32 / 46
32話 反省しない者達 その3
しおりを挟む
「さて、二人共」
「は、はい……ハルト王太子殿下……」
ボスであるカニエル公爵が去った後、戦後処理とばかりに、シグマとアンナに詰め寄っているハルト様だった。彼らから情報を搾り取ろうとする目的もあるのかもしれないけれど。
「謹慎処分中のパーティへの参加は論外というのは知っているだろう? 私の前でもう一度、関係ないと言うことができるか?」
ハルト様の厳しい追及に、シグマとアンナは弱々しい態度になっている。カニエル公爵に言いくるめられていたんでしょうけど……ここまで態度が変わるのは逆に面白いわね。
「も、申し訳ございませんでした……ハルト王太子殿下……本当に……」
弱々しい態度ながらも、シグマの謝罪はある程度の誠意が感じられた。彼個人としては、反省しているのかもしれないわね。
「……すぐに、屋敷に戻るというのであれば、今回だけは免除してやろう。私の気が変わらない内に行くがいい」
「は、はい……!」
シグマは一瞬だけ私と目が合ったが、特に何かを言うわけでもなく、そのまま舞踏会会場を後にしたのだった。そして、メリアーナ夫人はというと……」
「……」
遠くから一礼だけして、会場から出て行くのが見えた。今回の一件に対して、ハルト様に直接謝罪するのはプライド的にも、ブリーテン家としても許されないってところかしら? 反省はしているみたいだけれど、性根自体は変わってないかもしれないわね……。まあ、その方がメリアーナ夫人らしいんだけれど。
「シエル、気分の方は大丈夫かい?」
「は、はいハルト様。問題ございません」
「なら良かった……大元ではブリーテン家の罪は薄いかもしれないが、このままシグマたちを許しては示しがつかないからね」
「はい、心得ております。それに……私の為、なんですよね?」
私は聞くのが照れくさくて、ついついどもってしまう。その反応にハルト様は笑っていた。
「あはは、勿論だよ。私としては、君のことが最優先、だからね」
「ハルト様……」
ここが舞踏会の場でなければ、お互い抱擁の後、キスまでしていたかもしれないわね。ううん、もしかしたらそのまま……て、何を言ってるのよ私は……!
その後、舞踏会は滞りなく進められていったけれど、私の心の中にはカニエル公爵の言葉が残っていた……。本当に貴族連合が発足してしまったら、どうなるんだろう?
「は、はい……ハルト王太子殿下……」
ボスであるカニエル公爵が去った後、戦後処理とばかりに、シグマとアンナに詰め寄っているハルト様だった。彼らから情報を搾り取ろうとする目的もあるのかもしれないけれど。
「謹慎処分中のパーティへの参加は論外というのは知っているだろう? 私の前でもう一度、関係ないと言うことができるか?」
ハルト様の厳しい追及に、シグマとアンナは弱々しい態度になっている。カニエル公爵に言いくるめられていたんでしょうけど……ここまで態度が変わるのは逆に面白いわね。
「も、申し訳ございませんでした……ハルト王太子殿下……本当に……」
弱々しい態度ながらも、シグマの謝罪はある程度の誠意が感じられた。彼個人としては、反省しているのかもしれないわね。
「……すぐに、屋敷に戻るというのであれば、今回だけは免除してやろう。私の気が変わらない内に行くがいい」
「は、はい……!」
シグマは一瞬だけ私と目が合ったが、特に何かを言うわけでもなく、そのまま舞踏会会場を後にしたのだった。そして、メリアーナ夫人はというと……」
「……」
遠くから一礼だけして、会場から出て行くのが見えた。今回の一件に対して、ハルト様に直接謝罪するのはプライド的にも、ブリーテン家としても許されないってところかしら? 反省はしているみたいだけれど、性根自体は変わってないかもしれないわね……。まあ、その方がメリアーナ夫人らしいんだけれど。
「シエル、気分の方は大丈夫かい?」
「は、はいハルト様。問題ございません」
「なら良かった……大元ではブリーテン家の罪は薄いかもしれないが、このままシグマたちを許しては示しがつかないからね」
「はい、心得ております。それに……私の為、なんですよね?」
私は聞くのが照れくさくて、ついついどもってしまう。その反応にハルト様は笑っていた。
「あはは、勿論だよ。私としては、君のことが最優先、だからね」
「ハルト様……」
ここが舞踏会の場でなければ、お互い抱擁の後、キスまでしていたかもしれないわね。ううん、もしかしたらそのまま……て、何を言ってるのよ私は……!
その後、舞踏会は滞りなく進められていったけれど、私の心の中にはカニエル公爵の言葉が残っていた……。本当に貴族連合が発足してしまったら、どうなるんだろう?
0
あなたにおすすめの小説
勝手に勘違いして、婚約破棄したあなたが悪い
猿喰 森繁
恋愛
「アリシア。婚約破棄をしてほしい」
「婚約破棄…ですか」
「君と僕とでは、やはり身分が違いすぎるんだ」
「やっぱり上流階級の人間は、上流階級同士でくっつくべきだと思うの。あなたもそう思わない?」
「はぁ…」
なんと返したら良いのか。
私の家は、一代貴族と言われている。いわゆる平民からの成り上がりである。
そんなわけで、没落貴族の息子と政略結婚ならぬ政略婚約をしていたが、その相手から婚約破棄をされてしまった。
理由は、私の家が事業に失敗して、莫大な借金を抱えてしまったからというものだった。
もちろん、そんなのは誰かが飛ばした噂でしかない。
それを律儀に信じてしまったというわけだ。
金の切れ目が縁の切れ目って、本当なのね。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!
黒崎隼人
ファンタジー
「お前のような女が聖女であるはずがない!」
婚約者の王子に、身に覚えのない罪で断罪され、婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレスティナ。
罰として与えられたのは、冷酷非情と噂される「氷の辺境伯」への降嫁だった。
それは事実上の追放。実家にも見放され、全てを失った――はずだった。
しかし、窮屈な王宮から解放された彼女は、前世で培った知識を武器に、雪と氷に閉ざされた大地で新たな一歩を踏み出す。
「どんな場所でも、私は生きていける」
打ち捨てられた温室で土に触れた時、彼女の中に眠る「豊穣の聖女」の力が目覚め始める。
これは、不遇の令嬢が自らの力で運命を切り開き、不器用な辺境伯の凍てついた心を溶かし、やがて世界一の愛を手に入れるまでの、奇跡と感動の逆転ラブストーリー。
国を捨てた王子と偽りの聖女への、最高のざまぁをあなたに。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる