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38話 継承権 その3
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リクイド第三王子の継承権参加の可能性問題……メルレーンにその話を聞いてから、さらに数日が経過した。私は現在、ハルト王太子殿下と蜜月の関係を築いている。言い方がなんか古いかもしれないけれど、気にしないわ。
「こ、こら……シエル……」
「なんでしょうか、ハルト様?」
「いいじゃないですか、婚約関係なんですし!」
「ま、まあそんなんだが……」
これみよがしにくっついている私に、ハルト様はたじたじになっている様子。事前にメルレーンからも教えられたんだけれど、やっぱり男性相手には甘えてみるのが一番なんだって。
こんな可愛らしいハルト様を見られて幸せ! メルレーンには感謝しなきゃね!」
「ところで……本日の用件は、その……イチャイチャすることなのかい?」
「あ、そうでした」
私はハルト様に言葉で、本来の目的を思い出した。本来の目的といっても、メルレーンからの伝言なんだけど……なんで私が、伝言係になってるのよ……。
「リクイド第三王子のことなんですが……」
「ああ……」
ハルト様は急に真剣な表情に変わった。ある程度、私の言葉を予期していたのかしら?
「リクイド第三王子がもしも、王位継承権に参加していたとしたら……ハルト様でも厳しい相手だったかもしれないとのことです」
「そうだろうな。リクイドは才色兼備の16歳だ。今の段階でもし、王位継承権が再び行われたら、確かに厳しい相手となるだろう」
やっぱりそうなんだ……リクイド第三王子って本当に凄い方なのね。
「しかし、王位継承権争いは私の勝利で終わったのも事実だ。メルレーンさん達を通して、父上にも報告は完了している」
ハルト様の言われた「報告」というのは、カニエル公爵の不穏な動き全般でしょうね。ロード第二王子を立てて、王位継承権を再び勃発させる……それを防ごうという狙いかしら。でも、メルレーンを通して、国王陛下にも話が向かっているなら大丈夫そうね。
いくらカニエル公爵と言えども、国王陛下に逆らうなんて出来るわけないし……。
私達は貴族街の端で蜜月の関係を送っていたけれど、そこにタイミングよく現れる人影が……。周囲を警戒している護衛の一人から、事前にハルト様に報告が入る。
「ハルト王太子殿下……近付いてきている者が」
「誰かわかるか?」
「はい、リクイド第三王子になります。それから……カニエル公爵の姿も……」
「……そうか」
恐ろしいタイミングね……しかも、リクイド第三王子だけでなく、カニエル公爵までが? 私はこのタイミングの良さを決して偶然だとは思わなかった。おそらく、向こうは私とハルト様が一緒に居るタイミングを狙って来たに違いない……それは、私とハルト様の関係性を、再びの王位継承権争いにまで膨らませる手段に他ならなかった。
「こ、こら……シエル……」
「なんでしょうか、ハルト様?」
「いいじゃないですか、婚約関係なんですし!」
「ま、まあそんなんだが……」
これみよがしにくっついている私に、ハルト様はたじたじになっている様子。事前にメルレーンからも教えられたんだけれど、やっぱり男性相手には甘えてみるのが一番なんだって。
こんな可愛らしいハルト様を見られて幸せ! メルレーンには感謝しなきゃね!」
「ところで……本日の用件は、その……イチャイチャすることなのかい?」
「あ、そうでした」
私はハルト様に言葉で、本来の目的を思い出した。本来の目的といっても、メルレーンからの伝言なんだけど……なんで私が、伝言係になってるのよ……。
「リクイド第三王子のことなんですが……」
「ああ……」
ハルト様は急に真剣な表情に変わった。ある程度、私の言葉を予期していたのかしら?
「リクイド第三王子がもしも、王位継承権に参加していたとしたら……ハルト様でも厳しい相手だったかもしれないとのことです」
「そうだろうな。リクイドは才色兼備の16歳だ。今の段階でもし、王位継承権が再び行われたら、確かに厳しい相手となるだろう」
やっぱりそうなんだ……リクイド第三王子って本当に凄い方なのね。
「しかし、王位継承権争いは私の勝利で終わったのも事実だ。メルレーンさん達を通して、父上にも報告は完了している」
ハルト様の言われた「報告」というのは、カニエル公爵の不穏な動き全般でしょうね。ロード第二王子を立てて、王位継承権を再び勃発させる……それを防ごうという狙いかしら。でも、メルレーンを通して、国王陛下にも話が向かっているなら大丈夫そうね。
いくらカニエル公爵と言えども、国王陛下に逆らうなんて出来るわけないし……。
私達は貴族街の端で蜜月の関係を送っていたけれど、そこにタイミングよく現れる人影が……。周囲を警戒している護衛の一人から、事前にハルト様に報告が入る。
「ハルト王太子殿下……近付いてきている者が」
「誰かわかるか?」
「はい、リクイド第三王子になります。それから……カニエル公爵の姿も……」
「……そうか」
恐ろしいタイミングね……しかも、リクイド第三王子だけでなく、カニエル公爵までが? 私はこのタイミングの良さを決して偶然だとは思わなかった。おそらく、向こうは私とハルト様が一緒に居るタイミングを狙って来たに違いない……それは、私とハルト様の関係性を、再びの王位継承権争いにまで膨らませる手段に他ならなかった。
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