40 / 86
決闘の儀(2)
しおりを挟む
そして世界から音が消え去る。
何故なら皇帝時間が発動したからだ。
ドアの方に視線を向けると、五人の外套で顔を隠した者達が、部屋に侵入してきた。
狙いはルリシアさんか!
まさか決闘の儀の前に襲ってくるなんて思わなかったぞ。
いや、あの卑怯なサハディンならやりかねないな。
ここでルリシアさんの命をうばえば、自分が皇帝になれると思っているのか?
あの親バカの皇帝のことだ。その時は推定有罪でデルカルトを始末しそうだが。
それとも従者である俺を始末して、決闘の儀に出られないようにするためか? そういえば念を押して時間を過ぎたら俺の勝ちだ的なことを言ってたしな。相手がクズだけにどれもありえそうだ。
ともかくまずはこいつらを処分しないと。
俺は現れた古文書から出てきた、裏表示のカードを五枚引く。
引いたカードはパワーブースター(⭐3)、マジックブースター(⭐3)、真実の眼(⭐2)、ポイズンスネークの毒(⭐2)×二だ。
そしてバトル用のページに五枚をセットすると、時が動き出す。そして直ぐ様そのうちの一枚を手に取る。
「俺を強化しろ! パワーブースター!」
パワーブースターの効果で俺の身体に力が漲ってきた。
そして俺は剣を取り、外套で顔を隠した者達と対峙する。
こんな所で仕掛けてくるなんて。すぐに人が来て自分達の身も危ういというのに。
この後には決闘の儀が待っているんだ。ルリシアさんのことも心配だし、さっさと片付けさせてもらう。
俺は早期決着させるため、外套で顔を隠した者達の元へ接近する。
「き、きた!」
「ガキ一人やるだけだ。すぐに終わらせるぞ!」
ん? 前回ボルゲーノさんの屋敷で襲ってきた黒ずくめは、一言も喋らず任務に当たっていた。だけど目の前の奴らは、動揺しているように見えるし、何だか戦いに慣れていないように感じた。
「し、死ねぇ!」
外套で顔を隠した者の一人が、こちらに向かって剣を振り下ろす⋯⋯が遅い。まるで素人の剣だ。
俺は剣を使わずそのまま身体を捻りかわした。
そして左の拳で腹部を殴ると、壁まで軽々と吹き飛ぶ。
「ぎゃっ!」
「ぐはっ!」
背後にいた仲間一人を巻き込んで、二人はピクリとも動かなくなる。
「ひぃっ!」
「何でこのガキはこんなに強いんだ!」
残りの三人は仲間二人が一瞬で倒されたことで、恐怖の声をあげる。
弱い、弱すぎるぞ。こんな雑魚を仕向けられるなんて、俺も舐められたものだ。
「に、逃げるぞ!」
残りの奴らが逃げようとしたため、俺は先回りして出口を塞ぐ。
「突然襲ってきて、逃げるなんて許されないよ」
「ど、どけ糞ガキ!」
しかも糞ガキ呼ばれか。これはもう容赦しなくていいよな。
俺は残りの三人に対して、猛スピードで接近する。
三人はあまりにも速さに驚いたのか、まったく動くことが出来ないでいた。
「そんなんじゃ刺客なんて務まらないよ」
そしてすれ違い様に言葉を残すと共に、三人の腹部に拳をお見舞いする。
すると三人は悶絶し、床をのたうち回るのだった。
やれやれ。それにしてもこの実力で人を殺そうとするなんて、無謀にも程がある。
声を聞く限り若そうに見えるけど⋯⋯
俺は五人の外套を外し、顔を拝ませてもらう。
「くっ!」
やはり俺の予想通り、五人は若い男だった。年齢的にはルリシアさんと同じか少し上くらいかな。
でも何でこいつらは俺を襲って来たんだ?
