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6話 サウス王子殿下 その1
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「ポーションメーカーって怖いかも……」
私がニャンコクラブで働いてから3日……。私はいつも通りポーションを精製していたんだけど、売れ行きが凄いのなんの……。1時間の内に10個以上は消えて行ったり。薄利多売の商品ではないから、1時間に10個というのは正直凄い……。
単純計算で1時間で1万ゴールド……あの、これは現実でしょうか? 高級宿に二日間泊まれる金額を、たったの1時間で稼いでしまったことになるし。
「そりゃもう、現実も現実よ! どうなってんの? ポーションメーカーって仕事は……!」
「私に聞かれても……」
「レミュラ、あんたが作ってるんでしょ?」
「そ、そうだけどさ……」
なんだかミオナに責められている気分だわ……。私ももちろんだけど、ニャンコクラブで一番長く店番をしているミオナの驚きはそれ以上だと言えるんじゃないかしら。
「レミュラも3日目だし、そろそろ気付いているかもしれないけど……」
「う、うん……」
「私の店で販売している傷薬や、毒消し薬などの各種状態異常回復系は、20ゴールドくらいが相場。上級傷薬でも50ゴールドとかそのあたりよ」
ポーションの新価格は1000ゴールド……普通の人では手を出しにくい価格だけれど、有名な冒険者たちはむしろ、その価格帯のポーションなら買ってくれる。それがこの3日間で分かったこと。はっきり言うと、1日あたりの売り上げが10倍以上になっているらしい。
ミオナは喜んでいいやら何やら、とても複雑な表情をしていた。ちなみに、彼女のご両親は現在も不在のまま。帰ってきたら、とんでもないことになりそう。どうやら、長期的な仕入れに行っているみたいだけど。小売店の人が仕入れ作業に行くってことは、何かの商品を仕入れることを生産者と協議に行ってるってことよね?
「売上が多いのはいいんだけれど、この店もすんごい有名になっていそうだし……」
ミオナは喜びの反面、不安もあるようだった。それはなんでかというと……。
「レミュラの給料、どうしよう……」
「そこですか……」
「当たり前でしょ……こんなに売り上げに貢献してくれている人に、通常の賃金だと申し訳ないわ」
そのあたりはあんまり気にしなくても良いんだけど、私が言うことではないので、成り行きに任せることにした。と、その時……。
「レミュラ……!」
「えっ……?」
ニャンコクラブの入り口付近で聞き覚えのある声がした。この声って……まさか。私はすぐにそちらの方向へ視線を合わせる。
「サウス王子殿下……!?」
「やはりここに居たか、レミュラ……! 心配していたぞ!」
店の入り口にはなんと、サウス王子殿下とその護衛の兵士たちの姿があった。追い出される時には、まったく会うことが出来なかったけれど、まさかこんな場所で出会うことになるとは……世の中って分からないわね。
私がニャンコクラブで働いてから3日……。私はいつも通りポーションを精製していたんだけど、売れ行きが凄いのなんの……。1時間の内に10個以上は消えて行ったり。薄利多売の商品ではないから、1時間に10個というのは正直凄い……。
単純計算で1時間で1万ゴールド……あの、これは現実でしょうか? 高級宿に二日間泊まれる金額を、たったの1時間で稼いでしまったことになるし。
「そりゃもう、現実も現実よ! どうなってんの? ポーションメーカーって仕事は……!」
「私に聞かれても……」
「レミュラ、あんたが作ってるんでしょ?」
「そ、そうだけどさ……」
なんだかミオナに責められている気分だわ……。私ももちろんだけど、ニャンコクラブで一番長く店番をしているミオナの驚きはそれ以上だと言えるんじゃないかしら。
「レミュラも3日目だし、そろそろ気付いているかもしれないけど……」
「う、うん……」
「私の店で販売している傷薬や、毒消し薬などの各種状態異常回復系は、20ゴールドくらいが相場。上級傷薬でも50ゴールドとかそのあたりよ」
ポーションの新価格は1000ゴールド……普通の人では手を出しにくい価格だけれど、有名な冒険者たちはむしろ、その価格帯のポーションなら買ってくれる。それがこの3日間で分かったこと。はっきり言うと、1日あたりの売り上げが10倍以上になっているらしい。
ミオナは喜んでいいやら何やら、とても複雑な表情をしていた。ちなみに、彼女のご両親は現在も不在のまま。帰ってきたら、とんでもないことになりそう。どうやら、長期的な仕入れに行っているみたいだけど。小売店の人が仕入れ作業に行くってことは、何かの商品を仕入れることを生産者と協議に行ってるってことよね?
「売上が多いのはいいんだけれど、この店もすんごい有名になっていそうだし……」
ミオナは喜びの反面、不安もあるようだった。それはなんでかというと……。
「レミュラの給料、どうしよう……」
「そこですか……」
「当たり前でしょ……こんなに売り上げに貢献してくれている人に、通常の賃金だと申し訳ないわ」
そのあたりはあんまり気にしなくても良いんだけど、私が言うことではないので、成り行きに任せることにした。と、その時……。
「レミュラ……!」
「えっ……?」
ニャンコクラブの入り口付近で聞き覚えのある声がした。この声って……まさか。私はすぐにそちらの方向へ視線を合わせる。
「サウス王子殿下……!?」
「やはりここに居たか、レミュラ……! 心配していたぞ!」
店の入り口にはなんと、サウス王子殿下とその護衛の兵士たちの姿があった。追い出される時には、まったく会うことが出来なかったけれど、まさかこんな場所で出会うことになるとは……世の中って分からないわね。
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