし、私はライラのことが心配になってしまった。もしも、私が家を完全に離れるのだとしたら、彼女の立場が心配になってしまう……。
「あの、ディエス様……ライラのことなんですが……」
「ああ、心配はいらない。彼女が望むのであれば、私の屋敷の使用人として迎え入れよう。二人は幼馴染と聞いているので、シンディ殿としても安心するだろう?」
「ディエス様……! ありがとうございます!」
自然にライラのことを気遣えるディエス様に、私は感嘆の涙を流していた。この人、本当に凄い……。隣に立っているライラも同じ気持ちなのか、口元に両手を当てて驚いているようだった。
「よろしいのですか? ディエス・マローネ様……私などをお招きいただいても……」
「こちらとしては、ちょうど何人かの使用人が欲しいと思っていたところだしな」
「ライラ、来てくれる?」
「はい、もちろんでございます!」
ライラは両目に大粒の涙を見せながら、私に笑顔で返してくれた。私も嬉しさの余り、貰い泣きをしてしまう……いえ、もう既に泣いていたけれどね……。私とライラは玄関先で固く抱き合った。
「話しは決まったようだな。詳細については、後程、ゆっくりと話すとして……」
ディエス様は話が上手く纏まったことは喜びながらも、その表情は真剣そのものだった。理由はなんとなく想像できるけど……。
ディエス様の訪問に気付いたお父様と妹のジニーが現れた。奥の方には意気消沈しているお母様の姿もあったけれど……。ディエス様の姿を見たお父様の表情が劇的に変化する。
「こ、これはディエス様……! 申し訳ありません、玄関先までご足労を……!」
「あ、ええと……ディエス様、こんにちわ……です……」
お父様の言葉に続けるように、ジニーも固い挨拶をしていた。お父様の両手の揉み手は相変わらずだけれど、ジニーはディエス様をどう思っているのかしら? 態度だけを見ると、フリント様との婚約を台無しにした仇……とまではいかないようね。
ジニーの中でもフリント様への熱が冷めてるってことかしら?
「ディエス様、本日のご用件はどういったことでしょうか? 我が愛娘、シンディのことですかな?」
「ええ……シンディ殿に関することではあります。それから、本日はエトワールは伯爵に、お伝えしなければならないことがあります」
「なんでございますか?」
揉み手をさらに強めたお父様は、とても期待している様子だ。でも、ディエス様からの言葉はそんな期待できる内容でないことは、私やライラは分かっていた。冷静に事の顛末を見守る……。
「シンディ殿との婚約をさせていただけること、心より御礼申し上げます。しかし、伯爵達の下ではシンディ殿は平穏が手に入れられないのも事実。我がマローネ家でお引き取りをさせていただきます」
「……? ディエス様……それはつまり……?」
「はい、絶縁、ということになりますな」
冷徹なディエス様の宣言が、玄関口で響いた瞬間だった……。
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