だけど今はそのことより、ルリシアさんの安全を確認しなきゃ。
確か訓練所の入口に兵士の人がいたよな。
二人は気絶しているし、三人は未だにお腹を抑えながら苦しんでいる。
ルリシアさんを探しに行くついでに、こいつらのことを兵士の人達に伝えよう。
俺はルリシアさんの元へ向かうため、この場を離れようとするが。
「ユートくん? これはどういうこと?」
ちょうどルリシアさんが戻ってきた。
良かった。今回はルリシアさんが狙われた訳じゃなかったようだ。
俺はルリシアさんの姿を見て安堵する。
「ルリシアさんが玉座の間に行った後、突然襲ってきて⋯⋯」
「なんですって! 許せないわ。ユートくんを襲うなんてどこの誰が⋯⋯あら? この人達見たことがあるわ」
「本当ですか」
「ええ⋯⋯確か貴族のご子息達よ。何故この人達がユートくんを⋯⋯」
なるほど。貴族のボンボンか。だから動きが素人臭かったんだな。
おそらくデルカルトに俺を殺せば、自分が皇帝になった時に優遇してやるとでも言われたのだろう。
バカな奴らだ。デルカルトごときに利用されるなんて。
「とにかくこの場は兵士の人達に任せて、僕達は決闘の儀に向かいましょう」
「そうね」
俺達は控え室を出た後、兵士の人達に先程遭ったことを伝える。
「承知しました! 後はお任せ下さい!」
そして兵士の人達は控え室へと向かい、俺達は闘技場へと足を進めた。
「そういえば皇帝陛下のお話は何だったんですか?」
「え~と⋯⋯決闘の儀のことで怒られちゃった」
げっ! それはまずいぞ。
これは皇帝陛下に何を言われるかわからないな。
「でもバレちゃうのは時間の問題だったから」
それじゃあこの先に皇帝陛下がいるということか。
嫌だなあ。あの人は見境なしに攻撃してくるからな。
「もうすぐ到着するわ。ユートくんがんばろうね」
「うん」
そして俺達は暗い廊下を抜けて、決闘の儀を行う舞台へと到着するのであった。
何故なら皇帝時間が発動したからだ。
ドアの方に視線を向けると、五人の外套で顔を隠した者達が、部屋に侵入してきた。
狙いはルリシアさんか!
まさか決闘の儀の前に襲ってくるなんて思わなかったぞ。
いや、あの卑怯なサハディンならやりかねないな。
ここでルリシアさんの命をうばえば、自分が皇帝になれると思っているのか?
あの親バカの皇帝のことだ。その時は推定有罪でデルカルトを始末しそうだが。
それとも従者である俺を始末して、決闘の儀に出られないようにするためか? そういえば念を押して時間を過ぎたら俺の勝ちだ的なことを言ってたしな。相手がクズだけにどれもありえそうだ。
ともかくまずはこいつらを処分しないと。
俺は現れた古文書から出てきた、裏表示のカードを五枚引く。
引いたカードはパワーブースター(⭐3)、マジックブースター(⭐3)、真実の眼(⭐2)、ポイズンスネークの毒(⭐2)×二だ。
そしてバトル用のページに五枚をセットすると、時が動き出す。そして直ぐ様そのうちの一枚を手に取る。
「俺を強化しろ! パワーブースター!」
パワーブースターの効果で俺の身体に力が漲ってきた。
そして俺は剣を取り、外套で顔を隠した者達と対峙する。
こんな所で仕掛けてくるなんて。すぐに人が来て自分達の身も危ういというのに。
この後には決闘の儀が待っているんだ。ルリシアさんのことも心配だし、さっさと片付けさせてもらう。
俺は早期決着させるため、外套で顔を隠した者達の元へ接近する。
「き、きた!」
「ガキ一人やるだけだ。すぐに終わらせるぞ!」
ん? 前回ボルゲーノさんの屋敷で襲ってきた黒ずくめは、一言も喋らず任務に当たっていた。だけど目の前の奴らは、動揺しているように見えるし、何だか戦いに慣れていないように感じた。
