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騎士団長ガルドランド登場
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「お疲れ様です!」
リーゼロッテは、背後から現れた筋肉質の中年男に対して敬礼をする。
リーゼロッテが一礼する相手、それは王国騎士団の団長であるガルドランドであった。
ガルドランドが姿を見せると、途端にボーゲンの表情が厳しくなる。
だがボーゲンの様子など気にもせず、ワルイが嬉々として声を上げた。
「ちょうど良かった! ボーゲン様、ガルドランド騎士団長に我々を見逃すよう伝えて下さい」
「う、うむ⋯⋯」
ボーゲンは返事をするがハッキリとしない態度を取る。その理由は⋯⋯
「ボーゲン様、騎士団長如きにどうしたのですか? 子爵であるあなたが命令すれば逆らうことは出来ないはず」
ワルイが上から目線でガルドランドを指差す。
その行為がどれだけ愚かであるかわかっていないようだ。
「やめろ!」
「えっ?」
ボーゲンはワルイの手を叩き落とす。そしてすぐさまガルドランドに向かって土下座をした。ワルイはボーゲンの行動の意図がわからず呆然としている。
「ガルドランド様、申し訳ありません!」
「な、何故この者に土下座を⋯⋯」
「ええい! この方をどなたか知らないのか!」
ボーゲンはワルイの後頭部に手を置き、地面に押しつける。
「ど、どういうことですか? ただの騎士団長に何故私が⋯⋯」
「ただの騎士団長ではない! この方はいずれ伯爵家を継ぐお方だぞ!」
「なっ! そんなあ⋯⋯」
そう。ボーゲンの言う通り、ガルドランドは伯爵家の長男であり、立場的には子爵であるボーゲンより上なのだ。
「どうかこの者のご無礼をお許し下さい」
「まさか伯爵家の方とは⋯⋯申し訳ございません!」
ガルドランドの正体を知り、ワルイは自分の意思で地面に額をすり付ける。そしてボーゲンも同様に土下座をした。
先程までの偉そうな態度はどこへ行ったのやら。相手が自分達より立場が上だとわかると、すぐに媚びへつらう姿は、リーゼロッテから見てとても滑稽であった。
「伯爵家の者だってことは隠してたんだがな。よく知ってたな」
「い、以前貴方様のお父上とパーティーで面会する機会がありましてその時に⋯⋯」
「そうか。だが今は貴族としてここに来てる訳じゃねえ。王国騎士団長として俺はここにいる。善良な市民から変質者がいるって通報があったからな」
もちろん通報したのはユクトである。
リーゼロッテが裏帳簿について追及しても、権力を盾にして二人はこの場を逃げる恐れがあった。そのため、二人より権力があるガルドランドを呼んだのだ。
「騎士団長。これを見て下さい」
「あっ! それは⋯⋯」
ワルイはリーゼロッテが差し出した帳簿を見て声を上げる。そして気まずそうに目をそらした。
「ほう⋯⋯これは裏帳簿ってやつじゃねえか。見る限り随分ため込んでたみてえだな」
「はい。そして同業者である、アルト商会に嫌がらせをしていたという報告も上がっています」
「な、何故そんなことまで⋯⋯はっ!」
リーゼロッテの言葉に思わず声を出してしまい、すぐにしまったという表情をした。
「自白してくれるなんて、調べる手間が省けて助かるぜ」
「くっ! 今のはその⋯⋯」
「今のは何だ? ちなみに言っておくが、俺は嘘をつく奴には容赦しねえ。発言には気をつけることを勧めるぜ」
ガルドランドは腰に差している剣の柄に手を置く。殺気も放っており、もし嘘をついたらこの剣で斬ると言わんばかりだった。
「な、何でもありません⋯⋯」
あまりの迫力に、ワルイとボーゲンは黙るしかなかった。
「まあ、俺が何もしなくても王都で噂の奴らが、お前らに天誅を下すかもしれないがな」
ガルドランドは地面に落ちていた何かを拾い、ボーゲンとワルイに見せる。
「クロスチャーム⋯⋯」
「女神の執行者⋯⋯」
「厄介な奴らに目をつけられたな。奴らは悪人に対して命を奪う時もある。そう考えれば、命があるだけマシだと考えねえとな」
確かにガルドランドの言葉通り、女神の執行者が現れた場所で、悪人達の命が奪われることも珍しくはなかった。
もしかしたらその悪人達と同じようになっていたのかもしれない。二人はそのようなことが頭に思い浮かび、脱力してその場に膝をつく。
「それじゃあこいつらはもらって行くぜ! リーゼロッテご苦労さん」
「あっ、はい⋯⋯」
「これはお前の手柄だ。よくやったな」
「いえ、私は何も⋯⋯」
「何か言いたそうだな。まあ⋯⋯世の中正しい力だけじゃどうにもならないこともあるってことだ。忠義に厚く、正義感が強いお前には受け入れられないかもしれんが」
ガルドランドの言葉にリーゼロッテはうつむく。
悪い奴は見過ごせない⋯⋯だけど今回のユクト達の行為は、明らかに違法と呼ばれているものだ。
しかし方法は褒められたものではないが、結果としてアルト商会は守られ、悪党であるボーゲンとワルイは捕まることになった。
そのため、リーゼロッテはどう返答すればいいのか言葉に詰まっていた。
「まあいい。王都の正義を守る方法は色々あるってことだ。もう少しユクト達と一緒に行動してみろ。何かあってもケツはちゃんと拭いてやるからよ」
「⋯⋯わかりました」
