侯爵令息から婚約破棄されたけど、王太子殿下から婚約の申し出がありました!

安奈

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32話 反省しない者達 その3

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「さて、二人共」

「は、はい……ハルト王太子殿下……」


 ボスであるカニエル公爵が去った後、戦後処理とばかりに、シグマとアンナに詰め寄っているハルト様だった。彼らから情報を搾り取ろうとする目的もあるのかもしれないけれど。


「謹慎処分中のパーティへの参加は論外というのは知っているだろう? 私の前でもう一度、関係ないと言うことができるか?」


 ハルト様の厳しい追及に、シグマとアンナは弱々しい態度になっている。カニエル公爵に言いくるめられていたんでしょうけど……ここまで態度が変わるのは逆に面白いわね。


「も、申し訳ございませんでした……ハルト王太子殿下……本当に……」


 弱々しい態度ながらも、シグマの謝罪はある程度の誠意が感じられた。彼個人としては、反省しているのかもしれないわね。


「……すぐに、屋敷に戻るというのであれば、今回だけは免除してやろう。私の気が変わらない内に行くがいい」

「は、はい……!」


 シグマは一瞬だけ私と目が合ったが、特に何かを言うわけでもなく、そのまま舞踏会会場を後にしたのだった。そして、メリアーナ夫人はというと……」


「……」


 遠くから一礼だけして、会場から出て行くのが見えた。今回の一件に対して、ハルト様に直接謝罪するのはプライド的にも、ブリーテン家としても許されないってところかしら? 反省はしているみたいだけれど、性根自体は変わってないかもしれないわね……。まあ、その方がメリアーナ夫人らしいんだけれど。


「シエル、気分の方は大丈夫かい?」

「は、はいハルト様。問題ございません」

「なら良かった……大元ではブリーテン家の罪は薄いかもしれないが、このままシグマたちを許しては示しがつかないからね」

「はい、心得ております。それに……私の為、なんですよね?」


 私は聞くのが照れくさくて、ついついどもってしまう。その反応にハルト様は笑っていた。

「あはは、勿論だよ。私としては、君のことが最優先、だからね」

「ハルト様……」


 ここが舞踏会の場でなければ、お互い抱擁の後、キスまでしていたかもしれないわね。ううん、もしかしたらそのまま……て、何を言ってるのよ私は……!


 その後、舞踏会は滞りなく進められていったけれど、私の心の中にはカニエル公爵の言葉が残っていた……。本当に貴族連合が発足してしまったら、どうなるんだろう?
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