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男なら一度は憧れるシチュエーション
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そして俺は三人から数メートルの距離を保ち学園へと向かう。
うら若き女子高生を後ろからつける俺⋯⋯何かストーカーっぽいな。
新学期早々やれやれだぜ。
そして三人は楽しそうに会話しながら羽ヶ鷺学園に向かっているように見えたが、ユズからしだいに笑顔が消えていく様子がわかった。
おそらく学園が近づくにつれて、緊張感が増してきているのだろう。新しい学校に馴染めるのか、 友人ができるのか、 色々なことが渦巻いているに違いない。
「ユズユズ~同じクラスになれるといいね」
不意に瑠璃がユズに話しかけながら右腕に自分の腕を絡める。
「お姉ちゃんもリウトちゃんと同じクラスになれるといいなあ」
「いや、無理だろ。留年するつもりか? バカなことを言うんじゃないよ」
生徒会長が留年なんかしたら前代未聞の出来事だ。
「いや~リウトちゃんが怒った~」
コト姉は俺から離れ、今度は空いているユズの左腕に自分の腕に絡める。
「ちょっと姉さんまで」
ユズは2人に抱きつかれ嫌そうな声を出すが、表情は先程までとは違い、笑顔で緊張が薄れているように見えた。
まさかコト姉はユズをリラックスさせるためにわざとあり得ない話題を⋯⋯さすがはユズの姉だと感心せざるを得ない。こういう気づかいが出きるから生徒会長という役職に付けるのかもしれないな。
「ユズちゃん暖か~い」
コト姉は猫のようにユズの身体にすりよせ幸せそうな笑顔をしている。
気づかい⋯⋯だよな。
俺はコト姉の行動が実は自分のためではないかと思いつつ羽ヶ鷺学園へと向かう。
そして俺達は住宅街、商店街を通り15分程歩くと羽ヶ鷺学園へとたどり着いた。
学園が設立されてからまだ5年ということもあり、校舎は新しく今日は新学期ということで生徒達の顔は、学校が始まるのを待ちわびた者ともっと休みが長ければ良いのにとダルそうにしている者の二極だったが、校舎の玄関付近だけは空気が違っていた。
「クラス替えの表が出ているのか?」
「そうですね、ここは私が⋯⋯千里眼!」
「またおかしなスキルを」
全てを見通せる目だと? もし本当にあるなら覗き放題じゃないか! 俺がほしいわ!
俺は心の中で突っ込みを入れながら瑠璃の千里眼スキルの結果を待つ。
「あっ? 私とユズユズ同じBクラスだよ。やったー」
「本当ですか? 疑わしいので実際に見てみましょう」
「えっ? ユズユズ私のこと信じてくれないの? 待ってよお」
やれやれ。賑やかな後輩達だ。
クラス表を見に行ったユズを瑠璃は追いかけ、この場には俺とコト姉だけになる。
「それじゃあお姉ちゃんも生徒会長のお仕事行くね⋯⋯リウトちゃんバイバイ」
そう言ってコト姉は体育館の方へと向かっていくと、この場には俺一人となり、先程まで騒がしかった周囲が寂しいものへと変わる。
さて、俺もクラス表を見に行くか。
ある意味これからの1年間の⋯⋯いや、もしかすると人生の分岐点になるかもしれない重要な出来事だからな。
そして俺はクラス表が貼ってある玄関へと近づくが⋯⋯。
「人が多すぎるな」
無理して進むことも出来ないことではないが、女子生徒も多くいるため、下手をすれば身体を触ったとして痴漢扱いされることも考えられる。ここはもう少しこの場で待ってから行くとしよう。
瑠璃ではないがこんな時に千里眼スキルが使えれば簡単にクラス表が見れるのだろうか?
俺はふと遊び心で目を閉じ千里眼と唱えて見ると⋯⋯不意に視界が暗くなった。
えっ? まさかこれはスキルの効果?
なんてことはなく後ろから誰かに目を塞がれただけだ。
「だ~れだ?」
そして俺の背後から、甘い誘惑をするような声が耳元に響くのであった。
―――――――――――――――
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うら若き女子高生を後ろからつける俺⋯⋯何かストーカーっぽいな。
新学期早々やれやれだぜ。
そして三人は楽しそうに会話しながら羽ヶ鷺学園に向かっているように見えたが、ユズからしだいに笑顔が消えていく様子がわかった。
おそらく学園が近づくにつれて、緊張感が増してきているのだろう。新しい学校に馴染めるのか、 友人ができるのか、 色々なことが渦巻いているに違いない。
「ユズユズ~同じクラスになれるといいね」
不意に瑠璃がユズに話しかけながら右腕に自分の腕を絡める。
「お姉ちゃんもリウトちゃんと同じクラスになれるといいなあ」
「いや、無理だろ。留年するつもりか? バカなことを言うんじゃないよ」
生徒会長が留年なんかしたら前代未聞の出来事だ。
「いや~リウトちゃんが怒った~」
コト姉は俺から離れ、今度は空いているユズの左腕に自分の腕に絡める。
「ちょっと姉さんまで」
ユズは2人に抱きつかれ嫌そうな声を出すが、表情は先程までとは違い、笑顔で緊張が薄れているように見えた。
まさかコト姉はユズをリラックスさせるためにわざとあり得ない話題を⋯⋯さすがはユズの姉だと感心せざるを得ない。こういう気づかいが出きるから生徒会長という役職に付けるのかもしれないな。
「ユズちゃん暖か~い」
コト姉は猫のようにユズの身体にすりよせ幸せそうな笑顔をしている。
気づかい⋯⋯だよな。
俺はコト姉の行動が実は自分のためではないかと思いつつ羽ヶ鷺学園へと向かう。
そして俺達は住宅街、商店街を通り15分程歩くと羽ヶ鷺学園へとたどり着いた。
学園が設立されてからまだ5年ということもあり、校舎は新しく今日は新学期ということで生徒達の顔は、学校が始まるのを待ちわびた者ともっと休みが長ければ良いのにとダルそうにしている者の二極だったが、校舎の玄関付近だけは空気が違っていた。
「クラス替えの表が出ているのか?」
「そうですね、ここは私が⋯⋯千里眼!」
「またおかしなスキルを」
全てを見通せる目だと? もし本当にあるなら覗き放題じゃないか! 俺がほしいわ!
俺は心の中で突っ込みを入れながら瑠璃の千里眼スキルの結果を待つ。
「あっ? 私とユズユズ同じBクラスだよ。やったー」
「本当ですか? 疑わしいので実際に見てみましょう」
「えっ? ユズユズ私のこと信じてくれないの? 待ってよお」
やれやれ。賑やかな後輩達だ。
クラス表を見に行ったユズを瑠璃は追いかけ、この場には俺とコト姉だけになる。
「それじゃあお姉ちゃんも生徒会長のお仕事行くね⋯⋯リウトちゃんバイバイ」
そう言ってコト姉は体育館の方へと向かっていくと、この場には俺一人となり、先程まで騒がしかった周囲が寂しいものへと変わる。
さて、俺もクラス表を見に行くか。
ある意味これからの1年間の⋯⋯いや、もしかすると人生の分岐点になるかもしれない重要な出来事だからな。
そして俺はクラス表が貼ってある玄関へと近づくが⋯⋯。
「人が多すぎるな」
無理して進むことも出来ないことではないが、女子生徒も多くいるため、下手をすれば身体を触ったとして痴漢扱いされることも考えられる。ここはもう少しこの場で待ってから行くとしよう。
瑠璃ではないがこんな時に千里眼スキルが使えれば簡単にクラス表が見れるのだろうか?
俺はふと遊び心で目を閉じ千里眼と唱えて見ると⋯⋯不意に視界が暗くなった。
えっ? まさかこれはスキルの効果?
なんてことはなく後ろから誰かに目を塞がれただけだ。
「だ~れだ?」
そして俺の背後から、甘い誘惑をするような声が耳元に響くのであった。
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