「じゃあな」
ガルドランドはボーゲンとワルイを連れて、この場から去っていく。
そしてリーゼロッテは思いにふけながらその背中を見つめるのであった。
リーゼロッテは、背後から現れた筋肉質の中年男に対して敬礼をする。
リーゼロッテが一礼する相手、それは王国騎士団の団長であるガルドランドであった。
ガルドランドが姿を見せると、途端にボーゲンの表情が厳しくなる。
だがボーゲンの様子など気にもせず、ワルイが嬉々として声を上げた。
「ちょうど良かった! ボーゲン様、ガルドランド騎士団長に我々を見逃すよう伝えて下さい」
「う、うむ⋯⋯」
ボーゲンは返事をするがハッキリとしない態度を取る。その理由は⋯⋯
「ボーゲン様、騎士団長如きにどうしたのですか? 子爵であるあなたが命令すれば逆らうことは出来ないはず」
ワルイが上から目線でガルドランドを指差す。
その行為がどれだけ愚かであるかわかっていないようだ。
「やめろ!」
「えっ?」
ボーゲンはワルイの手を叩き落とす。そしてすぐさまガルドランドに向かって土下座をした。ワルイはボーゲンの行動の意図がわからず呆然としている。
「ガルドランド様、申し訳ありません!」
「な、何故この者に土下座を⋯⋯」
「ええい! この方をどなたか知らないのか!」
ボーゲンはワルイの後頭部に手を置き、地面に押しつける。
「ど、どういうことですか? ただの騎士団長に何故私が⋯⋯」
「ただの騎士団長ではない! この方はいずれ伯爵家を継ぐお方だぞ!」
「なっ! そんなあ⋯⋯」
そう。ボーゲンの言う通り、ガルドランドは伯爵家の長男であり、立場的には子爵であるボーゲンより上なのだ。
「どうかこの者のご無礼をお許し下さい」
「まさか伯爵家の方とは⋯⋯申し訳ございません!」
ガルドランドの正体を知り、ワルイは自分の意思で地面に額をすり付ける。そしてボーゲンも同様に土下座をした。
先程までの偉そうな態度はどこへ行ったのやら。相手が自分達より立場が上だとわかると、すぐに媚びへつらう姿は、リーゼロッテから見てとても滑稽であった。
「伯爵家の者だってことは隠してたんだがな。よく知ってたな」
「い、以前貴方様のお父上とパーティーで面会する機会がありましてその時に⋯⋯」
「そうか。だが今は貴族としてここに来てる訳じゃねえ。王国騎士団長として俺はここにいる。善良な市民から変質者がいるって通報があったからな」
もちろん通報したのはユクトである。
リーゼロッテが裏帳簿について追及しても、権力を盾にして二人はこの場を逃げる恐れがあった。そのため、二人より権力があるガルドランドを呼んだのだ。
「騎士団長。これを見て下さい」
「あっ! それは⋯⋯」
ワルイはリーゼロッテが差し出した帳簿を見て声を上げる。そして気まずそうに目をそらした。
「ほう⋯⋯これは裏帳簿ってやつじゃねえか。見る限り随分ため込んでたみてえだな」
「はい。そして同業者である、アルト商会に嫌がらせをしていたという報告も上がっています」
「な、何故そんなことまで⋯⋯はっ!」
リーゼロッテの言葉に思わず声を出してしまい、すぐにしまったという表情をした。
「自白してくれるなんて、調べる手間が省けて助かるぜ」
「くっ! 今のはその⋯⋯」
「今のは何だ? ちなみに言っておくが、俺は嘘をつく奴には容赦しねえ。発言には気をつけることを勧めるぜ」
ガルドランドは腰に差している剣の柄に手を置く。殺気も放っており、もし嘘をついたらこの剣で斬ると言わんばかりだった。
「な、何でもありません⋯⋯」
あまりの迫力に、ワルイとボーゲンは黙るしかなかった。
「まあ、俺が何もしなくても王都で噂の奴らが、お前らに天誅を下すかもしれないがな」
ガルドランドは地面に落ちていた何かを拾い、ボーゲンとワルイに見せる。
「クロスチャーム⋯⋯」
「女神の執行者⋯⋯」
「厄介な奴らに目をつけられたな。奴らは悪人に対して命を奪う時もある。そう考えれば、命があるだけマシだと考えねえとな」
確かにガルドランドの言葉通り、女神の執行者が現れた場所で、悪人達の命が奪われることも珍しくはなかった。
もしかしたらその悪人達と同じようになっていたのかもしれない。二人はそのようなことが頭に思い浮かび、脱力してその場に膝をつく。
「それじゃあこいつらはもらって行くぜ! リーゼロッテご苦労さん」
「あっ、はい⋯⋯」
「これはお前の手柄だ。よくやったな」
「いえ、私は何も⋯⋯」
「何か言いたそうだな。まあ⋯⋯世の中正しい力だけじゃどうにもならないこともあるってことだ。忠義に厚く、正義感が強いお前には受け入れられないかもしれんが」
ガルドランドの言葉にリーゼロッテはうつむく。
悪い奴は見過ごせない⋯⋯だけど今回のユクト達の行為は、明らかに違法と呼ばれているものだ。
しかし方法は褒められたものではないが、結果としてアルト商会は守られ、悪党であるボーゲンとワルイは捕まることになった。
そのため、リーゼロッテはどう返答すればいいのか言葉に詰まっていた。
「まあいい。王都の正義を守る方法は色々あるってことだ。もう少しユクト達と一緒に行動してみろ。何かあってもケツはちゃんと拭いてやるからよ」
「⋯⋯わかりました」
「じゃあな」
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