「し、死ねぇ!」
外套で顔を隠した者の一人が、こちらに向かって剣を振り下ろす⋯⋯が遅い。まるで素人の剣だ。
俺は剣を使わずそのまま身体を捻りかわした。
そして左の拳で腹部を殴ると、壁まで軽々と吹き飛ぶ。
「ぎゃっ!」
「ぐはっ!」
背後にいた仲間一人を巻き込んで、二人はピクリとも動かなくなる。
「ひぃっ!」
「何でこのガキはこんなに強いんだ!」
残りの三人は仲間二人が一瞬で倒されたことで、恐怖の声をあげる。
弱い、弱すぎるぞ。こんな雑魚を仕向けられるなんて、俺も舐められたものだ。
「に、逃げるぞ!」
残りの奴らが逃げようとしたため、俺は先回りして出口を塞ぐ。
「突然襲ってきて、逃げるなんて許されないよ」
「ど、どけ糞ガキ!」
しかも糞ガキ呼ばれか。これはもう容赦しなくていいよな。
俺は残りの三人に対して、猛スピードで接近する。
三人はあまりにも速さに驚いたのか、まったく動くことが出来ないでいた。
「そんなんじゃ刺客なんて務まらないよ」
そしてすれ違い様に言葉を残すと共に、三人の腹部に拳をお見舞いする。
すると三人は悶絶し、床をのたうち回るのだった。
やれやれ。それにしてもこの実力で人を殺そうとするなんて、無謀にも程がある。
声を聞く限り若そうに見えるけど⋯⋯
俺は五人の外套を外し、顔を拝ませてもらう。
「くっ!」
やはり俺の予想通り、五人は若い男だった。年齢的にはルリシアさんと同じか少し上くらいかな。
でも何でこいつらは俺を襲って来たんだ?
だけど今はそのことより、ルリシアさんの安全を確認しなきゃ。
確か訓練所の入口に兵士の人がいたよな。
二人は気絶しているし、三人は未だにお腹を抑えながら苦しんでいる。
ルリシアさんを探しに行くついでに、こいつらのことを兵士の人達に伝えよう。
俺はルリシアさんの元へ向かうため、この場を離れようとするが。
「ユートくん? これはどういうこと?」
ちょうどルリシアさんが戻ってきた。
良かった。今回はルリシアさんが狙われた訳じゃなかったようだ。
俺はルリシアさんの姿を見て安堵する。
「ルリシアさんが玉座の間に行った後、突然襲ってきて⋯⋯」
「なんですって! 許せないわ。ユートくんを襲うなんてどこの誰が⋯⋯あら? この人達見たことがあるわ」
「本当ですか」
「ええ⋯⋯確か貴族のご子息達よ。何故この人達がユートくんを⋯⋯」
なるほど。貴族のボンボンか。だから動きが素人臭かったんだな。
おそらくデルカルトに俺を殺せば、自分が皇帝になった時に優遇してやるとでも言われたのだろう。
バカな奴らだ。デルカルトごときに利用されるなんて。
「とにかくこの場は兵士の人達に任せて、僕達は決闘の儀に向かいましょう」
「そうね」
俺達は控え室を出た後、兵士の人達に先程遭ったことを伝える。
「承知しました! 後はお任せ下さい!」
そして兵士の人達は控え室へと向かい、俺達は闘技場へと足を進めた。
「そういえば皇帝陛下のお話は何だったんですか?」
「え~と⋯⋯決闘の儀のことで怒られちゃった」
げっ! それはまずいぞ。
これは皇帝陛下に何を言われるかわからないな。
「でもバレちゃうのは時間の問題だったから」
それじゃあこの先に皇帝陛下がいるということか。
嫌だなあ。あの人は見境なしに攻撃してくるからな。
「もうすぐ到着するわ。ユートくんがんばろうね」
「うん」
そして俺達は暗い廊下を抜けて、決闘の儀を行う舞台へと到着するのであった。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる